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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
ウクライナ&インフレショック続く。長期投資で「買い」判断継続

世界株安続く。PERで割安圏に入るも、テクニカル分析では底入れの兆しなし

 先週(3月7~11日)の日経平均株価は1週間で822円下落し、2万5,162円となりました。

日経平均・NYダウの日次推移:2020年末~2022年3月11日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 9日にOPEC(石油輸出国機構)の有力産油国であるUAE(アラブ首長国連邦)が、原油増産をOPECに働きかける意向を表明。これを受けて、WTI原油先物が急落したことを好感し、日経平均は3月10日に前日比972円高と急反発する局面がありました。

WTI原油先物(期近)推移:2020年1月2日~2022年3月11日

出所:QUICKより作成

 ただし、10日に発表された2月の米インフレ率(CPI総合指数前年比)が7.9%と、1月の7.5%よりさらに高まったこと、ウクライナ危機が世界経済に与えるダメージがさらに大きくなる懸念が強まったことを受け、11日の日経平均は527円安と反落しました。

米インフレ率(CPI総合指数前年比%

出所:米労働省より作成

 企業業績が好調な中、株価下落が続いてきたことから、東証株価指数の予想PER(株価収益率)は13.3倍まで低下しています。PERで見て割安感が出てきています。

 それでも、世界株のショック安はまだ続いています。テクニカル分析では、底入れのシグナルはまだ出ていません。冒頭のチャートをご覧いただくとわかる通り、日経平均は昨年9月14日に年初来高値3万670円をつけてから、下落トレンドが続いています。

 NYダウ(ダウ工業株30種平均)は1月4日に史上最高値3万6,799ドルをつけてから、下落トレンドが続いています。

3月16日FOMCでの利上げ幅、パウエル議長のメッセージに注目

 今週の最大の注目は、3月16日(日本時間では3月17日の午前3時)に発表される、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果です。ここで、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを発表するのは確実です。

 問題は、利上げ幅が通常通りの1回0.25%が、あるいは利上げピッチを加速させるために0.5%とするかです。足元の高インフレ率を見ると0.5%があり得ます。ただし、ウクライナ情勢の悪化を受けて、慎重に0.25%にする可能性もあります。

 結果発表後の記者会見で、パウエルFRB議長がどのようなメッセージを出すかも重要です。ウクライナとインフレ、どちらをより重視して金融政策の舵取りするのかを市場は読み取ろうとしています。インフレをより重視して、金融引き締めを急ぐ方針が出されることも考えられます。パウエル議長がタカ派色を強めているようだと、世界株安が加速する可能性があります。

時間分散しながら買い増し

 結論は毎週申し上げていることと同じです。日本株は割安な水準に低下しており、長期投資で買い場と考えています。ただし、短期的にはさらなるショック安が続く可能性があり、時間分散しながら買い増ししていく必要があります。

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