原油、金、急騰も、報道前の水準までいったん下落
日本時間2月24日(木)昼前、国内外の主要メディアが、ロシア軍がウクライナの軍事施設にミサイル攻撃を行ったと報じました。この時間帯を機に、原油相場は供給減少懸念、金(ゴールド)相場は資金の逃避先需要増加などを背景に、大きく上昇し始めました。
欧州時間に入り(日本時間夕方)、上昇の勢いが増し、原油(WTI原油先物 期近)は2014年7月以来、7年7カ月ぶりに100ドルに到達。金(ゴールド)は1,970ドルを突破しました。
しかし、米国時間は原油、金(ゴールド)ともに、大きく下落しました。米国時間終盤(日本時間 翌25日(金)未明)には、原油は「侵攻」報道が出始めた時間帯の水準をやや下回る92ドル前後、金は同水準を大きく下回る1,880ドル前後となりました。
図:WTI原油先物の価格推移(期近 15分足) 単位:ドル/バレル
図:NY金先物の価格推移(中心限月 15分足) 単位:ドル/トロイオンス
原油も金(ゴールド)も、このおよそ24時間で、急騰・急落を演じたわけです。
足元、アジア時間に入り(原稿執筆時点 25日午前9時)、原油は94ドル前後、金は1,906ドル前後まで、反発しています。
農産物銘柄の一部は、引き続き高い
以下は、2月24日午前9時前後から25日午前9時前後の、主要なコモディティ(商品)、株価指数、為替の騰落率です。
図:主要銘柄の騰落率(2月24日午前9時前後と25日午前9時前後を比較)
「侵攻」報道後、大きく上下した原油は、WTI原油が+0.8%、英国とノルウェーの間の海にある北海油田で生産されるブレント原油が+2.3%(ロシアやウクライナに地理的に近いため、WTIよりも上昇率が高い)、金(ゴールド)は+0.8%です。
天然ガスは原油と同様、アジア・欧州時間に大きく上昇したものの、米国時間に急落し、当該時間帯の騰落率はマイナスとなりました。
NYダウ先物(ミニ)とビットコインは、アジア・欧州時間および米国時間の中盤まで、大きく下落したものの、米国時間の終盤からアジア時間(25日)の序盤にかけて大きく反発し、当該時間帯の騰落率はプラスです。
また、ウクライナやロシアが主要生産国である農産物価格の上昇が目立ちました。小麦、トウモロコシ、菜種です。小麦はシカゴ先物市場の期近物が一時ストップ高となり、騰勢を強めました。原稿執筆時点でもまだ、高値圏で推移しています。
不安定な状況はまだ続く
先述の通り、NYダウ先物(ミニ)とビットコインが米国時間の終盤からアジア時間(25日)の序盤にかけて反発したことは、市場にとって光明と言えるでしょう(急落が止まったという意味で)。原油や金(ゴールド)の急騰劇が一巡したようにも見え、あくまで「今のところ」ですが、幅広い市場を覆った「総悲観」は収まっているように感じます。
とはいえ、ロシア軍がウクライナの首都キーウ(キエフ)北部の空港を制圧、チェルノブイリ原発を占拠したと報じられているとおり、ウクライナでは戦闘が続いています。
また、ロシア軍の侵攻を受け、バイデン米大統領がプーチン露大統領を「侵略者だ。戦争を選択した。(Putin is the aggressor. Putin chose this war.)」と指摘したり、複数の主要国がロシアへの各種制裁を強化すると声明を出したりするなど、主要国のロシアに対する批判的な圧力は強まる一方です。
さらに、以前の「ウクライナ情勢の悪化が、インフレを加速させる理由」 で述べたとおり、情勢悪化が長期化した場合、ウクライナの主要輸出品目である農産物(小麦やトウモロコシ、菜種など)の供給減少懸念が、今にも増して高まる可能性があります。
まだしばらく、各種市場で混乱が続くことを前提に、諸情勢を把握・解釈しなければならない時間帯が続きそうです。「再度、原油や金(ゴールド)価格が急騰するかもしれない」くらいの心づもりが、必要かもしれません。
[参考]コモディティ関連の具体的な投資商品例
投資信託
DWSコモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Aコース(為替ヘッジあり)
DWSコモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Bコース(為替ヘッジなし)
外国株
インベスコDB コモディティ・インデックス・トラッキング・ファンド(DBC)
iPathブルームバーグ・コモディティ指数トータルリターンETN(DJP)
iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト(GSG)
[参考]貴金属関連の具体的な投資商品例
楽天証券の純金積立「金・プラチナ取引」はこちらからご参照ください。
純金積立
国内ETF/ETN
1326 SPDRゴールド・シェア
1328 金価格連動型上場投資信託
1540 純金上場信託(現物国内保管型)
2036 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ダブル・ブルETN
2037 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ベアETN
海外ETF
GLDM SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト
IAU iシェアーズ・ゴールド・トラスト
GDX ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF
投資信託
ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)
三菱UFJ純金ファンド
外国株
ABX Barrick Gold:バリック・ゴールド
AU AngloGold:アングロゴールド・アシャンティ
AEM Agnico Eagle Mines:アグニコ・イーグル・マインズ
FNV フランコ・ネバダ
GFI Gold Fields:ゴールド・フィールズ
国内商品先物
金・金ミニ・金スポット・白金・白金ミニ・白金スポット・銀・パラジウム
海外商品先物
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。