電子部品株は景気動向によって株価が大きく上下するので、うまく底近辺を捉えることができれば、大きな利益につながるのでは…と考えられている方も多いのではないかと思います。
電子部品株も含めた、エレクトロニクス関連株に適用できる指標については、1月27日掲載の「エレクトロニクス関連株の買いタイミングとは?ファナックの在庫循環から試算」で解説いたしましたが、今回は電子部品株に絞って、私が底近辺を捉える1つの目安としている指標をご紹介していきたいと思います。
それは、セラミックコンデンサーの世界トップ企業である村田製作所(6981)の受注動向です。電子部品株の底近くにある絶好の買いタイミングを捉える上で、この受注動向は押さえておくべきと考えています。
まずは、村田製作所の受注動向についてみてみましょう。
(表1)村田製作所の受注動向
受注高は四半期ごとのブレが大きいので、4四半期平均を取り、その前年比の増減率をみていきます。ここで、注目したいのが、受注高(4四半期平均)が減少に転じた最初の四半期(赤で示した四半期)と、その四半期から2四半期以上経過し、かつ、受注高(4四半期平均)の前年比がマイナスに転じた最初の四半期(青で示した四半期)です。
その四半期と、決算発表日の村田製作所の株価を2009年3月期以降についてまとめると、次のようになります。
(表2)注目の四半期、決算発表日と村田製作所の株価
村田製作所の株価チャートに、赤と青とで示した決算発表日の時期をそれぞれ赤矢印、青矢印でプロットすると、次のようになります。
(チャート1)村田製作所の株価と注目四半期の決算発表日のタイミング
このチャートからは、赤矢印が現れた段階で、株価はすでにそれなりに下がっている状態であることがみて取れます。その後、青矢印にかけて、もう一段下がるか横ばい状態になり、青矢印以降は上昇傾向にあることがみて取れます。このため、青矢印のタイミングを買いの絶好のタイミングとしてみています。
青矢印の時期について、一つひとつみていきましょう。
2009年1月30日(村田製作所の株価:1,156円(株式分割調整後)、以下、同様)のケースは、リーマンショック後で株式市場全体も大きく下落をしていたときで、その後、2011年に2,116円まで上昇しました。
2011年10月31日(1,485円)のケースは、景気は低迷をしていた時期で、その後、安倍政権に代わり、日本銀行の大規模な金融緩和の効果もあって株式市場全体が大きく上昇し、2015年には7,406円まで上昇しました。
2016年10月31日(4,890円)のケースは、2015年から2016年にかけて株式市場が大きく下げたあとの時期で、2018年には6,751円まで上昇しました。
2019年7月31日(4,843円)のケースは、その後、コロナショックがありましたが、結果として株価は大きく上昇し、2021年に1万835円まで上昇しました。
以上から、青矢印で示したタイミング(受注高(4四半期平均)が減少に転じてから2四半期以上経過し、かつ、受注高(4四半期平均)の前年比がマイナスに転じた最初の四半期の決算発表日)は、村田製作所の株を買う絶好のタイミングと言ってよいのではと考えています。
この村田製作所のタイミングについて、同じ電子部品株である太陽誘電(6976)、TDK(6762)でもみてみましょう。
(チャート2)太陽誘電の株価と注目四半期の決算発表日のタイミング
(チャート3)TDKの株価と注目四半期の決算発表日のタイミング
いかがでしょうか? 太陽誘電やTDKにおいても、おおむね、株価の底近辺である絶好のタイミングを捉えられているとみてよいのではと考えています。
では、現在の村田製作所の受注動向はどうなっているのかというと、2022年3月期第3四半期決算において、受注高(4四半期平均)が減少に転じ、赤矢印が現れた状態となっています。ということは、早ければ半年後に青矢印が現れてくるかもしれません。それが現れたときには、ぜひとも捉えていきたいですね。
投資はあくまでも自己責任で。
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。