★筆者が選ぶ10万円株は2ページ3ページに掲載しています。

NISA個人投資家の狙いは明らか

 新年に替わり、2022年のNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)枠が利用可能になりました。一般NISAでは年間120万円、配当・分配金や売買益が非課税(5年間)となります。

 国内株式・外国株式・投資信託がその対象となりますが、大きく売買益を狙うとなると個別株式、なじみのある国内株式がまず選択肢にあがるかもしれません。

 有配当の銘柄であれば決まった配当を期日に受け取れますが、売買益を得るためには当然、保有した銘柄が値上がりしなければなりません。

 株価が上がって初めて非課税の威力が発揮されることになります。通常、値上がり益に対して約20%の税金がかかりますが、NISA口座で運用した利益には税金がなく、うまく行った時にはその分利益が増えると考えていいでしょう。

 そうなると、一にも二にも「銘柄選択」ということになりますが……。その際にまず気になるのは「みんなの動向」かもしれません。NISA口座で株式を保有する場合、多くの投資家は少なくとも1年以上保有する前提だと思われます。

 NISA投資家が中期・長期で保有したいと考えている銘柄はどのようなものでしょうか? 楽天証券HPから「NISA口座 国内株式保有残高ランキングBest10」をおさらいしておきます。

  1. JT(2914・東証1部)
  2. オリックス(8591・東証1部)
  3. 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306・東証1部)
  4. 武田薬品工業(4502・東証1部)
  5. 日本航空(9201・東証1部)
  6. ANAホールディングス(9202・東証1部)
  7. みずほフィナンシャルグループ(8411・東証1部) 
  8. イオン(8267・東証1部)
  9. ソフトバンク(9434・東証1部) 
  10. すかいらーくホールディングス(3197・東証1部)

 このランキングには、興味深い傾向が表れています。個人投資家がNISA口座で保有している銘柄はおおまかに以下に大別できます。

【高配当銘柄】

 JT、オリックス、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、ソフトバンク

(注)JTは過去5年間で株価がほぼ半値になったことから、配当利回りが高くなり評価されている側面も。

【コロナ禍で株価が低迷した銘柄】

 日本航空、ANAホールディングス、すかいらーくホールディングス

 ここから透けて見えることは、NISA口座を利用している個人投資家はなかなかの戦略家で株式市場への深い理解があるということです。

 日本の上場企業の配当総額は業績の持ち直しや株主還元姿勢の高まりから増える傾向にあります。2022年3月期の配当総額は12兆円超(市場予想含む)と前期から約1割増え、過去最高を更新する見通しです。この流れをつかみ高い配当を得ようとしていることがわかります。

 他方、コロナ禍で株価が低迷した銘柄についてはワクチンや治療薬が開発される中で、コロナ禍収束→経済活動再開→業績持ち直し→株価回復というシナリオを描いているのではないでしょうか。

NISAで注視したいもうひとつの着眼点

 ここでもうひとつ着眼点を提示したいと思います。それは「買われだしたセクター・銘柄」です。

 年初からいわゆる景気敏感株(≒バリュー株)が買われたことはご存じでしょう。鉄鋼、非鉄金属、重電、自動車、重工業、商社、金融、海運などのセクターがほぼ一斉高を演じました。

 そして、コロナ禍以降何度かあった景気敏感株物色でもあまり目立った動きをしなかった「銀行株」にも動意が見られています。

 この背景として指摘できるのはFRB(米連邦準備制度理事会)による「テーパリング(量的緩和縮小)」と「利上げ局面入り示唆」です。米国ではコロナ禍による大規模な金融緩和が終わり、財政出動による急な景気回復(≒インフレ)をコントロールする動きが始まっています。

 このことは「米経済正常化」と表現することもでき、グローバルマネーの動きの活発化が期待され、日本の銀行株にも反応が見られているということになります。

 日本の銀行株の場合、極端に割安に放置されていたことから、「割安修正局面」と表現するのが適当かもしれません。多くの銀行株は高配当銘柄でもあり、目ざといNISA投資家が見過ごすことはないのではないでしょうか。

 ここでは銀行株から3大メガバンクグループを除く大手行と地銀から10万円で投資可能な銘柄を選別します。

10万円で投資可能な銀行株

 株価データは2022年1月18日終値ベース。

りそなホールディングス(8308)

 5大銀行グループの一角で、傘下にりそな、埼玉りそな、関西みらい、みなとの4行を擁します。2022年3月期配当(予定)は一株当たり21円です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)

 傘下に地銀首位級の横浜銀と東日本銀を擁します。神奈川と東京軸に展開しています。2022年3月期配当(予定)は一株当たり18円です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

山口フィナンシャルグループ(8418)

 傘下に山口銀、もみじ銀、北九州銀を擁し、証券やリースにも展開しています。2022年3月期配当(予定)は一株当たり28円です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

千葉銀行(8331)

 地銀大手で千葉県では断トツの貸し出しを誇ります。武蔵野銀や横浜銀など他地銀との提携も進めています。2022年3月期配当(予定)は一株当たり22円です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

八十二銀行(8359)

 長野地盤で地銀上位級です。県内貸出シェア4割、堅実経営で知られています。2022年3月期配当(予定)は一株当たり14円です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)