日経平均は2週連続下落。今週は落ち着きを取り戻す?

 先週末1月14日(金)の日経平均は2万8,124円で取引を終えました。前週末終値(2万8,478円)からは354円安、週足ベースでは2週連続の下落です。

 2022年相場が始まって2週間がたちましたが、日本株は、金融政策正常化への思惑に揺れ動く米国市場の流れを受ける格好で、弱含みの場面が増えています。ただ、今週に関しては、ひとまず株価が反発する展開もありそうです。

 早速、いつものように足元の状況から確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2022年1月14日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて先週の日経平均の値動きを振り返ってみると、慌ただしい値動きの印象でした。

 週初の11日(火)は続落スタートだったものの、翌12日(水)には大きく反発、さすがに200日移動平均線は超えられませんでしたが、25日移動平均線はしっかりと回復してきました。そして、このまま戻り基調の継続が望まれていましたが、週末にかけて失速していきました。

 とりわけ週末の14日(金)は、いわゆる「窓」開けで下落したほか、取引時間中には節目の2万8,000円台を下回る場面も見せています。前回のレポートでも紹介した「右肩上がりのレンジ」の下限の線も下抜けてしまったのも気掛かりです。

 こうした落ち着きのない値動きは、冒頭でも触れたように、米国株市場が金融政策の正常化をめぐって、株価の上げ下げを繰り返していたことが背景にあります。

 実際に、時間的な流れをたどると、先々週の1月5日に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(12月開催分)において、いわゆるQT(金融引き締め)の開始を「最初の利上げ後の早い時期」で検討していたことが判明し、想定よりも早いピッチで進みそうな正常化への警戒感が高まって、日米の株式市場が急落。

 その後、先週の11日(火)には、米上院の公聴会でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長による「2022年後半にQTをはじめる」という発言をきっかけに、市場が前のめりとなっていた正常化へ時間軸がFRBと共有できたことによって、株価が上昇へと反転しました。

 そして、13日(木)には、ハト派で知られるブレイナードFRB理事が「できるだけ早く利上げ開始の準備を整えている」とタカ派的な発言をしたことで再び株価が下落へと転じていきました。

 引き続き、米金融政策の動向に市場が揺さぶられる場面が訪れると思われますが、今週は、次回のFOMC(1月25~26日開催)の一週間前となり、金融政策ついて踏み込んだ発言が控えられる「ブラックアウト期間」に入ります。

 先週発表された米12月のCPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)が高水準のインフレ傾向を示しているにもかかわらず、米長期金利の動きは今のところはおとなしく、少なくとも米長期金利が1.8%超えを目指すような動きにならない限り、金融市場はいったん落ち着きを取り戻すと考えられます。

三角もちあいが継続中

 もう少し期間の長い日経平均チャートでみても、前回のレポートでも紹介したように、「三角もちあい」が継続中で、先週の下落局面でも、株価がもちあいの下限の線で踏みとどまっています。

■(図2)日経平均(日足)の動き その2(2022年1月14日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 今週の日経平均が反発できれば、各移動平均線(25日・200日・75日)の上抜けと三角もちあいの上限の線を目指していく展開となります。

 反対に株価が下がって、もちあいを下放れしてしまった場合でも、昨年の日経平均の下値ゾーン(2万7,500円から2万8,000円あたり)の範囲内で下げ止まることができれば、株価の戻りを期待する買いは入れやすいと思われます。

日経平均のエンベロープ

 また、前回のレポートでは、日経平均(日足)の25日移動平均線エンベロープを紹介し、「株価の戻り基調が+3%あたりで跳ね返されることが多い」ことと、「跳ね返された場合、今度は▲3%あたりまで下落することも多い」ことの2点を紹介しました。

■(図3)日経平均(日足)のエンベロープ(25日移動平均線)(2022年1月14日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図3で先週のエンベロープの状況を見てみると、14日(金)の取引で株価がエンベロープの▲3%まで下落する場面があったことが分かります。

 とはいえ、「逆もまたしかり」で、上値がプラス3%で止まることが多いということは、下値も▲3%で跳ね返されることも多いと言えます。

 実際に、14日(金)のローソク足の下ヒゲが長くなっているほか、チャートを過去にさかのぼって▲3%まで下落した局面を見てみると、その後の株価が反発していることが多く、今回も株価が反発する可能性は高そうです。

 さらに、金融相場から業績相場へと移行するタイミングでもあり、グロース(成長)株からバリュー(割安)株へと物色対象が変化しつつあるほか、これから本格化する日米の企業決算の動向を見極めながら銘柄の選別が進むと思われます。

 今週は米国で、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースといった金融機関をはじめ、ネットフリックスやインテル、アルコアなどの決算発表が予定されていますが、来週以降に控える国内主要企業や、GAFAM銘柄の決算発表を前に、良好な決算シーズン入りが試されることになります。

マザーズ指数は弱い動き

 気を付けておきたいのは、直近の国内マザーズ市場やNASDAQの動きが弱く、市場のムードに影を落としていることです。

■(図4)マザーズ指数(日足)の動き(2022年1月14日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 マザーズ指数は昨年の夏場以降、200日移動平均線に上値を抑えられながらのもみ合いが続いていましたが、12月に入ってからの下げが加速しています。

 昨年末にかけては節目の1,000pで踏みとどまろうとする動きも見られましたが、底打ちとはならず、2022年相場に入ってさらに一段安となっています。

■(図5)マザーズ指数(週足)のギャン・アングル(2022年1月14日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 また、上の図5は、マザーズ指数の週足チャートに、コロナショック時の底打ちのタイミング(2020年3月13日週)を起点としたギャン・アングルを描いています。

 先週末時点のマザーズ指数は、ギャン・アングルの8×1ライン辺りに位置しており、先ほどの図4でも見てきたように、昨年12月からの下落局面で、4×1ラインから8×1ラインまで、一気に下落したことになります。

 そのため、この8×1ラインで踏みとどまることができれば、株価反発に弾みをつける格好になるため、今週の焦点になります。

NASDAQの動き

 最後に、NASDAQ市場の動きについても見ていきます。

■(図6)米NASDAQ(日足)のギャン・アングル(2022年1月14日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週のNASDAQのローソク足を確認すると、週初の10日(月)に1万4,500p、週末の14日(金)にギャン・アングルの8×1ラインで踏みとどまる動きを見せています。しかも200日移動平均線がサポートして機能しているようにも見えます。

 マザーズ指数とNASDAQの下落は、ともに米国金融政策の正常化への思惑で生じた銘柄物色の変化(グロース株からバリュー株)を表していると思われ、すでにある程度織り込んだのであれば、図5や図6で見てきたように、テクニカル的にはそろそろ株価が反発してもおかしくない株価位置にあると考えることができます。

 もちろん、まだ織り込みが足りないのであれば、もう一段階の下値を探ることになるほか、今週は中国で10-12月期GDP(国内総生産)や12月分の経済指標の発表が控えているため、相場が下振れしてしまう展開には注意する必要もありそうです。

 とはいえ、先ほども触れたように、今週は金融政策面の発言に振り回される可能性が低く、素直に目先の株価上昇に期待したいところです。