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日経平均、そろそろ動く?

 2021年は1年間にわたり、行ったり来たりのボックス相場が続きました。2020年がコロナショックで暴落後に急上昇した「大変動の年」だったのと対照的です。

2020年・2021年の日経平均週足:2020年1月6日~2021年12月30日

出所:MSⅡより楽天証券経済研究所が作成

 12月末にかけて、強弱材料がきっこうして膠着(こうちゃく)感が強まりました。

強弱材料まとめ


 
出所:筆者作成

 ただ、経験則では、大きく動かない相場が1年も続くと、その後に大荒れの相場が来ることがあります。また、1月は相場の流れが大きく変わることがとても多かった月です。そういう意味で、これから1月に起こることに注意が必要です。

 昨年の高値(9月14日の3万795円)を上回る、または昨年の安値(8月20日の2万6,954円)を下回る波乱が、1~3月のうちに起こる可能性もあります。私は上値トライすると予想していますが、逆に下値を試すと予想する人もいます。

日経ニュースプラス9サタデーに出した日経平均予想、強弱感対立

 昨年12月25日のBSテレビ東京「日経ニュースプラス9サタデー」で、私を含む2名の市場関係者による、2022年3月末の日経平均株価予想が紹介されました。私の予想は3万1,000円で、もう1名の方の予想は2万6,000円でした。番組MCの方から、「ずいぶん大きく開いていますね」とコメントがありました。強弱感が大きく隔たっているとういうことです。

 私は、1~3月に昨年高値より上へ抜けるという予想です。オミクロンは感染力は強いが重症化する例が少ないので、感染拡大しても経済への影響は限定的ということを前提としています。

 また、米景気は減速しつつも、GDP(国内総生産)で年率3%台の成長が続き、好調を維持すると予想しています。

 日本はコロナの影響が縮小し、リオープン(経済再開)が徐々に進むと予想しています。コロナ禍で抑えられていた消費が、急速に回復に向かう可能性もあります。コロナ禍で消費を抑えていたことや給付金が入っていることから、統計上、国民の貯蓄額が拡大しています。欧米と同じように、リオープンによって国内旅行や国内イベント盛り上がる素地はできあがっています。

 ただ、国民的合意ができるまで、リオープンは非常に慎重に行われると思われます。したがって、1~3月にすぐに消費爆発が起こるとは思えません。日本でも少しずつコロナ後のリベンジ消費(消費爆発)が盛り上がるとの見方が広がっていく過程で、リオープン関連株(イベント・国内旅行・電鉄など)が上昇する流れとなる可能性があります。

 リスク要因として一番心配しているのは中国です。実質デフォルト状態の恒大集団の処理は、中国が考えているソフトランディングで簡単に落ち着くとは考えられません。中国政府は、中国国内の恒大取引先企業や個人を守って、機関投資家や銀行に大きな負担を求めることを検討している可能性があります。

 そのやり方では海外投資家の反発が強く、すんなりまとまると考えられません。中国の不動産価格の下落がさらに進み、不動産大手全体に信用不安が広がると、中国景気悪化のリスクが高まります。

 米中対立激化の火種がくすぶったままです。中国に対して融和策をとってきた米バイデン政権が弱体化すると、米民主党内の強硬派および共和党が勢いづく可能性があり、米中対立が一段と激化する可能性があります。

バリュー株もグロース株も魅力的と判断

 私は、2022年の日経平均は、「前半強く、後半弱い」展開を予想しています。2022年の夏に3万4,000円に達すると予想しています。ただし、年後半には3万円1,000円程度(予想レンジ3万~3万2,000円)に下がる可能性があると考えています。

 ただ、そうした変動は、しょせん短期的動きと考えています。長期的、4年後までには、日経平均は4万円に上昇すると予想しているからです。

 日本のバリュー株・グロース株ともに魅力的で、長期の資産形成に寄与すると考えています。急落急騰を繰り返す年になりそうですが、それでも、時間分散しながら日本株を買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。

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