割安株、成長株、それぞれにメリット、デメリットがある

 前回の記事、2022年の投資戦略は「成長株狙い」or「割安株狙い」どちらが勝てる?で、割安株と成長株のどちらを狙うべきか、筆者なりの回答をいたしました。

 基本的に筆者は、割安株より成長株への投資を行っています。なぜなら、成長株の方が割安株より株価が大きく上昇する可能性が高いと考えられるからです。割安株の上昇はせいぜい2~3倍程度でしょう。一方、成長株は5~10年で株価が10倍、20倍ということも決して珍しくありません。

 逆に、成長株は特に成長が鈍化した後の株価下落がとても大きくなります。株価が高値から5分の1、10分の1となることも多いのです。一方、割安株でそこまで大きく下がることはあまりないでしょう。

 ですから、成長株のメリットは大きく上昇する可能性があることで、逆に大きく下落する可能性も高いのがデメリットです。

 逆に、割安株は大きく上昇する可能性が低いことがデメリットである半面、大きく下落する可能性が低いのがメリットといえます。

株投資の戦略:割安株と成長株のいいとこ取り「割安成長株」

 割安株と成長株のメリットをあわせ持つ株はないものか…実はそのようなカテゴリーもあります。「割安成長株」と呼ばれるものです。

 通常、成長株は株価指標から見て割高なものが多く、PER(株価収益率)が50倍とか100倍というものも珍しくありません。それらは将来の高い成長期待が反映されているので、実際に高成長が持続するのであれば、妥当な評価です。

 しかし、成長が鈍化したり売り上げや利益が減少したりしてしまうと、高成長評価というゲタが外れ、株価は大きく下落してしまうことが多いのです。

 これを、割安成長株は「割安」な「成長株」ですから、そもそも高い成長期待が株価にあまり反映されていません。そのため、成長が鈍化したり業績が悪化したりした場合、株価は下落するでしょうが、通常の成長株ほど、ひどい下げにはならないことが多いようです。

「割安成長株」の条件は?

 割安成長株は割安性と成長性をあわせ持つものです。では、具体的にどのような株が該当するのでしょうか?

 人により異なるでしょうが、筆者としては「PERが15倍以下」で「売り上げ・利益の伸びが年間10%以上」といった定義づけをしています。

筆者の定義する割安成長株の条件

割安成長株の条件

PERが15倍以下で、売り上げ・利益の伸びが年間10%以上

 ただし、この条件だとなかなか合致するものが見つからないというのであれば、条件を多少甘くしてもよいと思います。

 例えばPERを20倍以下にまで緩めるとか、売り上げ・利益の伸びは年によっては年間5%以上であれば許容する、といったようにです。

 あくまでも主眼は割安な「成長株」であり、「割安株」そのものではありませんから、成長性の面はあまり妥協しない方がよいと思います。

割安成長株が出現しやすい状況とは?

 この割安成長株、どのような状況で出現しやすいのでしょうか。

 足元のように、日経平均株価が3万円近い高水準になっていたとしても、割安成長株はそれなりに存在します。

 ただ、全体的な株価位置が高い状況にある中で存在する割安成長株は、注意が必要な場合も多々あります。

 高い成長性が見込まれる株が本当に割安な状態で放置されているのは、マーケット全体が大きく売られたり、低迷していたりする状況下においてです。

 例えば、アベノミクス相場が2012年11月中旬以降スタートしましたが、その前の、株価が低迷を続けているときは、PERが5倍とか7倍で、年間成長率が20%くらいの銘柄もいくつも存在していました。

 株価水準が高いときであっても割安成長株は見つかりますが、本当に「お宝株」を見つけることができる可能性が高いのは、マーケット全体の株価が大きく下落したときです。

 今はよい株は高くてなかなか買いにくいと思っている方は、今後マーケット全体が大きく調整することがあれば、その時を逃さないようにしておきましょう。

 このように、割安株と成長株の「いいとこ取り」をした割安成長株ですが、実際には投資するに当たって注意しておかなければならない点もいくつかあります。

 これについて詳しくは次回ご説明したいと思います。

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