米国株への投資をする個人投資家が急増している

 今やすっかりメジャーな存在となった米国株。楽天証券はじめネット証券でも気軽に米国株に投資できる時代になりました。

 と同時に、「米国株の税金ってどうなっているの?」と漠然と疑問に思っている人も増えていると思います。ただでさえ証券税制は複雑怪奇なのに、米国株ともなればさらに一段ハードルが上がってしまいます。

 一方、日本株より米国株の方がより株価が上昇していますから、「今年も米国株で利益を出すことができた」という人も多く、なおさら税金の扱いが気になるところです。

 そこで今回から数回に分け、米国株について最低限知っておきたい内容についてお伝えしたいと思います。

 なお、本コラムでは国内の証券会社を通じて米国株へ投資している場合について取り上げています。海外の証券会社と直接取引している場合、税金の取り扱いがこれとは大きく異なりますので、十分ご注意ください。

米国株の税金はおおむね日本株と同じ

 国内の証券会社を通じて米国株へ投資した場合の税金の取り扱いは、おおむね日本株と同じです。

 例えば、日本国内における米国株の譲渡益(売却益)にかかる税金は20.315%と同じで、年間トータルで売却損が生じた場合は同じ年の配当金と相殺できます。

 そして相殺しきれなかった売却損は、確定申告をすることで3年間繰り越すことができ、翌年以降の売却益や配当金と損益通算することが可能です。

 配当金の税金は源泉徴収されているので確定申告不要で、確定申告をした方が有利であれば確定申告することもできます。

 米国株も貸株ができるものがありますが、貸株金利や配当金相当額は日本株の場合と同様、原則として雑所得となり、譲渡損との損益通算はできません。

 また、会社員などの給与所得者で給与所得以外の所得が20万円以下の場合、所得税の確定申告が不要であることも日本株と同様です。ただし、これについては一言では説明できませんので、詳しくは下記のコラムをご参照ください。

■参考記事

「確定申告」会社員の20万円問題(その1):副業・配当で申告が必要な人

「確定申告」会社員の20万円問題(その2):確定申告をしたら損をする人・得する人

損益通算は日本株と米国株を合算して考える

「損益通算について基本から教えてほしい」という方が多いので、日本株と米国株の両方に投資しているケースでご説明します。

 損益通算を、日本株と米国株に分けてそれぞれ行う必要はありません。日本株も米国株も合算して考えればOKです。

 例えば2021年トータルで日本株の譲渡損益がマイナス50万円、米国株がプラス100万円だとすると、売買差し引きで50万円が課税対象となります。

 また、日本株の譲渡損益がマイナス100万円、米国株がプラス50万円の場合は売買差し引きで損失が50万円残ります。この場合、同じ年の配当金と相殺することができます。配当金が10万円なら、それを差し引いて残る損失は40万円です。

 この40万円の損失を翌年以降に繰り越すため、確定申告をすることになります。2021年分であれば最大で3年後の2024年まで繰り越すことができ、2024年までの譲渡益や配当金と損益通算することができます。

日本株と米国株とで異なる点はどこ?

 このように、日本株と米国株とで、税金の扱いはおおむね同じですが、以下の点については異なります。

1:米国株は米ドルで買い、米ドルで売却するため、為替レートの変動による損益(為替差損益)が絡んでくる

 米国株を保有中の為替変動による損益は、譲渡損益に含めることとされています。

2:米国株は日本国内の税金に加え、米国での税金も課税される

 米国株の売却益は米国では課税されませんが、配当金については米国でも課税されます。

3:米国で課税された税金を取り戻すことができる制度(外国税額控除)がある

 日本で確定申告をすることにより、米国で課税された税金の全部または一部を取り戻すことができます。

 これらについては、次回以降、さらに詳しく見ていくことにしたいと思います。

 下記の楽天証券のウェブサイトでも、米国株の税金について解説がありますので、関心のある方はこちらもご覧になってください。

■参考ページ

上場株式等に関わる税金(米国株式)

確定申告時のお取引確認方法(米国株式)

■【動画で学ぶ】足立武志さんの株投資テクニック満載!

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