日本株投資家・かぶ1000さん×2022年の2大注目銘柄

▼かぶ1000さんプロフィール

 中学2年のとき、お年玉などで貯めた40万円を元手に株式投資を始め、およそ30年で累積利益4億円を達成した名物投資家。その会社本来の価値に比べて株価が安い銘柄を見つけて投資するバリュー投資を得意とする。投資ブログ「かぶ1000投資日記」でポートフォリオや運用成績を公開するほか、ツイッターやツイキャスでも投資術を披露している。

今年はどんな年だった?

Q:2021年を振り返って、どんな年でしたか?

A:年の前半はアフターコロナ銘柄、後半は半導体関連を中心に利益増!

 2021年のトータルリターンは+6,572万6,072円(2021/11/1時点)。年率にすると+27.39%ですから、日経平均やTOPIX(東証株価指数)などの指数を上回る運用成績を残すことができました。ちなみに内訳は、株式投資が+6,387万8,633円、先物・オプションが+184万7,439円です。

 2020年はコロナショックもあり、最終的にはプラスで終えたとはいえ、かなり苦戦を強いられました。しかし、2021年は年明けから好調で、1月から3月にかけて、相場全体のリバウンドやアフターコロナ銘柄で大きな利益を出すことができました。

 いくつか例を挙げると、JR東海(9022)が+733万9,123円、JR東日本(9020)が+390万3,011円、青山商事(8219)が+571万7,541円で利益確定できました。いずれも底値圏で仕込んだ成果が出たかたちです。

 3月以降は新型コロナの再拡大や緊急事態宣言によって、アフターコロナ銘柄を中心に軟調となり、PFは低迷しました。しかし、8月以降、半導体関連のフェローテックホールディングス(6890)や、片倉工業(3001)のMBOなどにより、大きな利益を得ることができました。

 また、6,000円割れでナンピンを続けていたソフトバンクグループ(9984)が、1兆円の自社株買い発表によって含み益に転じたことも幸いしました。

来年はどうなる?

Q:2022年はこんな年になる!という予測を教えてください

A:コスト増が企業業績を左右。日経平均は3万5,000円に到達する可能性も?

 2022年は、新型コロナの影響が徐々に薄れて規制や制限が緩和に向かい、経済や行動形態が少しずつ正常に向かうと想定しています。

 ただし、原料高、原油高、人件費高とコスト増が企業業績を圧迫する可能性があり、コスト転嫁できるか否かによって企業業績に大きな差が出ることになると思います。

 株価については、米国株は指標面で見てもかなり過熱感があり、さらなる上昇の余地は小さいように思えます。

 一方、日本株は指標面でも割安で、増配や自社株買いなど株主還元の拡大も期待できるため、政府の経済政策や企業業績次第では、日経平均が3万5,000円に到達する可能性もあると思います。

2022年の2大注目銘柄その1:自身の最注目銘柄は!?

Q:2022年に最も注目している銘柄を1つ教えてください

A:ソフトバンクグループ(9984)

 今現在、私が最も注目しているのは、ソフトバンクグループ(9984)です。前期は当期純利益が4兆9,879億円と日本企業としては歴代最大の利益を達成しましたが、今期はグループの投資ファンドであるSVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)が保有する株式の評価減により、大幅な減益を余儀なくされました。

 しかし、1株当たりのNAV(ネットアセットバリュー)が1万2,191円と時価(7,132円※2021年11月17日現在)より40%ほど割安であることや、1兆円規模の自社株買いを予定していることなどを考えると、下値リスクは限定的であり、今後SVFからのIPO(新規公開株)増加による保有株の含み益が増えれば業績も上向くと考えられます。

 現在、ソフトバンクグループは、AI群戦略を掲げ、世界のAI関連の未上場企業の10%に匹敵する規模の投資を続けています。それによってIPO銘柄は年々増加していますから、同社が保有する株の含み益、売却益が大きく拡大する可能性があるのではないかと考えてます。

 近い将来、再び歴代最高値を記録した昨季の利益を更新し、時価総額でも日本一になる日がやってくるかもしれません。

2022年の2大注目銘柄その2:投資初心者におすすめする銘柄は!?

Q:2022年から投資を始める初心者に向けて、おすすめの銘柄を1つ教えてください

A:良品計画(7453)

 投資初心者は、基本的にBtoCの企業を選んだほうがいいと私は思います。業態がわかりやすいし、自分で商品を使ったり、店舗を訪れたりできるので、その会社がどのような状態にあるのか把握しやすいからです。

 そこで勧めたいのが、無印良品ブランドの衣料品や雑貨、食品などを販売する良品計画(7453)です。2020年8月期決算は、新型コロナの影響を受け、最終損益は創業以来初の赤字転落となりました。

 しかし、2021年8月期は国内外、とくに中国や東アジア地域が好調で、最終損益は339億円の黒字と過去最高純益となりました。

 今年9月には、ユニクロを展開するファーストリテイリング出身の堂前宣夫氏が新社長に就任、「第2の創業」をテーマに2030年に売上高3兆円、営業利益4,500億円を実現するという中期経営計画を発表しました。

 現在、株価は下落傾向ですが、業績の拡大が明確になれば株価も上昇していく可能性があります。株価が安い今株主になればその恩恵をじかに受けられるはずです。

初心者投資家へアドバイス!

Q:これから投資を始める人に向けて、投資方法や心構えのアドバイスを教えてください

A:自分にとってなじみのある企業から選んでみよう

 株式投資は「安く買って高くなったら売ってもうける」と思っている人がほとんどだと思います。しかし、初心者ほど「高値で飛び付いて、安値で投げ売りしてしまう」ことをやってしまいがちです。

 それは1つには、自分がよく知らない企業の株を買ったため、買うタイミング、売るタイミングがわからず、周りの雰囲気に流されてしまうからだと思うのです。では、どうすればいいか。私は、自分がよく知らない企業への投資は控えるべきだと思います。

 先ほども話したようにBtoCの企業、そのなかでも自分にとってなじみのある企業の株からまずは選んでみましょう。

 それから、すでに話題になっている企業の株は、もうかなり高くなっている可能性が高いということも頭に入れておくべきでしょう。もちろん、業績次第ではさらに株価が上昇することもあり得ます。しかし、一方で失望の材料が出た時には一気に株価が下落することもあり得ます。

 ですから私は、まだ誰も注目していない銘柄や、みんなが見放してしまった銘柄を狙うことが多いのです。良品計画もコロナ禍で業績が低迷していた時期に購入したのですが、一時株価は買値の2倍以上になりました。

 投資初心者が、誰も注目していない「お宝」を探り当てるのは簡単ではないでしょう。しかし、例えば自分がよく利用している飲食チェーンが急に混雑するようになったとしたら、その企業の業績が良くなる可能性があります。そういうヒントを日常生活から見逃さないことが大事だと思います。

 企業の株を買うというのは、その企業のオーナーの1人になるということです。自分が目をつけた企業の成長とともに自分自身の資産を成長させていく──。それこそが株式投資の一番の醍醐味(だいごみ)だと思います。

■かぶ1000さんインタビュー
前編:お年玉を4億円に増やした投資術とは!?
中編:資産バリュー投資は「ネットネット株」に注目
後編:ポートフォリオはこう作る!