日経平均のピークをよむ重要指標
今年の日経平均株価は、2万7,000円から3万800円あたりのレンジ相場となっています。今後、上抜けしていくのか下落してしまうのかが気になるところですが、業績動向からみると、しばらくの間はどんどん上がる可能性も低い一方、どんどん下がる可能性もまた低いように見えます。
どのようなことを根拠にそう見えるのかについて、今回、お伝えをしていきたいと思います。
まず一つ目が、2021年10月14日のコラム「日経平均株価は今がピークあたりか?」でもご紹介しました、「日経平均株価の予想EPS(1株当たり利益)の前年比の増減率」がピークアウトしたという点です。
2013年からの推移は次のようになっています。
グラフ1:日経平均株価と予想EPS(5週平均)の前年比増減率
このグラフをみると、2014年1月、2015年6月、2017年12月にピークアウトをしていますが、いずれも頭打ちの状況となっています。そして、今回、10月にピークアウトをしているので、この点からみると、日経平均株価は少なくともどんどん上がっていく状況にはないようにみえます。
下がり続ける可能性は?注目したいもう一つの指標
では、逆にどんどん下がっていくのかという点についてですが、私が重要視しているもう一つの指標をお伝えしたいと思います。それは、「日経平均株価の予想EPSの4週前比の増減率」です。
2013年からの推移は次のようになっています。
グラフ2:日経平均株価と予想EPSの4週前比増減率
このグラフを見ると、+1%以上が継続しているときには株価は上昇傾向にあることがみてとれます。足元では2021年7~9月の四半期決算の発表が一巡しましたが、アナリストが予想をしていたよりも企業業績は全体として好調で、4週前比の増減率も+2%以上と、再度、大幅な上昇率となっています。この点からみると、日経平均は少なくともどんどん下がっていく状況にはないようにみえます。
グラフ1からはどんどん上がる状況にはない、グラフ2からはどんどん下がる状況にはないということで、当面の間は上がりにくく下がりにくい展開が想定されるということになります。
今回のように、前年比でピークアウトしながら4週前比で+2%以上になるという状況は、2017年12月にピークアウトをした時にもありました。当時は、日経平均株価はいったん頭打ちになり下落しましたが、どんどん下がるという形にはならず、企業業績の堅調さから、再度盛り返す展開となりました。
展開を打破する想定シナリオ
では今回、この下がりにくい展開が打破されるとしたら、どのようなシナリオが考えられるのでしょうか?
グラフ1で考えられることは、ピークアウトの逆、ボトムアウトの出現です。ただし、現状から推測すると、ボトムアウトまではかなりの期間がかかりそうです。このため、動きがあるとしたらグラフ2の方でしょう。
想定その一は、+1%以上の状態が継続する展開です。この場合には、いったん頭打ちになりながらも再度上昇して、今年の高値をトライするような動きになるでしょう。
想定その二は、4週前比が1%未満と、マイナス転換する展開です。長くプラスの状態が続いた後にマイナス転換をしたときには、過去においてはその後、それなりの下落が起こっています。
現状、+2%以上となっているため、しばらくは+1%以上の状態が続くと思いますが、大きく変化するとしたら、10~12月の決算が発表される2月上旬あたりかとみています。予想EPSの前年比と4週前比という二つの視点のみで判断した場合、決算発表までは上がりにくく下がりにくい展開が続くようにみえます。
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