★筆者が選ぶ10万円株は2ページ3ページに掲載しています。

岸田内閣のけん引力がポイントになりそう

 11月19日に取りまとめられた政府の経済対策が、株式市場でどのように受け止められるかが、まずは今後の注目点となるでしょう。

 ただ、今回の経済対策については失望され株式市場の足かせとなる可能性は高くなく、「好感」もしくは「織り込み済み」の2択と考えていいのではないでしょうか。

 これまであまり意識されなかった分配政策も、注目されることになりそうです。岸田首相が掲げた項目を実行できるかどうかという視点です。

 株式市場では「成長政策」について取りざたされることが多いですが、岸田政権の実行力がより問われるのは「分配政策」の方かもしれません。政府のけん引力が強くなれば、充分に投資家の評価を高めることになります。

 また、11月8日からビジネス目的の入国待機期間が最短で3日に短縮されています。11月15日、新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種について厚生労働省の専門家分科会は、12月から接種を始めることを承認しました(まずは18歳以上が対象)。

 さらに2回目までと異なるワクチンを打つ「交互接種」も認めています。ここまでワクチン効果について疑問はなく、ワクチン3回目接種が進めば、さらに人の動き=経済活動の回復が進む公算です。

 ただ、新型コロナウイルスが撲滅されるわけではないため、過去に経験したことがない「ウイルスとの共存」が試されることになります。株式市場においては「コロナ追い風業種」「コロナ逆風業種」のどちらにも業績拡大or回復のチャンスが存在する、という見方に転ぶ可能性もあります。

 すでに決定している、18歳以下の子どもを対象に10万円相当を給付(所得制限あり/現金5万円+クーポン5万円)する施策も事業規模が約2兆円とされており、消費拡大に寄与することは間違いありません。多くのことが段階を踏んで「回復」していくと見通すことができそうです。

決算発表終盤、業績上振れがありそうな銘柄に注目

 2021年3月期第2四半期決算発表の終盤の、11月第2週の段階でも東証1部上場企業(3月期決算企業)の約20%超が通期営業利益計画の上方修正を発表しています。この比率は例年と比較して高いと言えます。

 今後は、足元の業績好調にもかかわらず通期予想を据え置いた企業、すでに好業績は認識されているもののさらに上方修正の期待があると思われる銘柄(いずれも上振れ期待)に投資家の関心が移っていくものと思われます。

 ここでは、すでに営業利益や経常利益において「今期過去最高更新」が見込まれ、さらなる上振れも期待される銘柄の中から、10万円で投資可能な銘柄を絞り込んでみました。

過去最高益更新見通し+業績上振れ期待の10万円株

 株価データは2021年11月17日終値ベース。

カナミックネットワーク(3939・東証1部)

 医療・介護の分野に特化したクラウドサービスを手掛け、自治体職員、医師、看護師、ケアマネジャー、介護サービス事業者などを対象に、情報を共有できるプラットフォームを提供しています。

 11月2日に2021年9月期連結経常利益が前期比22.6%増の8.2億円と発表し、2022年9月期も前期比12.2%増の9.3億円に伸びる見通しとしています(11期連続最高益更新見通し)。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

シーティーエス(4345・東証1部)

 建設ICT(測量、設計・施工計画、施工、検査などの工程で3次元データなどを活用すること)の専門企業です。群馬、新潟、山梨を地盤に全国に展開しています。

 10月29日に2022年3月期第2四半期(4-9月)の連結経常利益が前年同期比19.3%増の11.4億円に伸びたと発表しています(2022年3月期通期売上高・営業利益は過去最高更新見通し)。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ニーズウェル(3992・東証1部)

 業務系システム開発や基盤構築、組み込み系開発を手掛ける情報サービス企業です。システム開発では金融、通信、流通、サービス業など幅広い分野の顧客を持ち、得意とする金融分野では生損保向けに強みがあります。

 11月11日に2021年9月期の経常利益が前期比13.2%増の5.8億円となり、2022年9月期通期も前期比6.5%増の6.2億円に伸びる見通しとしています(10期連続最高益更新見通し)。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

プレステージ・インターナショナル(4290・東証1部)

 コールセンターに強いBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業です。自動車事故や故障対応の損保関連が主力です。人手不足、働き方改革の追い風を受けコールセンター需要が堅調です。

 10月29日に2022年3月期第2四半期(4-9月)の連結経常利益が前年同期比19.2%増の31.3億円に伸びたと発表し、2022年3月期通期経常利益を20.1%増に上方修正しています(過去最高益更新見通し)。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

イントラスト(7191・東証1部)

 プレステージ・インターナショナル(4290)の子会社で、総合保証サービスを手がけています。主力の家賃保証は、大手不動産管理会社が主要顧客で、賃貸借契約締結時に連帯保証人となり家賃滞納リスクを引き受けるビジネスモデルです。

 2022年3月期第2四半期(4-9月)の経常利益は前年同期比3.2%増の5.8億円に伸びたとしています。2022年3月期通期の経常利益は前期比10.5%増見込みです(過去最高益更新見通し)。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)