いま注目を集める「レバナス」
S&P500種指数をはじめ、米国株式のインデックスファンドは依然、根強い人気を誇っています。そうした中、最近は、同じ米国株式インデックスに連動するタイプでも、より高いリターンを狙うレバレッジ型(ブル・ベア型)が注目を集めています。
レバレッジとは、「てこ(梃子)の原理」を意味しますが、一般的なインデックスファンドと何が違うのでしょうか。
今回は、レバレッジ型の中でも「レバナス」をはじめとする、海外レバレッジ型の特徴について解説するとともに、投資初心者が注意すべき点についても解説していきます。
レバナスの「レバ」の基本
「レバナス」とは、「NASDAQ指数のレバレッジ型」を意味する略称ですが、まずは、レバレッジ型の仕組みについて、今一度確認しておきましょう。
レバレッジ型とは、商品先物取引などを活用し、レバレッジ(てこの原理)を利かせ、投資資金の何倍もの投資効果を追求する投資信託のことです。
この倍率は商品によって異なりますが、近年増えている海外の株価指数を対象とした海外レバレッジ型の場合、2倍から3倍で設計されているものが主流になっています。
つまり、日々の基準価額の値動きが、連動を目指す指数の値動きの2~3倍になるよう、運用がなされます。基準価額の値動きが荒く、リスクが高いのが特徴です。
一般的に投資信託では中長期投資が推奨されますが、レバレッジ型は、相場環境に応じた迅速な投資判断が求められる、数少ない投資信託でもあります。
海外の株価指数が対象のレバレッジ型が増えている
レバレッジ型といえば、これまでは日経平均株価をはじめ国内の株価指数を対象としたタイプが主流でした。ところが近年は、良好な株式市場を背景に、NASDAQ100指数やS&P500種指数などの海外の株価指数を対象としたタイプの設定が増えています。
冒頭で触れた「レバナス」も、「iFreeレバレッジ NASDAQ100」(大和アセットマネジメント)の人気の高まりとともに、SNS(交流サイト)などで広まっていったようです。
また、11月17日には、楽天投信投資顧問より「楽天レバレッジNASDAQ-100 (愛称:レバナス)」が新たに設定されます。ぜひチェックしてみてください。
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レバレッジ型の仕組みそのものは、連動対象が国内の株価指数でも、海外の株価指数でも変わりありません。
したがって、株式市場が一方向に動かないとリターンを期待しにくいという点や、いわゆるボックス圏(株価指数が上昇と下落を繰り返す)相場だとリターンがだんだん減ってしまうという点は同じです。
≫レバレッジ型(ブル・ベア型)の商品性について詳しく知りたい方はこちら
「レバナス」タイプ、2つの注意点と賢い活用法
一方で、海外株式ならではの特徴として、以下の2点には注意する必要があります。
注意点1:現在参照している株価水準と、基準価額に適用される株価水準にタイムラグがある
「投資信託で『安く買って高く売る』はできるのか?」でも解説した通り、国内株式型ファンド(投資信託)の場合、極端に言えば、申し込み締切時間ギリギリまで日経平均株価の動向を見て、購入や解約の判断をすることもできないわけではありません。
締切時間までに申し込みを済ませたファンドの購入や解約注文に適用される基準価額は、当日の日経平均株価を反映したものになるためです。
一方、米国株式をはじめとする海外資産に投資するファンドの場合、申し込んだ日の翌朝(日本時間)の終値と為替レートを反映して基準価額が算出されるため、購入時に参照している株価水準との間にタイムラグが生じます。
したがって、海外レバレッジ型で、市場が大きく動いたタイミングを狙い、ピンポイントで取引をするということは事実上不可能です。
基準価額の値動きが荒く、また、マーケットを見ながらの取引が難しいという特性を生かし、思い切って積み立てで投資するというのも一つの方法です。
前述した大和アセットマネジメントの「iFreeレバレッジ」シリーズ、農林中金全共連アセットマネジメントの「NZAM・レバレッジ」シリーズのほか、17日設定の楽天投信投資顧問「楽天レバレッジNASDAQ-100 (愛称:レバナス)」(※)などは積み立てに対応しています。相場動向を見極める自信がないという人は、積み立てを検討してもよいでしょう。
※「楽天レバレッジNASDAQ-100」の積立注文は、2021年11月17日からとなります。当初募集期間は、スポット購入のみとなります。
注意点2:為替フルヘッジのファンドが多い
海外株式レバレッジ型の多くは、為替をフルヘッジするよう商品設計がなされています。レバレッジ型で為替ヘッジを行うのは、為替変動リスクを低減させ、株価指数の値動きをダイレクトに享受するためです。
例えば、「iFreeレバレッジ NASDAQ100」は、「日々の基準価額の値動きがNASDAQ100指数(米ドルベース)の値動きの2倍程度となること」を目指して運用を行いますが、為替変動の影響が基準価額に反映されてしまうと、「2倍」にならない可能性があります。
そこで、為替をフルヘッジし、純粋に株価指数の値動きだけを基準価額に反映するようにしているのです。
同時に、為替をフルヘッジするということはつまり、円安進行時に為替差益を享受できないということでもあります。一般的なインデックスファンドは為替ヘッジなしのタイプが主流のため、為替差益が生じた場合リターンに上乗せされます。
しかし、フルヘッジを行うレバレッジ型の場合、為替が円安方向に振れても上乗せのリターンは期待できません。この点は覚えておきましょう。
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