★筆者が選ぶ10万円株は2ページ、3ページに掲載しています。
中国の高成長イメージは消えていく公算
中国経済に対する懸念が高まっています。多額の債務を抱えて経営難に陥っている中国の大手不動産デベロッパー「中国恒大集団(Evergrande Group)」の株価急落をきっかけに世界的な株安となりました。
一部には2008年のリーマン・ブラザーズ経営破綻時のような、金融システム全体が動揺する可能性を危惧する声もあります。中国恒大集団の経営問題は、中国当局の規制によって引き起こされたものと思われます。
中国当局はここまで「IT大手企業」、「フィンテック」、「暗号資産」、「教育」、「ゲーム」、「不動産」などに矢継ぎ早に規制を行いました。企業による独占的な行為は認めない姿勢です。
この背景には中国政府の経済運営目標が「共同富裕」、つまり公平性重視にシフトしていることがあります。
これは歴史的な方針転換です。1992年1~2月に当時の最高実力者・鄧小平氏が中国南部の諸都市をめぐって改革・開放の加速を呼びかけた「南巡講話」からスタートした、「富める者から先に富む」という姿勢の終わりを意味するものと見られます。
1989年6月の天安門事件以降、規制強化による経済停滞期を経て、市場経済化、グローバル化による高度経済成長期を迎えましたが、曲がり角に来ていると考えていいでしょう。
中国においては、仮に当局の規制によって大企業が破綻したとしても、「計画破綻」と見なすこともできます。一方、香港や中国本土の株式市場が急落を続けた場合、当局が強い措置に出るものと想定します。
その例として「株式市場を一定期間(あるいは特定時間)閉鎖する」「(当局の意を受けた)中国の金融機関が大規模な買い支えに動く」などが想定されます。
もちろんその場合も乱高下は免れませんが、次第に株式市場は落ち着きを取り戻すでしょう。もっとも重要なことは、中国政府が「共同富裕」にかじを切ったということです。
中国経済についてはこれまでの高成長イメージを改める必要があるかもしれません。
経済活動再開はもちろん日本株の追い風に
9月29日投開票の自民党総裁選は政権与党内の選挙であり、どの候補者が当選したとしても大きな政策変更はないと見られます(細かな部分では独自色が出ます)。
政治の安定が株式市場の安定につながるのは事実ですが、総裁選がこれほど注目された後に樹立する新政権は、当初高揚感を伴い歓迎されると見ています。
11月には衆議院選挙が行われますが、前回選挙と同様に「与党勝利」となりそうです。日本の政治は安定を続けることになります。
その中で、菅現政権の最後の大仕事となるかもしれない「緊急事態宣言」の解除が取りざたされています。9月末に期限を迎える19の都道府県への緊急事態宣言について、(全面もしくは一部)解除も視野に検討にされているということです。
菅首相は関係閣僚や専門家の意見をふまえ、9月28日に最終決定する見込みです。新型コロナウイルスの新規感染者数が全国的に減少傾向にあることから、解除される可能性は高いでしょう。
次期首相となる自民党総裁選立候補者は全員、討論会などで一様に緊急事態宣言解除後の経済活動再開に積極的に取り組むとしており、コロナ逆風が強い旅行業などに対する支援策「GoToトラベル」の再開も示唆しています。
現在、ワクチン接種が進展していることを勘案すると「GoToトラベル」に海外との往来も想定される可能性があるのではないでしょうか?
その場合、日本人が海外渡航するケースと外国人が訪日するケースの両方が想定され、後者において「インバウンド需要の復活」という、コロナ禍以降見られなかった期待が芽生えるかもしれません。
10万円で投資可能な銘柄については、以下のような銘柄への注目度が高まりそうです。
「GoToトラベル」再開期待で注目、旅行関連10万円株
※株価データは2021年9月22日終値ベース。
ベルトラ(7048・マザーズ)
主に海外での現地体験型オプショナルツアーのオンライン予約サイト「VELTRA(ベルトラ)」を運営しています。
・1年日足チャート
HANATOUR JAPAN(6561・マザーズ)
インバウンド専門旅行会社で、韓国を中心に中国、東南アジア、欧米からの団体旅行を扱います。
・1年日足チャート
出遅れ感が目立つ10万円株
他にも出遅れ感が目立つ「10万円株」はあります。
中国不安と経済活動再開との綱引きにはなるものの、今後は「コロナ禍からの本格復活」という大きな流れに収束していくものと思われます。以下のような銘柄にも注目しています。
※株価データは2021年9月22日終値ベース。
マーベラス(7844・東証1部)
オンラインゲーム・ゲームソフトの企画・制作・販売が主力で、アニメやコミックなどのキャラクターを活用したコンテンツに強みを持ちます。
・1年日足チャート
オエノンホールディングス(2533・東証1部)
焼酎と日本酒を主力に取り扱う持株会社です(旧社名合同酒精)。飲食店での酒類提供制限緩和が期待される銘柄です。
・1年日足チャート
日立造船(7004・東証1部)
ゴミ焼却設備などの「環境装置」を主軸に、機械、インフラなどに展開しています。洋上風力発電や全固体電池など新エネルギー分野も開拓中です。
・1年日足チャート
りそなホールディングス(8308・東証1部)
5大銀行グループの一角で傘下にりそな、埼玉りそな、関西みらい、みなとの4行を擁します。中間配当金1株あたり10円50銭(予想)と高配当です(9月28日権利付き最終日)。
・1年日足チャート
フージャースホールディングス(3284・東証1部)
独立系マンション開発企業で地方都市での分譲に強みがあります。中間配当金1株あたり17円(予想)と高配当です(9月28日権利付き最終日)。
・1年日足チャート
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