※本記事は2018年9月6日に公開したものです。
月間100万PVを誇る人気ブログ「たぱぞうの米国株投資」。その管理人であるたばぞう氏は働きながら米国株をメインに投資し、十数年で数千万円を稼ぎ出した。インタビュー[中編]の今回は、たぱぞう氏が最近、よく購入しているという米国ETF(上場投資信託)の魅力について聞いた。
仕事が忙しくて時間がない人はETF
──前回、米国株の魅力についてお話しいただきましたが、これから米国株を始めようとする人のためにオススメの商品、銘柄を教えてもらえますか。
それはもう絶対的にETFです。僕自身、最近は個別株はほとんど手を出していなくて、ETFばかり買っています。
──ETFは証券取引所に上場している投資信託、早い話、株と同じように売買できる投資信託のことですよね。
はい、さまざまな株式指数に連動する運用成果を目指すもので、日本にも日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)の動きに連動するETFがあります。ただ、米国では日本と比較にならないくらい数多くのETFが上場されているんですね。米国中の企業の株価に連動するもの、NYダウに連動するもの、世界中の先進国、あるいは新興国の市場に連動するもの、さらには債券市場に連動するものや不動産指数に連動するものなど、とにかくいろんな種類があります。
──たぱぞうさんは何種類お持ちなんですか。
今は4種類かな。一つは米国を代表する投資信託運用会社、バンガードが発売している「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」。二つ目は同じくバンガードの「バンガード・トータル・ストックマーケットETF(VTI)」。前者は世界中の上場企業、後者は米国のほとんどの上場企業の株式に連動するもので、どちらも米国ETFを代表する人気商品です。ほかに米国不動産ETFと米国高配当企業ETFを持っています。
──ETFの魅力をお話しいただけますか。
投資で最も重要なことは何かと聞かれたら、分散投資と答える人が多いと思うんですね。僕もたとえほれ込んだ銘柄であっても、資産の大半を注ぎ込むようなことは避けてきました。米国の個別株を買っていたころも、たいがい10から20程度の銘柄に振り分けていました。その点、ETFは複数、商品によっては何百、何千の銘柄の集合体なのですから、一つの商品で分散投資できてしまうわけです。だから、その集合体のなかの一部の銘柄が暴落するようなことがあっても、集合体全体としてのパフォーマンスがよければ好リターンを得られるわけです。
──なるほど。
僕が持っているバンガードの「VTI」は米国のほとんどの上場銘柄の集合体なんですね。つまり、「VTI」を買うということは、米国の個別銘柄のほとんどを買うということであり、それはすなわち米国市場そのものに投資するということなんです。前編でお話ししたように米国市場は今も成長しているし、今後も成長を続けると見込まれています。だから、これはまあ、僕の持論ですが、「VTI」が下落を続けるということはちょっと考えにくい。少なくとも長期的には上昇し続けると考えています。
──普通、株をやっていると毎日株価の変動をチェックしたり、企業情報を調べたり、かなり時間を取られますよね。その必要もなさそうですね。
実は僕がETFを始めたのも、ブログを始めたり、投資顧問会社からレポートを依頼されたりして忙しくなったのがキッカケなんです。自分の投資にあてる時間がなかなか取れなくなった。ETFだと、買ったら持っていればいいだけなので、すごくラクなんです。そういう意味では、会社の仕事が忙しくて投資を始めたくてもできないという人にもオススメです。それともう一つ付け加えると、一般の投資信託に比べて信託報酬、つまり手数料が割安というメリットもあります。
米国の上場企業のほとんどを網羅する「VTI」がオススメ
──では、数あるETFのなかのオススメについて教えていただけますか。やはり「VTI」ということになるんでしょうか。
そうですね、イチ押しはやっぱり「VTI」ですね。ちなみにバンガードには「バンガード・S&P500ETF(VOO)」という商品もあります。「VTI」が米国の上場企業のほとんどを網羅しているのに対して、「VOO」は米国の主要銘柄500によって構成されます。いわば実績のある銘柄の集合体ですからより安定性が高い商品と考えています。
──でも、たぱぞうさんは「VTI」推しなんですよね。
僕には新興企業や中堅企業が含まれる「VTI」のほうが魅力的に思えるんです。なぜなら、米国には創業してすぐ驚異的な成長を遂げたり、何かをキッカケに大化けする企業が山ほどあります。だから、新興企業や中堅企業を含んだほうが面白いかなと。ただし、そういう企業は大手企業や有名企業に比べると倒産のリスクが高いわけですから、トータルに考えるとどちらが高パフォーマンスを期待できるかは難しいところです。そのあたりは好みといえるかもしれません。
──世界中の上場銘柄の集合体である「VT」はどうですか。
実は日本の投資家の間では「VTI」よりむしろ「VT」のほうが人気なんですね。専門家でも「VT」を推奨する人が多い。これはいわば世界経済を丸ごと買うような商品ですから、「世界経済は長期的には発展していくものだ」という前提に立てば、非常に説得力のある商品といえます。それに米国企業に絞るよりも、全世界に分散投資したほうがリスクが少ないという見方も当然あります。僕自身は、どちらかといえば「VTI」派ですが、「VT」もオススメの一つであることには変わりありません。
──素人目線でいわせてもらうと、新興国モノなんて面白いと思うんですが。経済成長が著しい国の銘柄を集めた商品であれば、高パフォーマンスを期待できるのでは?
バンガードには、ブラジルやロシア、インド、中国、南アフリカなどを投資対象とする「バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)」という商品があります。これもおっしゃる通り、人気商品の一つです。ただ、新興国ETFにはいくつか難しい問題があるんです。一つは経済成長と株価は必ずしもリンクしないということ。経済成長は著しいけど、株価は上がらないということも往々にしてあるんです。
それと、新興国の場合、株式市場に関する法整備が遅れていることがあり、ある程度のリスクを伴います。ただし、ETFなら、例えばブラジルが経済危機にひんしても、ほかのロシアやインド、中国などが好調ならプラマイゼロ以上を期待できますから、どこか1カ国に集中投資するよりははるかに安全といえるでしょう。
──ETFの魅力はよく分かりました。で、一つ確認ですが、米国ETFは米ドルで買うんですよね。
そうですね。証券口座を開いたら円を米ドルに両替して購入します。とはいえ、多少手間がかかるくらいで、難しいことは何もないので、トライしてみるとよいかと。
──日本円では買えないのですか。
今は東証でも外国株ETFを販売しています。まだ種類は限られますが、当然円で買えますから、どんな商品があるのか調べてみるといいかもしれません。それと今年1月に「つみたてNISA」が始まったのはご存じかと思いますが、これによって米国ETFは一気に身近なものになりました。例えば楽天投信投資顧問では「楽天バンガード全米株式インデックスファンド」という商品を発売したのですが、これは前述した「VTI」をパッケージ化した商品であり、大いにオススメできます。
──では、それについては後編で詳しくお聞きします。
読者へのメッセージ
水は、器が丸ければ丸く、四角ならば四角になります。
相場環境に合わせて、私たちもしなやかに生き抜きたいですね。
後編へ続く
前編「米国株は最強!?日本株を売って全資産を振り向けたワケ」を見る>>
◎今回の取材先:たぱぞうさん
米国投資を中心に毎日記事を更新している「たぱぞうの米国株投資」。
投資分析や読者の質問に答える記事は、初心者にもわかりやすく、学べるブログとして定評がある。
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。