※このインタビューは2018/06/21に公開した記事となります。
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人気投資ブロガーである「むらやん」さんは、12年超の投資歴をもつデイトレーダー。その間、株式投資から退場の危機に見舞われたものの、見事に復活を遂げ、現在に至ります。
そんなむらやんさんインタビュー後編は、トレードの日常から株投資の哲学まで、お聞きしました。
ラッキーなデビューから一転、ジリ貧トレーダーに
むらやんさんが株投資デビューした2005年は小泉相場、郵政民営化相場と言われる上昇相場でした。
「ちょっと下がっても値は戻ってきたので、トータルでは負けなかった。たとえばデビューが2008年のリーマン・ショックや2006年のライブドア・ショックのときだったら、株価の急落に対応できず、株から足を洗っていたかもしれません」(むらやんさん)
2006年が明けてすぐ、ライブドア・ショックが起きましたが、下げ相場なら信用取引の売り(※)で対応しようと考えていたため、月100万~200万円はコンスタントに稼ぐように。
※信用取引の売り:証券会社から株券を借りて、市場を通じて売却する取引のこと。空売り(からうり)とも言われる。今後値下がりすることが予想される株を売って、株価が下落したところで買い戻して利益を得る取引。
そして2008年のリーマン・ショックも乗り切ってきたむらやんさんですが、2009年9月からの民主党政権時代は大きな危機に陥りました。
「これは他の投資家皆さんもよく言っていることですが、大負けしない代わりに、大儲けもないボラティリティ(変動性)のない相場が続きました。そのため、2012年までの3年間は毎年1千万円、500万円と投資資産を減らし続けていましたね。株に本気で取り組んでから初めて、株をやめようかなと真剣に考えました」(むらやんさん)
投資資産総額7,000万~8,000万円ほども築いたのに、アベノミクスが始まる手前では3,800万円まで縮小。どんな株でも上がらない、何をやっても上がらないという状態に見切りを付け、むらやんさんは手元に残っている3,800万円を持って、不動産投資に移行しようと考えていたと言います。
そうこうするうちに2012年、自民党へ政権交代し、アベノミクスがスタート。一気に上げ相場になったそうですが……。
「実は相場の盛り上がりに疑心暗鬼でした。上昇しているけれど、本当はまた下がるんでしょと、下げ相場のトラウマを抱えていました。一方、今までなら下落するパターンの株でも、2~3倍と上昇するので、この展開にしばらくは頭がついていけませんでした」(むらやんさん)
これを乗り越えて、一時は1億9,000万円まで資産を増やしたむらやんさんですが、2015~2017年はまた下降線に。
「これまで12年間、株をやってきましたが、振り返るとお金を増やせた時期って3回くらいしかなかったんです。だいたい4年に1回の割合で」(むらやんさん)
それはライブドア・ショックの2006年、リーマン・ショックの2008年、アベノミクスの2013~2014年で、それ以外の8年間は、プラスマイナスゼロか、マイナス気味で、とりあえず生活費が出ていた程度だったそうです。
「だから、自分にとって相性のいい時代を待っていればいいと考えを変えました。自分が向いていない相場のときに、無理して大金を突っ込んでもしょうがないと」(むらやんさん)
損切りできない者は生き残れない
このむらやんさんの割り切った考え方は、投資の姿勢にも表れているのかもしれません。
「取引するときの儲けの目標はいつも立てています。5万~10万円を狙ったり、10万~20万円を狙ったり。チャートや流れから、この銘柄だったらこの金額とあらかじめ予想を立てます。自分が目論んだ金額まできたら、相場が上向いていても利益確定(決済)しますね。本当は利益を引っ張ればいいのかもしれませんが、深追いはしません。逆に言えば、きちんと損切りもしますね。常に自分の中で範囲、ルールは守った取引をします」(むらやんさん)
しかし、過去には50万円の損が出ているのに、「損切りしたくない」という感情が勝り、結局200万~300万円の損を出したことも。「実はここ2年くらいですね、感情に左右されず損切りできるようになったのは」と、判断を下す難しさもあると言います。
デイトレの情報収集はツイッター
むらやんさんの投資スタイルは、時間軸が短い株のデイトレード。午前中は寄りつき9時から10時過ぎと、後場(ごば)は14時から15時を取引の時間と決めているそうです。それ以外の時間は情報収集や、トレーダー仲間との情報交換、交流に充てていて、このときに欠かせないのがツイッターなのだとか。
「ツイッターで今どの株が騒がれているか、動いている株はどれか、リアルタイムにチェックしています。そこから出来高、売買代金を見て銘柄をピックアップ。さらにどれが上がりそうか予想します」(むらやんさん)
今までまったく動きがないのに突如、出来高を伴ってランキングに躍り出た銘柄などは、その値動きの理由を調べ、情報整理して動いた当日ではなく、翌日から買うというむらやんさん。
「1日目は上がって、2日目は押して、3日目にまた上がるというパターンがよくあります。押し目になった銘柄をいくつかピックアップして、次に上がるタイミングを見るんです。1日に3~4銘柄、盛り上がっているときだったら5~6銘柄くらいあります。そのなかで好みの軸で銘柄を見ますね」(むらやんさん)
自称マイペース・デイトレーダー
周りの個人投資家と比べると「資産の伸びも最低で、相当適当にやっている」と言うむらやんさん。努力して真面目に向き合うと「その後のダメージが大きいというか。ちょっと緩めでいきたい」からだそう。
その日の値動きを復習して、明日はこの3つの銘柄を買おうと決めて、「よし、完璧」と思って挑むと、だいたい大負けしてしまうのだそうです。
「この努力と反比例する世界ってなんだろうと思います。昔、営業をやっていたときは、頑張れば頑張るほど得るものも大きく、だから、あらかじめチェックして、準備して…と完璧主義者だったんです。そのつもりで投資の世界に入ったら見事に打ち砕かれて。完璧に準備して思い通りにならなかったときは感情的にもなったりもしました。しかし、柔軟な向き合い方をしたら、うまく回るようになったんです」(むらやんさん)
周りの個人投資家からは「もっと努力したら勝てるのにもったいないね~」と残念がられるそうですが、自分の精神衛生のバランスや友人との食事などのリラックスタイムなども大切にして、マイペースなトレードライフを見出しているむらやんさんでした。
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●今回の取材先:むらやん さん
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