投資信託のリターン、本当の意味は?
投資信託の実力を測る指標の中で、最もシンプルでかつ分かりやすいのが、損益を表す「リターン」です。
投資信託評価の世界では、単純なリターンだけでなく、そのファンドが負うリスクの大小を考慮に入れた、「シャープレシオ」をより重視しますが、今回はあえてリターンに焦点を当てることにします。
というのも、この「リターン」を正しく理解できていないと、優良な投資信託の判断ができないからです。
では早速ですが、リターンにまつわる理解度チェックのクイズを出題します。
5年後に獲得できるリターンが高いのはどっち?
答え
1:5年間にわたり、毎年5%ずつリターンを獲得できるファンド
「5年にわたり毎年5%ずつ」と「5年ごとに25%」というのは、一見するとリターンに差がないように思えます。
この問題を解くヒントは、「年率リターン」と「複利効果」に隠されています。
年率リターンとは、期間リターンを「1年あたり」に換算したもので、「1年あたりリターン」とも言います。年率リターンを使うと、この問題の例のような、異なる計算期間の商品を比較しやすくなります。
Aの年率リターンは、問題の通り「毎年5%」なので「5%」です。
一方、Bの年率リターンは、以下の式で求められ、「4.6%」となります。
![](/mwimgs/a/4/-/img_a41e8871cf7ff7b8781ad1e841534dbd1776.png)
「25÷5=5」とならないのは、複利効果(得られた利益を元本に毎年積み上げ、継続的に運用することで、元本がふくらんでいく効果)があるためです。
ちなみに、上記の計算を表計算ソフト上で行う場合は、セルに下記の数式を入力してください。
=(0.25+1)^(1/5)-1
では、AとBそれぞれの5年間の期間リターンは何%でしょうか。
Bの期間リターンは、やはり問題文の通り、「5年ごとに25%」なので、「25%」です。
一方、Aの期間リターンは、複利効果を考慮に入れた以下の式で求められます。
![](/mwimgs/1/c/-/img_1ce7f160e1ecbd1ae7e376228ed886101580.png)
こちらも、表計算ソフト上で計算を行う場合は、セルに下記の数式を入力してください。
=(0.05+1)^5-1
以上をまとめると、Aの「5年間にわたり、毎年5%ずつリターンを獲得できるファンド」の方が、5年後に獲得できるリターンが高いことが分かります。
年率 | 期間リターン | |
---|---|---|
5年間にわたり毎年5%ずつ リターンを獲得できるファンド |
5.0% | 27.6% |
5年間ごとに25%ずつ リターンを獲得できるファンド |
4.6% | 25.0% |
では、年率リターンについて理解が深まったところで、もう1問クイズをお出ししましょう。
投資信託の年率リターンは何%?
答え
すべて4.6%(小数点第2位以下四捨五入)
ここでは細かい計算は割愛しますが、上記の三つの投資信託の年率リターンは、1問目の「5年ごとに25%ずつリターンを獲得できるファンド」と同じ4.6%です。
このクイズからも分かるように、期間リターンは、個々の投資信託のリターンを把握する上では使いやすい半面、異なる計算期間の投資信託を比較するのには向いていません。
投資信託の世界で年率リターンが多く使われるのは、こうした異なる計算期間の商品を比較しやすくするためです。
なお、年率リターンは、投信スーパーサーチのほか、それぞれの銘柄の詳細画面でも確認できます。
類似商品との比較をする際などは、期間リターンだけでなく、年率リターンもあわせて活用してみてください。
投信スーパーサーチ
銘柄詳細ページ
![](/mwimgs/c/5/-/img_c54be5d51445c371b399cae67ef7f17b77557.png)
注:「投信スーパーサーチ」で銘柄を選択≫銘柄ページの一番下に表示されています
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