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直近1カ月の日経平均は下落、新型コロナ感染再拡大が重しに
直近1カ月(7月12日~8月16日)の日経平均株価は3.7%の下落となりました。25日移動平均線レベルで戻り売りに押される形となり、7月後半にかけて5月安値水準を割り込む動きになりました。
2万7,500円レベルでの下値の堅さも意識され、8月に入って戻りを試す展開にもなりましたが、8月16日には再度25日線を割り込んで、大きく下げ幅を広げる動きになっています。
NYダウ平均株価の堅調推移が続いていること、本格化した4-6月期決算発表で想定以上の収益拡大が幅広く散見されたことなどが支援となりましたが、一方で、世界的な新型コロナウイルスの再拡大に伴う、経済活動の抑制懸念が上値を抑える形になりました。
規制強化の動きなど、中国の政治リスクも折に触れて警戒材料視される展開にもなっています。米経済指標などをみると、雇用統計などは想定を上回る好内容でしたが、ミシガン大消費者信頼感指数などが低下し、全般的にまだら模様となっています。
また、欧米株との比較では、やや日本株のさえない動きが目立っている印象です。
この期間に上昇が目立った銘柄では、日本郵船(9101)や商船三井(9104)などの海運株が挙げられます。大幅な業績予想の上方修正とともに、大幅な増配計画も発表したことで、配当利回り妙味が一気に高まる状況となりました。
大手海運株の活況を受けて、中小型海運株にも短期資金の関心が向かうこととなりました。海運株と同様に、JFEHD(5411)など鉄鋼株の一角も、大幅増配によって利回り妙味が高まりました。
ダイキン(6367)、三井金属(5706)、HOYA(7741)などは決算発表を受けて評価が高まりました。半面、コーセー(4922)、THK(6481)、任天堂(7974)などは決算発表後に売りが優勢となり、ソフトバンクG(9984)は中国IT関連株の下落などが警戒視されました。
ジャクソンホール会合波乱なく通過なら、半導体関連など主導でリバウンドへ
相対的な日本株のさえない動きの背景としては、日本株は世界的な景気減速の悪影響を受けやすいこと、新型コロナ感染者数が足元でピーク水準に達していること、菅内閣の支持率低下、日本銀行のETF(上場投資信託)買い入れペース減速などが挙げられるでしょう。
改善が見込めるものとして、日本株アウトパフォームにはまず、ワクチン接種進展による世界景気拡大期待の再燃などが必要となりそうです。目先的には強いインパクトとなる補正予算の策定などが注目されるところです。
株式市場の短期的な注目イベントは、8月26~28日のジャクソンホール会合となるでしょう。米金融緩和政策の早期縮小懸念が強まることなく、同会合を通過すれば、米国株高を通して日本株も上昇基調に向かう可能性が高いとみます。
その際は、足元で動きが重くなっている半導体関連株などがリード役となりそうです。また、好決算を発表しながらも材料出尽くし感から利食い売りに押されたような銘柄の反騰なども期待されるところです。
市場の懸念の1つに半導体調達難の影響がありますが、総じて、4-6月期決算よりも7-9月期決算に影響が強まる可能性が高いです。
自動車関連業界などでは、7-9月期業績が4-6月期業績から鈍化するものが多くなりそうです。一方、鋼材価格や木材価格などの上昇は、製品価格への転嫁などによって影響は限定的と考えられます。
ほか、支持率回復に向けて補正予算の規模が膨らむ可能性もあり、とりわけ、足元での水害被害多発などからも、治水対策や地盤対策に期待がかかりそうです。建設セクターでは高配当利回り銘柄も多く、注目したいところです。
東証再編に伴い、今後は企業の株主優待姿勢に変化も
2022年4月から東証で市場区分の見直しが行われます。これによって、企業の株主優待に対する考え方が変化する可能性は高いと考えられます。プライム上場基準の株主数は800人以上であり、株主数の基準は現在よりもかなり緩やかになります。
株主優待制度の実施には、個人投資家の株主を増やし、株主数増加につなげることを目的とすることが大きな要因の一つになっています。
自社の製品やサービスを幅広く使ってもらう・理解してもらう意図での株主優待は継続の可能性もありますが、個人投資家にとっては換金目的が優れるとはいえ、QUOカードなどの配布はこれから見直す企業が多くなると考えられます。
下表は、株主優待実施企業で時価総額1,000億円以上の銘柄の中で、業種ごとに配当利回り(8月13日現在)が最も高い銘柄を掲げたものです。
以下に、それぞれの優待内容や足元の決算内容をまとめています。ちなみに、業種ごとに配当利回りの水準は明確に分かれており、株主優待実施の高配当利回り銘柄は銀行株が極めて多くなります。
利回り3.5%以上、株主優待実施予定の高配当銘柄
コード | 銘柄名 | 会社予想 配当利回り |
株価 | 時価総額 | 業種 |
---|---|---|---|---|---|
9101 | 日本郵船 | 8.71 | 8,040 | 13,672 | 海運 |
2914 | 日本たばこ産業 | 6.02 | 2,161 | 43,220 | 食料品 |
1605 | INPEX | 5.01 | 799 | 11,684 | 鉱業 |
8304 | あおぞら銀行 | 4.84 | 2,644 | 3,128 | 銀行 |
1808 | 長谷工コーポレーション | 4.56 | 1,536 | 4,620 | 建設 |
4634 | 東洋インキSCHD | 4.35 | 2,068 | 1,254 | 化学 |
2730 | エディオン | 4.20 | 1,048 | 1,174 | 小売 |
8098 | 稲畑産業 | 4.10 | 1,708 | 1,085 | 卸売り |
6412 | 平和 | 4.01 | 1,996 | 1,992 | 機械 |
3738 | ティーガイア | 3.82 | 1,962 | 1,100 | 情報・通信 |
注:会社予想配当利回りの単位は%、時価総額の単位は億円。株価は2021年8月13日終値、単位は円。 |
銘柄選定の要件
1. 株主優待実施企業
2. 時価総額1,000億円以上
3. 各業種の配当利回りトップ企業
銘柄コメント
日本郵船(9101・東証1部)
▼ここがポイント
3月末の100株以上の株主に対して、飛鳥クルーズの優待割引券を贈呈しています。100株以上500株未満の株主には優待割引券3枚、500株以上1,000株未満の株主には6枚、1,000株以上の株主には10枚となっています。
割引券1枚につき10%の割引が受けられ、優待期間は決算期後の7月1日より翌年の9月30日までのクルーズになります。
▼業績見通し
2022年3月期第1四半期経常利益は1,536億円で前年同期比9.3倍と急拡大しています。
つれて、通期予想は従来の3,700億円から5,000億円、前期比2.3倍の水準に上方修正、7月1日にも1,400億円から3,700億円に上方修正しており、再度の大幅上方修正となる形です。
定期船事業における持分法適用会社ONE社の収益拡大が好業績の主因となっています。年間配当金計画も従来の200円から700円にまで引き上げました。
日本たばこ産業(2914・東証1部)
▼ここがポイント
12月末の100株以上の株主の中で、1年以上継続保有している株主に対して、グループ会社などの商品を贈呈しています。
100株以上200株未満の株主には2,500円相当、200株以上1,000株未満の株主には4,500円相当、1,000株以上2,000株未満の株主には7,000円相当、2,000株以上の株主には1万3,500円相当の商品となります。
優待商品に代えて、社会貢献活動団体への寄付を選択することもできます。
▼業績見通し
2021年12月期上半期営業利益は3,221億円で前年同期比27.8%増益になっています。医薬事業が減益となりましたが、海外たばこ事業、国内たばこ事業、加工食品事業などが増益となったようです。
為替一定ベースの調整後営業利益の通期計画は5,220億円で前期比7.2%増益、従来計画から100億円上乗せしています。
国内たばこ事業の競争⼒強化に係る施策関連費⽤計上などで通期純利益は減益見込みのため、配当金は前期比24円減の130円を計画しています。
INPEX(1605・東証1部)
▼ここがポイント
12月末現在で400株以上を1年以上継続して保有している株主に対して、オリジナルデザインのQUOカードを贈呈しています。
400株以上800株未満の株主は、継続保有年数1年以上2年未満で1,000円分、2年以上3年未満で2,000円分、3年以上で3,000円分、800株以上保有の株主は、1年以上2年未満で2,000円分、2年以上3年未満で3,000円分、3年以上で5,000円分となります。
また、希望する100株以上の株主から抽選で、「直江津LNG基地」等の見学会も実施しています。
▼業績見通し
2021年12月期上半期営業利益は2,237億円で前年同期比80.7%増益となりました。原油価格が上昇したことで、原油売上高が拡大しました。平均油価は前年同期1バレル42.1ドルから65.23ドルにまで上昇しました。
通期予想は4,520億円から5,130億円、前期比2.1倍に上方修正、第1四半期決算時に続く上方修正となります。原油価格想定のさらなる引き上げが背景です。
年間配当金も33円から40円に引き上げ、前期比16円の増配となります。
あおぞら銀行(8304・東証1部)
▼ここがポイント
3月末、6月末、9月末、12月末の株主に対して、一部の取扱商品を購入した場合に商品券を贈呈しています。
新規資金で円定期預金(期間3カ月以上)に500万円以上預け入れると一律3,000円分の商品券、投資信託公募株式投資信託購入の際に購入金額100万円につき2,000円分の商品券、金融商品仲介業務取扱商品である仕組債等を購入すると購入金額100万円につき2,000円分の商品券を贈呈しています。利用期間は1年間となります。
▼業績見通し
2022年3月期第1四半期純利益は116億円で前年同期比55.1%増益となりました。据え置きの通期計画300億円、前期比3.5%増に対する進捗(しんちょく)率は39%となっています。
不良債権関連およびバイアウト関連の組合出資損益、GMOあおぞらネット銀行の手数料収益、リテール投資性商品販売等の顧客ビジネスが好調だったほか、与信関連費用も改善しています。
配当金は年間128円を計画、四半期ごとに32円配当を実施します。
長谷工コーポレーション(1808・東証1部)
▼ここがポイント
3月末の100株以上の株主に対して、特典を利用できる優待券を贈呈しています。特典は以下の4つで各1回利用できます。
長谷工あんしんデリの「ANAカレーとたなかみ米のコラボ商品」を通常価格(税込)より20%割引、長谷工リフォームでの室内リフォーム工事代金(100万円以上[税抜])3%割引、長谷工リアルエステートでの不動産売買の仲介手数料(税抜)10%割引(エリア限定)、センチュリーライフ・生活科学運営が運営する高齢者住宅・有料老人ホームの入居一時金の3%割引などの特典になります。
▼業績見通し
2022年3月期第1四半期営業利益は204億円で前年同期比69.6%増益となりました。上半期計画360億円、通期計画780億円は据え置いていますが、進捗率は高水準となっています。
分譲マンション引渡戸数と一棟売却案件の増加による不動産売上高の増加、完成工事総利益率の上昇などが足元好業績の背景になっています。
年間配当金は現状で前期並みの70円配当を予定しています。
東洋インキSCHD(4634・東証1部)
▼ここがポイント
2019年から株主優待制度を開始しています。6月末に200株以上を保有する1年以上の継続保有株主が対象となります。
オリジナルカタログから1,000円相当の商品を選択することができます。毎年、9月下旬ごろにオリジナルカタログを発送する予定となっているようです。
▼業績見通し
2021年12月期上半期営業利益は72.3億円で前年同期比30.3%増益となっています。通期営業利益は従来の140億円から145億円、前期比12.3%増に上方修正しています。
海外を中心に回復し、全セグメントが前年を上回る売上水準となりました。とりわけ、メディア材料/5G材料など、エレクトロニクス関連材料が伸長しているようです。
年間配当金は前期比並みの90円を現状では計画しています。
エディオン(2730・東証1部)
▼ここがポイント
3月末の100株以上の株主を対象に、優待券を贈呈しています。
100株以上500株未満はギフトカード3,000円分、500株以上1,000株未満は1万円分、1,000株以上2,000株未満は1万5,000円分、2,000株以上5,000株未満は2万円分、5,000株以上1万株未満は2万5,000円分、1万株以上は5万円分となります。
1年以上保有株主には、1,000株未満が1,000円分、1,000株以上が2,000円分追加となります。エディオン、100満ボルトの店舗、ネットサイトなどで利用できます。
▼業績見通し
2022年3月期第1四半期営業利益は24.6億円で前年同期比55.6%減益になっています。
「テレワーク需要」「巣ごもり需要」などが大きく拡大した前年同期の反動で、既存店売上高が前年比9.5%減と落ち込みました。リフォームや携帯電話などは比較的底堅く推移しているようです。
上半期計画135億円、同19.1%減、通期計画235億円、前期比12.3%減は据え置いています。
年間配当金も前期比2円減の44円計画を据え置いています。
稲畑産業(8098・東証1部)
▼ここがポイント
9月末の100株以上の株主に対して、オリジナルQUOカードを贈呈しています。
100株以上200株未満の株主は、保有期間6カ月未満が500円分、6カ月以上3年未満が1,000円分、3年以上が2,000円分です。
200株以上300株未満の株主は、6カ月未満が500円分、6カ月以上3年未満が2,000円分、3年以上が3,000円分です。
300株以上の株主は、6カ月未満が500円分、6カ月以上3年未満が3,000円分、3年以上が5,000円分となります。
▼業績見通し
2022年3月期第1四半期営業利益は56億円で前年同期比2.5倍となりました。上半期計画は従来の68億円から85億円、前年同期比36.8%増に、通期では145億円から160億円、前期比6.9%増にそれぞれ上方修正しています。
合成樹脂事業や化学品事業における自動車分野や生活産業事業における食品分野などにおいて、想定を大きく上回る需要の回復が見られ、販売が増加しているようです。
年間配当金は前期比7円増の70円を予定しています。
平和(6412・東証1部)
▼ここがポイント
9月末、3月末の200株以上保有する株主を対象に、グループが運営する全国140箇所以上のゴルフ場で利用できる優待券を贈呈しています。
支払いの一部として最大1,000円分利用できる優待券を保有株数に応じて贈呈、200株以上300株未満が2枚、保有株数100株増ごとに1枚ずつ増加し、最大は800株以上の8枚となります。
有効期間は1年間で、1月、2月、7月、8月は土日祝日も利用が可能です。
▼業績見通し
2022年3月期第1四半期営業利益は43.7億円で前年同期より87.8億円の損益改善となっています。1回目の全国的な緊急事態宣言が発令された前年同期と比べ、遊技機事業においては販売台数の増加、ゴルフ事業においては来場者数の増加が図れています。
収益はパチンコ機がまだ伸び悩んでいますが、ゴルフ事業がけん引役になりました。なお、通期予想の223億円、前期比4.2倍、年間配当金80円計画は据え置いています。
ティーガイア(3738・東証1部)
▼ここがポイント
9月末、3月末現在の100株以上の株主を対象に、QUOカードを贈呈しています。
9月末時点で1年未満の株主には、100株以上300株未満が1,000円分、300株以上が2,000円分です。1年以上の株主には、100株以上300株未満が2,000円分、300株以上が3,000円分です。
3月末時点で1年未満の株主には、100株以上300株未満が1,000円分、300株以上が1,000円分です。1年以上の株主には、100株以上300株未満が1,000円分、300株以上が2,000円分となっています。
▼業績見通し
2022年3月期第1四半期営業利益は32億円で前年同期比39.2%増益となりました。
通期予想の134億円、前期比4.6%減益、年間配当計画前期並みの75円は据え置いています。
携帯電話販売台数は大幅増となり、コロナ禍前の水準に回復しています。これに伴ってモバイル事業が大幅増益となりました。一方、ソリューション事業は売上が伸長しましたが、人員増やシステム投資などで減益になっています。
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