ほったらかし投資でも、つい気になる日々の値動き

 コロナ禍や、2019年に話題になった「老後2,000万円問題」などをきっかけに、積立投資を始める人が急増しています。

 ところが、日々の値動きはチェックせず、長期的に少しずつ投資信託を買って資産を積み立てる「ほったらかし投資」のつもりで始めてみたものの、いざとなると、値動きに一喜一憂して、評価損益がマイナスになっていると、このまま積立投資を続けていいものか不安……そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 そんな不安を払拭し、自信を持って続けることができる、ほったらかし積立投資のヒントをご紹介します。

積立投資がうまくいくヒント1:下がったときこそがチャンス!?

 決まった金額で、定期的に投資信託などを買い続ける積立投資の場合、「下がったときこそが資産を育てるチャンス」と捉えることができます。

 積立投資は購入金額がずっと一定なので、「基準価額が値下がりする=単価が下がる」なら、より多くの量(口数)を購入できることになります。そして、このときにより多くの口数を購入できたため、「基準価額が値上がりする=単価が上がる」ときには、資産額も増えることになります。

≫Q:基準価額と口数の関係、理解するには?

積立投資の開始翌月に基準価額が半値まで下落した場合

 では、実際に資産額はどう変化するのか、毎月1万円で積立投資を始めた翌月に、積み立てている投資信託の基準価額が半値まで下落してしまったケースを見てみましょう。

 下記のグラフは基準価額と購入口数の変化を表したものです。

出所:楽天証券

 このケースでは、2カ月目で基準価額(単価)が大幅に下がったため、多くの量を買うことができました。

 このように基準価額が下がっているときほど、買える量は相対的に多くなり、反対に価額が上がっていると買える量は相対的に減っていることがわかります。

出所:楽天証券

 その後、基準価格が上昇していった結果、5カ月目では、合計投資額5万円に対し、評価額は9万1,429円(総口数6万952口×基準価額1万5,000円)と、約4万円のプラスとなりました。

積立投資の開始後、徐々に基準価額が下落した場合

 今度は、毎月1万円で積立投資を始め、その後、徐々に基準価額が下がり、最終的に価額が戻らなかったケースを見てみましょう。

出所:楽天証券

 この場合、開始翌月に基準価額が一度上がるものの、3カ月目に基準価額が大幅に下がり、5カ月目までに基準価額が1万円に戻りきることはありませんでした。

出所:楽天証券

 それでも、5カ月目の時点で投資合計額5万円に対し、評価額は5万3,455円(総口数8万9,091口×基準価額6,000円)と、基準価額が戻り切らなくても、リターンを獲得することができました

 このように、積立投資では一時的に価額が下がっても、投資を継続して行うことで利益を出すことができます。

 これが、市場の値上がり・値下がりに左右されることなく、投資信託で積立投資を継続する大きなメリットなのです。

Q:基準価額と口数の関係、理解するには?

A:スーパーで売っているお肉と一緒!

基準価額と口数の関係は、「スーパーで売っているパックのお肉」の値段とグラム数の関係と似ています。「100グラムあたり○○円」として売られているパック肉と同じように、投資信託の基準価額も、「1万口あたり何円」という「口数あたりの値段」で考えます。口数あたりの値段が下がると、投資信託もよりお得に購入できます。そして、そのお得に購入できた分が、後々、積み立て効果を発揮するのです。

積立投資がうまくいくヒント2:長期的に見ると世界経済は〇〇

 世界経済の推移を見ると、一時的には景気が後退しても、長期的には拡大を続けています。

 実際に私たちの生活も、40年前と比べ、格段に豊かになっていると思います。そして世界の株価も、一時的に下落する局面があっても、世界経済の拡大に連動して上昇を続けています。

注:世界の合計実質GDPは1980年を100として指数化
出所:IMFのデータを基に楽天証券作成

 長期資産形成を前提とした積立投資には、「安いときにたくさん買える」という強みと、じっくりと資産を育てていく時間という武器があります。これらを味方につけて、短期的な値動きに惑わされずに、じっくりコツコツ続けていくことが大切です。