※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
[動画で解説]日経平均テクニカル分析 上値重く、下値堅い 上放れまたは下放れは、いつ?
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日経平均は上値重く、下値堅い

 13日の日経平均株価は、149円高の2万8,718円と続伸しました。朝方283円高までありましたが、大引けにかけ上げ幅を縮小しました。下値は堅くなってきているものの、上値は重い展開が続いています。

日経平均日足:2021年1月4日~7月13日

出所:楽天証券MSⅡより作成

 2021年の日足チャートをご覧いただくとわかりますが、2月半ば以降、日経平均は上値を切り下げる展開が続いています。上値はどんどん重くなっている印象です。一方、下値は堅くなっています。5月以降、下値を3回試しましたが、すかさず急反発しています。「上値は買いにくいが下値を売り込むのも難しい」展開になっています。

 米景気好調でナスダック・NYダウ平均株価が最高値をつける中、ワクチン接種の遅れによって日本の景気回復が遅れていることが嫌気され、日経平均の上値は重くなっています。ただし、いずれ遅れて日本の景気も回復するという期待があるため、日経平均の下値は堅くなっています。

外国人売買は方向定まらず

 過去30年、日本株を動かしているのは外国人でした。外国人が買い越した月は日経平均が上昇、売り越した月は日経平均が下落する傾向が、30年以上続いてきました。外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売る傾向があるので、短期的な日経平均の動きはほとんど外国人によって決まります。

 その外国人投資家ですが、今年の2月以降、日本株に対する売り買いの方向がめまぐるしく変わるようになりました。日本株を支配する外国人の売買方向が定まらないことが、日経平均が上下とも大きく動きにくい要因となっています。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~2021年7月13日(外国人売買動向は7月2日まで)

出所:東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成。外国人の売買動向は、株式現物と日経平均先物の合計

 ご参考まで、2018~2019年の外国人売買と、日経平均の動きもお見せします。外国人が日本株の動きを決めていることがよくわかると思います。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2018年初~2019年末

出所:東京証券取引所データより作成。外国人の売買動向は、株式現物と日経平均先物の合計

上放れ、または下放れはいつ?

 日経平均は、今しばらく上下とも大きくは動きにくい展開が続きそうです。ただし、いずれどちらかに動き出すことになります。それはいつ頃になるでしょう?メイン・シナリオとリスク・シナリオの2つで考えてみます。

【1】メイン・シナリオ:秋口にかけて、上放れ

 日本は、ワクチン接種・景気回復が遅れています。ただし、いずれワクチン接種が進み、米景気好調の恩恵も受けることで、日本の景気回復も遅れて鮮明になってくると考えています。
そうなると秋口にかけて日経平均は上放れし、年初来高値(2月16日の3万467円)更新をトライすると予想しています。

【2】リスク・シナリオ:年末にかけて、下放れ

 日本の景気回復の遅れが長引くと、日経平均は上下とも動きにくい展開が長引くと考えられます。そのうち年末にかけて米景気が過熱し、過熱の反動で来年には失速が懸念されるようになると、米国株が下落、つれて日経平均も下放れすることになります。

 私は【1】メイン・シナリオに従い、今は日本株を買い増しする局面と判断しています。メイン・シナリオが実現するか、リスク・シナリオの可能性が高まるかは、今後の日米景気動向にかかっています。今後、日本の景気回復色がどれくらい強まるか、米景気の過熱懸念がどれくらい強まるか、慎重にウォッチしていく必要があります。報告すべきことが出てきた時は、本コラムにて報告します。

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