つみたてNISA、インデックスファンドで、みんな悩んでいた!

 早いもので、2021年ももう折り返し。そこで今回は、2021年上半期に掲載された本連載の中から、特に反響が大きかった記事TOP3を振り返るとともに、これらの記事を執筆した背景や、確実に押さえておいていただきたい「ツボ」についても解説します。日頃から連載をお読みいただいている方もぜひ、復習も兼ねて読み進めてみてください。

2021年上半期の反響が大きかった記事TOP3

TOP3 記事
1位 「つみたてNISAでインデックスファンド1本」がもったいない理由
2位 リターンを20年以上、出し続けている投資信託ってあるの?
3位 「インデックスファンド=低リスク」は不正解!新種のインデックスって?
注:公開日から2021年6月末までの閲覧数上位

 2021年上半期は、コロナ禍でライフプラン・マネープランを見直したという方、あるいは、ステイホーム期間中に重い腰を上げて「投資デビュー」をされたという方も多かったのではないでしょうか。

 本連載と、筆者が担当した他の記事でも、「つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」や「インデックスファンド」に関連したものには、特に大きな反響をいただきました。

つみたてNISA「全天候型」のポートフォリオのつくり方

 そうした中、最も多くの方に読んでいただいた「ツボ」は、「つみたてNISAでインデックスファンド1本」がもったいない理由でした。

 実は本記事は、投資家の皆さんからよくいただく、つみたてNISAに関する定番のご質問から着想しました。それは、「20年の間にお金が必要になった場合はどうすればよいか」というもの。

 このご質問に対する私の答えは、「いざ資金が必要になったときのために『全天候型』のポートフォリオを作っておく」です。

 米国の株式指数であるS&P500指数に限らず、特定の市場のインデックスファンドのみを保有していた場合、大きな相場変動のタイミングと、投資信託の解約のタイミングが重なってしまう可能性も否定できません。

 そこで、特定の市場の影響が大きくなりすぎないよう、複数の投資信託を組み合わせてポートフォリオを作るのです。

ポートフォリオで重要なのは、リスク・リターンを補完し合うことができるかどうか

 ポートフォリオを作る上で重要なのは、複数の投資信託が互いのリスク・リターンを補完し合うことができるかということ。誤解されている方も多いのですが、「複数」といっても何本も投資信託を組み合わせる必要はありませんし、すべての投資信託に100点満点の成績を期待する必要もありません。

 そこで、近年のS&P500指数連動型インデックスファンドの人気の高さを踏まえて、「同ファンドと組み合わせるなら」という観点で、新興国株式をご紹介しました。

 タイトルは最終的に「もったいない理由」としましたが、どちらかというと、S&P500指数のインデックスファンドのみを保有している方に、分散投資の1つの形をご提案することを目的としています。

インデックス投資には典型的な「思い込み」がある!

 インデックスファンドに関連する「ツボ」としてはもう1つ、「インデックスファンド=低リスク」は不正解!新種のインデックスって?も、3位と、好評いただきました。

 こちらは、インデックス投資について正しい知識を付けていただきたいという思いを込めて執筆しました。

 インデックス投資の典型的な「思い込み」の例は、タイトルにもある通り、商品そのもののリスクが低いと早合点してしまうことです。

 足元の数年は、特にコロナ・ショックなどがありながらも、総じて世界の株式市場が右肩上がりに上昇を続けてきたため、リスクに対する意識が薄れてしまうのも無理はありません。

 しかし、インデックスと一口に言っても、算出方法はそれぞれ異なり、分散度合いにもバラつきがあります。特に、近年増えている新種のインデックスは、特定のテーマに特化していたり、あえて流動性の低い銘柄を束ねて組成されていたりするケースも見受けられるため、「インデックスだから」という安心は禁物です。

よい投資信託探しのキモは「絞り込み」

 そして、個人的に意外(?)だったのは、インデックス関連の記事2本に挟まれ、2位に浮上したリターンを20年以上、出し続けている投資信託ってあるの?でした。

 本記事は、日本に投資信託が誕生して今年で70年たったことを振り返る上で、個人的な興味もあり、いわゆる「長寿ファンド」の現状について調べてみようと思いついたものです。

 投資信託を評価するには、定量・定性ともにさまざまな指標がありますが、ここでは分かりやすさを重視し、あえてリターンのみに特化して、 投信スーパーサーチで絞り込みを行いました。

 その結果、アジア株に投資する2本のファンドが、過去3年、5年、10年、20年のすべての期間でプラスのリターンをあげていることが分かりました。

 このように、実はファンドアナリストも、興味の赴くままに投信スーパーサーチで絞り込みを行うなどして、あらゆる角度から投資信託分析のヒントを得ています。

 本連載で何度も言及していますが、よい投資信託を探す上で重要なのは、「絞り込み」です。もし、ご自身で、長期にわたって付き合える投資信託を選んでみたいという場合は、さまざまな項目を使って、絞り込みを繰り返していくことをおすすめします。

 どれだけ「優良」とお墨付きがある投資信託でも、付き合い方を間違えると、その魅力を最大に生かすことができません。また、投資信託にまつわる誤った認識は、資産運用の失敗にもつながります。

 本連載では今後も、投資信託とうまく付き合っていくための「ツボ」をさまざまな角度からご紹介していきます。