※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]日経平均反発 出遅れ「世界景気敏感株として」外国人が日本株を買い戻し」
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出遅れ「世界景気敏感株」として日本株にも買い
先週(5月24~28日)の日経平均株価は1週間で831円上昇し、2万9,149円となりました。
3月以降、ワクチン普及の遅れによって日本の景気が腰折れする懸念から日経平均は軟調に推移していましたが、先週は出遅れの世界景気敏感株を買う流れが広がり、日本株にも外国人投資家とみられる買いが増えました。
米景気好調の恩恵を受けて、いずれ日本の景気も回復色が強まるとの期待が続いています。
NYダウと日経平均の動き:2020年10月1日~2021年5月21日

先週は、米景気好調からドル高(円安)が進み、一時1ドル=110円をつけたことも、日本株に追い風となりました。
ドル円為替レートの動き:2018年1月1日~2021年5月28日

2021年はバリューが強く、グロースが弱い
2021年は世界的に、株式市場でバリュー(割安株)が強く、グロース(成長株)が弱い傾向がはっきり出ています。日本株では、TOPIXバリュー指数が強く、TOPIXグロース指数が弱くなっています。
TOPIXバリュー指数、グロース指数、TOPIX、日経平均の年初来上昇率、年初来の動き:2020年12月30日~2021年5月28日


バリューが強く、グロースが弱い今年の流れは、昨年と正反対の動きです。2020年はコロナ禍でも好調なIT関連のグロース株が大きく上昇する中、金融業、製造業、資源関連株などの景気敏感株が多いバリュー株は不振でした。
2021年は世界景気の回復色が強まったことで、景気敏感バリュー株の上昇率が高くなる一方、昨年の上昇でPERなどの指標でやや割高になっていたグロース株は上値が重くなっています。
世界の株式市場の強弱をチェック!
世界の主要株価指数の年初来騰落率:2020年末から2021年5月28日までの上昇率(現地通貨建て)

米国株では、景気敏感バリュー株の構成比が相対的に高いNYダウが堅調な一方、GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)などグロース株の比率が高いナスダックが弱めとなっています。
コロナ感染が少なく、景気好調なベトナム株、原油価格上昇の恩恵を受けるロシア株、半導体などエレクロトロニクス景気回復の恩恵を受ける台湾株、ワクチン接種が進み景気回復期待が高まっているドイツ株などが、年初来の上昇率が10%を超え、好調です。
一方、コロナ感染の拡大から景気回復が遅れる懸念の出ているインド、ブラジル、インドネシア株が、相対的に出遅れています。また、アリババなどIT関連成長株に対し政府の締め付けが厳しくなりつつある中国株(上海総合)も、上値が重くなっています。
上の表に、日本の株価指数を入れて比較すると、以下の通りとなります。
日本および世界の主要株価指数の年初来騰落率:2020年末から2021年5月28日までの上昇率(現地通貨建て)

上の表を見ると、わかることですが、日本株を代表する株価指数であるTOPIXや日経平均は、日本の景気回復の遅れを嫌気して、上昇が鈍くなっています。
ただし、TOPIXバリュー指数だけで見ると、世界の中で上昇率の高い指数と同じ動きをしています。TOPIXバリュー指数には、世界景気回復の恩恵を受ける景気敏感株が多いことが要因です。
自動車、鉄鋼、化学など製造業バリュー株は、世界景気回復の恩恵で活況。商社、石油、非鉄、海運など資源関連バリュー株も、世界的な資源高の恩恵から好調です。
また、大手金融業のバリュー株も、米景気好調に伴うドル長期金利上昇を受けて、上昇率が高くなっています。
景気敏感バリュー株「買い場」の判断を改めて強調
結論は、毎回、述べていることと変わりません。緊急事態宣言の延長があっても、日本の景気・企業業績の回復は続くと考えています。
外食・観光・イベント・電鉄・航空業の業績低迷は長引きそうですが、米国と中国の景気拡大の恩恵を受ける、景気敏感バリュー株の業績は一段と拡大すると思います。
したがって、ここは景気敏感バリュー株「買い場」との投資判断を、改めて強調します。特に、金融・資源関連・製造業などの景気敏感バリュー(割安)株の投資妙味が大きいと考えています。
メインシナリオとして私は、日本の景気・企業業績の回復が年後半にかけて鮮明になり、日経平均は再び上昇に転じて、年初来高値(2月16日の30,467円)を越えていくと予想しています。
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