さぶさんのプロフィール

 ブログ「元証券ウーマンのお財布事情。」で、子育て世代に向けたお金についての情報を発信。子供の教育資金を児童手当の全額貯金などで貯める仕組みづくりなどを紹介しています。

 節約・ポイ活や料理法・レシピなどを紹介したインスタグラムは23万人のフォロワーから支持を受け、書籍『元証券ウーマンの一生使えるお金の話 貯金ゼロから「貯め体質」』(KADOKAWA))を昨年秋に発刊しました。

投資スタイル

 自社持ち株会で勤務先の株を保有するほか、国内株式・海外株式などにも投資しています。

金融商品の種類 投資先・銘柄名など 割合
米国株式 アップル・アルファベット等 35%
国内株式 トリドール・オリックス等 株主優待目的 25%
国内株式 自社持ち株会 20%
社債 ソフトバンク社債 15%
インデックスファンド   5%

銘柄選びの基準

  • 自分が応援したい企業かどうか。
  • 5年後、10年後もその企業が成長していると、自分自身で感じられるか。    
  • 大型銘柄であること。        

銘柄を売るときの基準

  • 直近ではあまり売却しておらず、含み益があるときに別の出遅れ銘柄に投資したいとき。      

初心者時代の体験談

Q:投資を始めて最初の成功体験を教えてください。
A:持ち株会の株が7年で5倍くらいになりました。

 リーマンショック前後に新卒で証券会社に入社。その後、2度の転職を経て現在の会社に勤めています。最初の成功体験は、勤めていた会社の自社持ち株会に参加して、こつこつ給与天引きで自社株を購入していたものが、相場の上昇とともに7年間で5倍くらいの価値になったことです。

Q:初心者時代の失敗談を教えてください。
A:FXを始めたものの、仕事中の相場急変で利益80万円どころか元本もなくしてしまったこと。

 もともと証券会社で働いていて、お客様の資産を増やしていた自信があったのですが、私生活では自分自身の資金力がなかったこともあり、少額資金でもレバレッジをかけて大きな取引ができるFX(外国為替証拠金取引)に手を出しました。

 チャートなどは読んでいましたが、相場が急変するようなニュースが仕事中に突然発生してしまい、それに気が付かず、こつこつ積み上げた利益80万円くらいが一瞬で吹っ飛びました。さらに元手もなくしてしまいました。

▼その失敗体験で学んだことは?
 簡単にお金持ちになれるような近道はないことを学びました。また、FXのような現物を保有しない金融商品に関しては、塩漬けにして保有し続けることもできないので、トレーダーのように常に相場を見ているわけではない勤め人には向いていない、ということを痛感しました。

Q:資金が少なかった時代にやってしまった失敗や、後悔していることなどを教えてください。
A:Twitterであおられている日本株を売買していた時期があります。

 FXの失敗を生かして、少額の日本株投資を始めました。株式投資が楽しくなり、Twitterの情報をもとに売買をしていた時期があります。

 Twitterで買いあおられていた銘柄は、利益を出したこともありますが、ものすごい額の損切りをしたこともあります。そして3年経った今見ると「損切りしておいてよかった!」と思うような悲惨な株価になっています。

 中小型株の中には、実態をともなわずマネーゲームに使われている銘柄もあります。その見極めに自信がない方は、まずは自分がよく知っていて、5~10年後も変わらず利用したくなるようないい商品やサービスを提供している企業の株に投資することをおすすめします。

Q:さまざまな成功・失敗を経て確立した投資手法や投資哲学を教えてください。
A:「心をすり減らさない投資」を心がけ、自分が知っていて世界的にも認知されている銘柄を保有すること。

 身の丈に合わない金額を投資したり、よく理解していない企業や商品に投資すると、相場が気になって本来生きていくために必要な仕事や家庭をおろそかにしがちになる、ということを失敗体験から学びました。

 投資は未来の自分の生活を豊かにするための手段であって、目の前の生活をおろそかにするのは本末転倒です。

 また、他者から学ぶことは大事ですが、自分の投資の許容度は他人と比較してもわかりません。他者と比べず自分の心と向き合い、無理のない金額を投資することや、安心して保有できるような、自分がよく知っていて世界的にも認知されている(されるだろうと信じられる)投資先を選ぶことが大切だと思っています。

さぶさん流・少額ポートフォリオ

1,000円で投資するなら?

商品名 商品の種類 投資先 割合
楽天・全米株式インデックス・ファンド インデックスファンド 米国株式 50%
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) インデックスファンド 米国株式 50%

●この銘柄を選んだ理由
 何も考えずに米国企業に投資できるためです。

 どちらか一方でもいいなと思ったのですが、どちらのパフォーマンスがいいかなど振り返ってみたいので500円ずつにしました。

●この銘柄の売り時はいつ?
 どちらも売り時は決めずに、保有し続けます。

1万円で投資するなら?

商品名 投資先 割合
アッヴィ(ABBV) 米国株式 65%
グラクソ・スミスクライン(GSK) 米国株式 35%

●この銘柄を選んだ理由
 1株からでも買える米国株に魅力を感じています。先進国の高齢化が進む中、生きるために必要な医薬品を提供している企業は配当も高く、今後も成長が見込めると考えています。

 アッヴィ(ABBV)は米国のバイオ医薬品メーカーで、リウマチ薬などが有名。将来性と配当の高さが魅力です。グラクソ・スミスクライン(GSK)は世界的な製薬会社で、日本でも市販のかぜ薬「コンタック」が有名です。こちらは高配当に加え、安定性で選びました。

●この銘柄の売り時はいつ?
 ともに保有を続けますが、株価が1.5倍ぐらいになるタイミングがあれば利益確定してもいいと思います。

3万円で投資するなら?

商品名 投資先 割合
アップル(APPL) 米国株式 45%
プロクター&ギャンブル(PG) 米国株式 45%
AT&T(T) 米国株式 10%

●この銘柄を選んだ理由
 自分の生活に根付いた企業を選びました。

 アップル(AAPL)は、私自身が長年iPhoneを愛用していて今後も同社の製品に期待しているので、値上がり益を狙って投資したいです。

 プロクター&ギャンブル(PG)はCMなどでよく見る、おなじみの生活必需品を作っているので、安心して投資できます。株主配当にも期待できます。

 少し資金が余りましたので、少額で超大手企業の株主になれるAT&T(T)を選びました。同社は、日本でいうとNTTのような通信会社で、配当利回りがとても高く、3,000円くらいの少額資金で購入できる点が魅力です。

 生活に根付いた銘柄を持つと、自分の生活の景色が変わってきます。アップルに投資していると、アップル製品をたくさん身に着けた人を見るとうれしくなりますし、P&GのCMを見ると「今回の商品は売れそうだなー」と、同社が発売する商品動向が気になってくるようになります。

●この銘柄の売り時はいつ?
 3銘柄とも、基本的に長期保有していきたいです。アップルは、もしiPhoneよりも使いたいスマートフォンが出てきたら、売り時を検討してもいいかもしれません。

10万円で投資するなら?

商品名 投資先 割合
ENEOSホールディングス(5020) 国内株式 50%
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) 国内株式 50%

●この銘柄を選んだ理由
 いずれも株主配当が高く、身近な企業を選びました(現在の株価だと2銘柄で10万円を少しオーバーしているかもしれません)。

 毎日車に乗り、ガソリンにお世話になっている方も多いと思います。ガソリン価格は、原油価格やドルの為替レートなどの動向を色濃く反映しています。ENEOSの株価もそれに連動するところがあり、保有していると経済のニュースに敏感になれます。

 三菱UFJ銀行に口座を持っている人は多いと思いますが、口座に5万円預けていても、金利は0.001%なので全然利息が付きません。しかし同社の株を保有すれば、配当利回りが現状4%程度ありますので、100株6万円前後の資金で、年間2,000円くらい配当がもらえます。

●この銘柄の売り時はいつ?
 ともに株価が1.2倍ぐらいになったタイミングで利益確定するのがいいと思います。

つみたてNISA枠またはNISA枠で投資するなら?

商品名 商品の種類 投資先 割合
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) インデックスファンド 米国株式 33%
eMAXIS Slim先進国株式インデックス インデックスファンド 全世界株式 33%
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) インデックスファンド 全世界株式 33%

●この銘柄を選んだ理由
 私が保有している投資信託で、昨年のパフォーマンスが良かった銘柄を3つ選びました。

 昔、証券会社で販売していた経験上、投資信託には「手数料が高い割になかなか上がらない」という印象があったのですが、最近はいい商品が出てきており、何も考えず投資していくには最適だと思っています。

 投資信託選びでは手数料が安いことが基本で、「eMAXIS Slim」シリーズはその条件を満たしています。また、投資対象の中身がわかりやすく、自分がどこに投資しているのかクリアになるので、初心者の方にはおすすめです。

 すべて「インデックス」という、株式市場の代表的な指数に連動する投信です。ニュースを見て「アメリカの株価は好調なんだな」と思うようなざっくりとした感覚が、そのまま商品の値動きと結びついています。そういう意味で「投資のことはよくわからないけど、やってみたい」という方には基本中の基本の商品だと思います。

 3つの違いは、投資対象が、米国だけの株価なのか、先進国の株価をパックにしたものなのか、新興国も含めた全世界の株価のパックなのか、という点です。3種類保有することで、世界全体の動向を見たときにそれぞれの値動きがどうなるか、わかるのではないかと思います。

●この銘柄の売り時はいつ?
 3銘柄とも、長期保有しておきたいです。

投資ビギナーへのアドバイス

Q:初めて買った銘柄を売るときのタイミングや気を付ける点について教えてください。
A:投資格言に学びながら、値動きを冷静な目で見ることが大切だと思います。

 投資の格言に「利食い千人力」という言葉があります。

 株価が買ったときよりも膨らんでいても、その株を売って利益を確定しないと実際には手元の資金は増えません。相場は生き物なので、株価が高いときもあれば低いときもあります。「今の株価はとても高いんじゃないか」と思ったら、保有している株を売って、また安くなったときに購入するのも良いと思います。

 ただ、「まだはもうなり、もうはまだなり」という投資格言もあります。「まだまだ上がる!」と思っていると、そこがもう天井だったり、「もう下がらないだろう」というときに限って、まだまだ下がる、という教えです。今の状況はどちらの格言が当てはまるのか、冷静に考えながら売買をしましょう。

Q:少額での投資が大きな利益を生んだのはどんなタイミングでしたか? 
A:持ち株会への積み立てで成功したタイミングで、時間を味方にコツコツ買い続ける仕組みが自分に合っていることがわかりました。 

 大きな利益を得たのは持ち株会を通じた自社株です。毎月1.5万円、ボーナス時には5万円を積み立てていました。その持ち株が株式分割されて、気がつくと数百株に増え、株価も順調に伸びていきました。

 少額で始めたFXや小型株で損ばかりした失敗を通じて、自分は意思が弱く「すぐに買いたくなる」「すぐに売りたくなる」ということに気が付いた頃でした。私には「時間を味方につけ、自分の意思とは関係なくコツコツ買い続ける仕組み」が向いていると理解しました。

 それからは、育児や仕事が忙しいこともあり、寝ている間に相場が始まって終わる米国株やつみたてNISAに資産を投入するようになって、「心をすり減らさない投資」ができていると思います。

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