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著者の天海源一郎氏が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 【国内株】10万円で投資できる日経平均採用バリュー株!波乱通過を見据えた押し目買いが有効(天海 源一郎氏)」
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★筆者が選ぶ10万円株一覧は3ページに掲載しています。
台湾発の懸念が東京市場に飛び火
4月26日(月)に公開した記事「10万円で買える割安株の代表選手『鉄鋼関連株』。株式投資の極意も伝授!」で取り上げた「鉄鋼関連株」は日経平均がもみ合う中でなかなかのパフォーマンスを見せました。
以下は記事公開当日終値とその後の高値の比較です。
- 神戸製鋼所(5406・東証1部) 759円→928円(5月11日)
- 中山製鋼所(5408・東証1部) 426円→491円(5月10日)
- 三菱製鋼(5632・東証1部) 835円→934円(5月10日)
- 東京製鐵(5423・東証1部) 1,019円→1,257円(5月10日)
- 日本高周波鋼業(5476・東証1部) 422円→460円(5月10日)
この動きは、グロース株と比較してバリュー株の強さを示すことになりましたが、その直後、東京市場は波乱に見舞われました。5月11日(火)~13日(木)の3営業日で日経平均は計2,070円も下落し、2020年3月以来の下げ幅となりました。
きっかけは米時間10日にNASDAQ指数が下落(2.55%安)したことです。その主因は、ファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手のTSMC(台湾積体電路製造)が発表した2021年4月の連結売上高です。
前年同月比16.0%増の1,113億1,479万台湾元(約4,364億円)となり、11カ月連続で1,000億元の大台を超えたものの、単月の過去最高額だった3月からは13.8%減少でした。
このことにより、半導体株・ハイテク株に不安感が台頭したのです。東京市場でも半導体関連株がとくに売られました。
・台湾加権指数(2021年2月18日~5月19日)
・東京エレクトロン(8035)の6カ月日足チャート
・SCREENホールディングス(7735)の6カ月日足チャート
さらに「米景気回復のスピードが速すぎるのでは」との見方も台頭し、インフレ懸念となって、日経平均の下落に拍車をかけた格好です。
5月14日(金)には636円高と反発したものの、翌週17日(月)には高値から約480円も売られ、終値は259円安と反落、失望感が広がりました。
この要因も「台湾」です。台湾株式市場は日本時間午前10時から取引が始まりますが(注文は午前9時半から受け付け)、TSMC株が構成比十数%を占める「台湾加権指数」が約3%下落する展開となりました。
加えて、台湾での「コロナ感染拡大」が嫌気されました。これまで、台湾はコロナ感染を抑え込んでいる地域と認識されてきました。
現状でも感染者の数は限定的ですが、主要都市の台北市と新北市でコロナ感染の警戒レベルが引き上げられるなど、急速に域内景気の先行きに不透明感が強まりました。
このことにより、台湾の主要産業であり、世界的な影響力を持つ「半導体市場」に不安感が向かった格好です。折から半導体不足による世界経済への足かせが言われている時でもあり、さらに懸念が大きくなったと考えられます。
東京市場の急落局面は今年5度目
2021年ここまで日経平均急落局面は5度あります(今回含む)。その主因をまとめておきます。
(1)1月28~29日 2営業日で計971円安
*米ビデオゲーム小売り大手「ゲームストップ」株の乱高下=ロビンフッド事案。
(2)2月26日 1,202円安
*米金利上昇に伴う株価頭打ち懸念
(3)3月19~24日 4営業日で計1,811円安
*日本銀行によるETF(上場投資信託)買い入れスタンス変更による下値不安
(4)4月20~21日 2営業日で計1,176円安
*米テスラ株急落に伴う波乱+日銀ETF買い失望
(5)5月11~13日 3営業日で計2,070円安
*台湾TSMC業績、コロナ感染拡大による半導体市場不安+米インフレ懸念
要因を分類していくと以下のようになります。
- 「投機株の乱高下による投機売り波乱」……(1)、(4)
- 「日銀ETF買い入れに対する不安・失望」……(3)、(4)
- 「米インフレ懸念=米金利上昇」……(2)、(5)
- 「台湾半導体懸念=世界景気失速懸念」……(5)
いずれも、株式市場にとって最大の下落要因となる「不況入り」につながるものではなさそうです。
米個別銘柄の乱高下や米金利上昇は米マーケットの好調を背景とする事柄で、日銀のETF買いについても日本経済が平時に戻りつつあるために生じたことだと言えます。
株価の急変動に狼狽(ろうばい)し、急に悪シナリオをイメージするのではなく、2020年11月以降、コロナワクチン完成後の「後期コロナ相場」で有効な投資を続けるのがいい時かもしれません。
2020年11月から急動意を見せたのは「景気敏感株(バリュー株)」であり、有効だったのは「押し目買い」です。ここでは10万円で投資可能な主力(日経平均採用)バリュー株を参考として取り上げます。
10万円で投資できる日経平均採用バリュー株
株価データは2021年5月19日終値ベース。
住友化学(4005・東証1部)
総合化学の大手企業です。2022年3月期連結最終利益は前期比2.2倍の1,000億円に急拡大する見通しです。
・1年日足チャート
コニカミノルタ(4902・東証1部)
複合機など事務機器の中堅企業です。2022年3月期の最終損益は前期赤字から190億円の黒字に浮上する見通しです。
・1年日足チャート
日本板硝子(5202・東証1部)
住友系のガラス専業大手メーカー、建築・自動車向けが9割を占めます。2021年3月期連結税引き前損益赤字から、2022年3月期は同150億円の黒字に浮上する見通しです。
・1年日足チャート
神戸製鋼所(5406・東証1部)
鉄鋼(高炉国内3位)、アルミ・銅、産業・建設機械、電力など複合体企業です。2022年3月期経常利益は前期比2.8倍、450億円の見通しです。
・1年日足チャート
三菱自動車工業(7211・東証1部)
日産自動車の事実上傘下、仏ルノーを含めた3社連合の一翼を担う自動車メーカーです。2021年3月期連結最終損益3,123億円の赤字から、2022年3月期は同100億円の黒字に浮上する見通しです。
・1年日足チャート
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