「口座を開いたけど何に投資していいかわからない」と質問をいただきました。そこで今日は、投資デビューを考える方に、最初に投資する資産の選び方について、私の考え方をお伝えします。
初めての投資は、何から始めるべきか
今日は、これから投資デビューを考えている初心者の方に向けた話です。投資デビューは、少額投資から始まることが多いと思います。たとえば、1万円。何を買ったら良いか、迷うと思います。
最初に、私のお伝えしたい結論から申し上げます。以下3つです。
【1】1~2万円投資なら投資信託が使いやすい
【2】少額投資なら「分散投資は不要」
【3】貯蓄が100万円に増えた時に作るポートフォリオを意識して投資
以上3点につき、1つずつ私の考えを説明します。
1~2万円投資なら投資信託が使いやすい
1~2万円の少額投資ならば、まず、投資信託やETF(上場投資信託)への投資を考えたら良いと思います。さまざまな種類のファンドがあって、少額で世界中の資産に投資ができるからです。世界中の株や債券、REIT(リート:不動産投資信託)、金・プラチナなどあらゆるものに投資するファンドがあります。
少額投資なら「分散投資は不要」
社会人1年生の方で、初めてもらったボーナスから1万円で投資を始めるならば、何から始めたら良いでしょうか?これ1つでOKというような、世界中の株や債券に投資するファンドもあります。そういうファンドに、コツコツと毎月積み立てで投資していくのも悪くないと思います。
ただし、少額投資なら、私は「分散投資は不要」と思います。社会人1年生の方が仮に65歳まで働くとして、生涯で稼ぐ収入は1億円を超える可能性があります。うまくやりくりすれば定年までに2,000万円の貯蓄を作ることも可能かもしれません(個人個人で事情が異なるので、ここに出した金額はあくまでも「仮」の数字です)。
そうと仮定すると、最初に投資する1万円は、65歳までに作る2,000万円の0.05%でしかありません。したがって、どのようなものにも自由に投資して良いと言えます。
社会人1年生は、貯蓄がほとんど無くても、大きな人的資本(将来にわたって収入を稼ぎ続ける力)を所有しています。したがって、総資産(人的資本と貯蓄の合計)に占める貯蓄の比率はきわめて小さいと言えます。だから、最初の投資では高いリスクを取って積極的な投資をすることが可能です。
もし最初に投資した投資信託が値下がりしても、将来稼ぐ収入から追加で投資する際に安く買えるので悪くないと言えます。最初に投資した投資信託が、大きく値上がりしたら、それはそれで良いのですが、追加で投資する時に高く買わなければなりません。その時は、投資対象を変えて、別のものに投資していくと考えれば良いと思います。
社会人になって何十年か経過し、金融資産(貯蓄)が増えてくると、逆に人的資本(退職するまで収入を稼ぐ力)は少しずつ減っていきます。すると、投資リスクも適切に管理する必要が出てきます。高リスクの投資対象(株)と安定的な投資対象(債券)などに分散投資し、集中投資のリスクを避けることが望まれます。
仮に2,000万円の貯蓄を所有していても、他に資産が無く、完全に退職しているなら、投資で高いリスクを取ることは難しくなります。逆に、1万円しか貯蓄が無くても、これから生涯にわたって収入を稼ぎ続けていく新社会人の方は、自由にリスクを取って投資することができます。
最初に買う1万円では、思い切って自分が良いと思う何かに集中投資して良いと考えます。米国の成長株に投資しても良いし、アジア株に投資するファンドでも、日本の小型成長株に投資するファンドでも良いし、金プラチナに投資するのでも良いと思います。自分の気持ちで「これが良い」「これに投資したい」と思うものから、選んでください。
貯蓄が100万円に増えた時に作るポートフォリオを意識
社会人1年生の最初の1万円投資は、何を買っても良いと言いましたが、それでも将来作るポートフォリオを意識して投資をスタートしましょう。とりあえず、100万円を目標に少しずつ貯蓄を増やしていくと良いと思います。
100万円貯めたときには、株や債券などに幅広く分散投資するポートフォリオを作ると良いと思います。たとえば、以下のように投資する方法も考えられます。
<分散投資の一例>
日本株25%、外国株25%、外国債券25%、J-REIT20%、金・プラチナ5%
上記はあくまでも分散投資の一例です。他にも、いろいろな組み合わせが可能です。最初の1万円投資は、将来作る100万円投資の一部として、そこに入るものなら何からスタートしても良いと言えます。
初めての1万円投資、これだけはやってはいけない
大きな人的資本を持つ社会人1年生は、最初の1万円で自由になんでも投資できると言いました。ただし、そうは言っても、やるべきでない投資もあります。以下に4つ挙げました。
【1】どんなリスクを負っているのか理解できない投資
「これ、いいですよ」と他人に勧められて、内容を理解しないで投資するのはNGです。どのようなものに投資するにしても、自分で内容を理解できるものにしましょう。
【2】手数料が高すぎる投資信託
長期投資を考えるならば、信託報酬(ファンドから差し引かれる管理手数料)が高すぎるファンドは避けるべきです。たとえば、年率1.8%もの信託報酬がかかるファンドは避けた方が良いと言えます。10年投資すると、合計で18%もの高い信託報酬を取られることになるからです。
【3】「毎月分配型」投資信託
これから資産形成を始めようという段階で、毎月分配型(毎月分配金が出るファンド)投資信託に投資すべきではありません。毎月支払われる分配金のほとんどが利益からの分配金ではなく、元本払戻金である場合が多いからです。
なるべく分配金が少なく、長期で複利運用ができるファンドが望ましいです。分配は、年1回か、最大で2回までとした方が良いと思います。
【4】短期的に価格が2倍以上に急騰しているもの
何にでも自由に投資して良いと思いますが、それでも短期的に価格が2倍や3倍に急騰しているものに飛びつくのはやめた方が良いと思います。
米国株は1万円で投資可能。日本株は投資対象が少ない
投資信託ではなく、最初から個別株投資にチャレンジするのも良いと思います。自分で内容をきちんと理解できる銘柄を選んで投資してみましょう。
米国株は1株単位で売買できるので、1万円もあればさまざまな銘柄に投資できます。日本株は原則100株からの投資なので、少額で投資できる銘柄は限られます。それでも5~10万円の投資資金があるならば、株価1,000円以下の銘柄を選んで投資することもできます。
「日本株を買いたいが1~2万円しか投資資金がない」という場合は、とりあえず日経平均やTOPIX(東証株価指数)に連動するインデックスファンドを買い、投資額が5~10万円に増えた時点で、インデックスファンドを解約して個別銘柄に乗り換えるのが良いと思います。
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