運用会社も外部委託で運用効率アップ
投資信託運用の要である運用会社が、運用業務の一部を外部機関に「アウトソース」することで、より効率的な運用を実現している実情について、前回の記事で解説しました。運用会社は世界各国に存在し、投資信託や年金の運用を担っていますが、各社で得意とする領域があります。そこで、特定の市場や資産の運用に精通している別の会社に委託することで、運用の効率性を高めているのです。
では、その「外部の運用力」は、具体的にどのようにして投資信託に取り入れられているのでしょうか。早速ですが、ここでクイズです。
投資信託で取り入れる「外部の運用力」とはどんなこと?
解答:すべて
1:他の会社で運用する複数の投資信託に投資を行う
1のように、他の運用会社で運用されている商品を含む、別の投資信託に直接投資する運用形態を「ファンド・オブ・ファンズ」といいます。組み入れる投資信託の数は、1本ということもあれば、複数の場合もあります。他社の商品を含む複数の投資信託を組み合わせることで、より分散を図ることができるのが、この運用形態のメリットです。
例えばどんなファンドあるの?
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド
など
2:他の会社で運用するETFに投資を行う
また、2のように投資信託ではなく、ETFを活用するパターンもあります。ETFを活用する場合、「ファンド・オブ・ファンズ」のほか、「ファミリーファンド」という形態がとられることもあります。「ファミリーファンド」には、「マザーファンド(親投資信託)」と「ベビーファンド(子投資信託)」という2つの投資信託が存在します。一般の投資家が購入できるのは「ベビーファンド」で、「マザーファンド」は、「ベビーファンド」を通じて集めた資金をまとめて株式や債券などの資産に投資します。
なお、「ファミリーファンド」自体は、一般的な投資信託の運用形態で、自社で運用を完結するファンドでも多く取り入れられています。
例えばどんなファンドあるの?
楽天・全世界株式インデックス・ファンド
楽天・全米株式インデックス・ファンド
など
3:他の会社から投資助言のみを受け、投資判断に活用する
3は、投資顧問会社などから、投資銘柄や資産配分について助言を受ける方法で、運用会社はその助言内容を投資判断に活用します。運用形態そのものは、ファミリーファンドが多くなっています。
例えばどんなファンドあるの?
グローバル・フィンテック株式ファンド
SBI中小型成長株ファンド ジェイネクスト(年2回決算型)
など
保有するファンドがファンド・オブ・ファンズであるかファミリーファンドで運用されているかは、目論見書の「商品分類および属性区分表」内の「投資形態」という項目で確認できます。
信託報酬がかかる場合も
最後に、コストについて補足しておきましょう。
ファンド・オブ・ファンズとファミリーファンドの場合、投資先のファンドやETF(上場投資信託)の信託報酬もかかるという点には留意が必要です。
一般的に、投資先ファンド(ETF)の信託報酬は低く抑えられていることが多いですが、コストについて確認する際は必ず、投資対象ファンド(ETF)の信託報酬を含めた「実質的な信託報酬率」を参照してください。
なお、3の投資助言の場合、助言料に相当する費用は、目論見書に掲載されている信託報酬の運用会社(委託会社)の取り分に含まれていることが多く、追加的な費用が差し引かれることはありません。
外部運用による信託報酬の表示例
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