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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
[動画で解説]米金利上昇に歯止めかからず 日米ともバリュー株に強気継続
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米長期金利の上昇止まらず1.7%台に。グロース売られ、バリュー買われる

 米景気回復期待の強まり、インフレ懸念の発生を受けて、米長期金利の上昇が続いています。

米長期金利(10年国債利回り)推移:2020年1月2日~2021年3月19日

出所:楽天証券経済研究所が作成

 世界の株式市場では、景気回復期待を好感しつつ、金利上昇を警戒する流れが強まっています。

 昨年までの世界株高を牽引したグロース株(成長株)は、株価バリュエーションが高くなっていることから、金利上昇を嫌気して売られるようになっています。一方、景気敏感株が多いバリュー株(割安株)が買われる流れが続いています。

日経平均・ナスダック総合指数・NYダウの動き比較:2019年末~2021年3月19日

出所:2019年末の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成

 米国株では、グロース株比率が高いナスダック総合指数の下げが大きくなる中、バリュー株が多いNYダウは相対的に堅調です。

 日経平均株価は、値がさグロース株の構成比が高いので、グロース指数に近い動きをしています。日本株でも、バリュー株が上昇する中、グロース株が売られる流れが続いています。

TOPIXバリュー指数とTOPIXグロース指数の動き:2020年12月30日~2021年3月19日

出所:日経QUICK

日米の金融政策発表で、日経平均が乱高下

 3月第3週(15~19日)の日経平均は1週間で74円上昇し、2万9,792円となりました。日米の金融政策決定会合の結果発表に振り回された週となりました。

【1】米FRBの金融政策を好感して、一時3万485円まで上昇
 3月17日に米FRB(米連邦準備制度理事会)が「2023年までゼロ金利維持」の見通しを発表したことを好感して、3月18日には、3万円台を回復、一時3万485円まで上昇しました。

【2】日銀の金融政策発表を受けて、2万9,792円まで反落
 3月19日に日銀の金融政策決定会合の結果が発表されました。「日本株ETF(上場投資信託)を年間6兆円買い入れする原則」を削除。必要に応じて「年間上限12兆円まで買い入れ」する方針は残しましたが、日経平均連動型のETFは買い付けせず、TOPIX連動型ETFを買い付けすると発表しました。

 日銀の発表は、「日経平均が高い水準の時は買わず、急落した時だけ買う」ことを明確にする効果がありました。また、「日経平均だけを集中的に買い上げるのはやめて、東証一部全体を買う」と表明したことになります。

 この発表を受けて3月19日の日本株は以下の通り、日経平均が急落、TOPIXが上昇しました。

3月19日の日経平均:2万9,792円(前日比▲424円▲1.4%安)
3月19日のTOPIX:2,012ポイント(前日比+3ポイント+0.2%)

 日経平均の構成比が大きい値がさグロース株が大きく下げた影響を受けました:ファーストリテイリング(9983)▲6.1%、ソフトバンクG(9984)▲2.5%、東京エレクトロン(8035)▲2.6%

 値がさグロース株の構成比が高い日経平均は、昨年11月以降、TOPIXを上回る上昇を続けてきました。ところが、2021年2月半ば以降は、日経平均の上値が重くなる中で、TOPIXの上昇率が高くなっています。

 TOPIXグロース株の下落が目立つ中で、TOPIXバリュー株の上昇が目立つようになってきた影響が出ています。

日経平均とTOPIXの動き比較:2020年10月1日~2021年3月19日

出所:2020年10月1日の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成

引き続き、三大割安株に強気

 これから、世界景気・企業業績の回復モメンタム(勢い)が強くなると予想しています。したがって、米長期金利が1.7%まで上昇しましたが、世界株高の流れは変わらないと予想してます。ただし、物色の中身には、大きな変更があります。

 株価バリュエーションが高いグロース株は上値の重い展開が続くと予想しています。一方、景気敏感株が多く、株価バリュエーションが低いバリュー株が買われる流れが続くと予想しています。この流れは世界的で、日本株だけでなく、米国株でもバリュー株が買われる流れが続くと予想しています。

 日本株でいうと、「3大割安株」が引き続き上昇すると予想しています。3大割安株とは、私が命名したもので、金融株、資源関連株、製造業の3セクターのことです。

 これまで、米金利が下がり資源価格が下がり製造業が不振の中で売られてきましたが、米金利が上がり資源価格が上がり製造業の景況が急回復する中で、三大割安株が買われる流れが続くと予想しています。

 3大割安株についての、詳しい説明は、以下、著者オススメのバックナンバーからお読みください。

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