※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
[動画で解説]日経平均急落 「三大割安株」買い増しの好機と判断
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米金利上昇を嫌気して、グロース株の下落が続いている

 3月第1週(1~5日)の日経平均株価は1週間で101円下がり、2万8,864円となりました。1,051円下がった2月最終週(22~26日)に続き、2週間連続の下落。米長期金利上昇をきっかけに世界的に株が売られる流れが続きました。

米長期金利(10年国債利回り)推移:2020年1月2日~2021年3月5日

出所:楽天証券経済研究所が作成

日経平均・ナスダック総合指数・NYダウ・上海総合指数の動き比較:2019年末~2021年3月5日

注:2019年末の値を100として指数化
出所:楽天証券経済研究所が作成

 世界的に株価バリュエーションの高いグロース(成長)株の値下がりが目立っています。一方、株価バリュエーションが低いバリュー(割安)株は、株価堅調です。

 米国株では、GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)などグロース株の比率が高いナスダック総合指数の下げが大きい一方、バリュー株の比率が相対的に高いNYダウは堅調です。

三大割安株は金融・資源・製造

 日本株でも、同じことが起こっています。グロース株の値下がりが大きいものの、バリュー株は堅調です。それが、TOPIXバリュー指数とTOPIXグロース指数の値動きの差に表れています。

TOPIXバリュー指数とTOPIXグロース指数の値動き比較:2020年末~2021年3月5日

出所:東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成
※指数は、配当込み

 バリュー株には、私が「三大割安株」と呼んで「買い推奨」を続けてきた大型の高配当利回り株が含まれます。

「三大割安株」とは、金融株、資源関連株、製造業のことで、株価バリュエーションが低く、配当利回りの高い銘柄が多いことから私がそのようにネーミングしています。

 コロナ禍で業績が悪化し、2020年は株価低迷が続いてきましたが、足元では金利上昇、資源価格上昇、世界景気回復によって業績回復期待が高まってきたことから、株価が好調に推移しています。

 グロース株は、コロナ禍でも業績が相対的に好調だったIT関連やバイオ株などが含まれます。2020年は、業績不振のバリュー株が売られる中、業績も株価もきわめて好調でした。

 ところが、2021年に入り、米金利上昇をきっかけに、世界的にグロース株が売られる中で、日本でもグロース株の下落が目立っています。

 以下の通り、2020年まで含めると、グロース株の方がバリュー株よりパフォーマンスがはるかに良くなっています。

TOPIXバリュー指数とTOPIXグロース指数の値動き比較:2019年末~2021年3月5日

出所:東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成
※指数は配当込み

 2021年だけ見る、つまり上のグラフの赤で囲んだところだけ見ると、バリュー指数の方がパフォーマンスが良いのですが、2020年初めから通して見ると、グロース指数の方が上昇率が高いことがわかります。

この下落局面は、バリュー株押し目買い好機と判断

 この日経平均急落が、「宴の終わり」「新たな下げトレンドの開始」を意味するのか、「押し目買い好機」か、議論が出ています。

 私は日本株の「押し目買い好機」と判断しています。これから業績モメンタムが強くなってくるバリュー株、中でも、三大割安株(金融株、資源関連株、製造業の割安株)に注目しています。以下に、投資の参考銘柄を記載します。

投資の参考銘柄:2021年3月5日時点

コード 銘柄名 種別 株価:円 配当利回り PER:倍 PBR:倍
8306 三菱UFJ FG 金融株 565.0 4.4% 11.0 0.43
8766 東京海上HD 金融株 5,382.0 4.4% 18.6 1.05
8058 三菱商事 資源関連 3,037.0 4.4% 22.4 0.84
8002 丸紅 資源関連 822.5 3.4% 7.5 0.87
7203 トヨタ自動車 製造業 7,969.0 2.8% 11.7 1.11
出所:配当利回りは、2021年3月期1株当たり年間配当金(会社予想)を3月5日株価で割って算出。1株当たり配当金の会社予想を公表していないトヨタのみ日経QUICKコンセンサス予想を使用。1株当たり配当金は、三菱UFJ25円、東京海上235円、三菱商事134円、丸紅28円、トヨタ220円。PERは、3月5日株価を2021年3月期1株当たり利益(会社予想)で割って算出

 

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