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中国株投資への熱い視線

 世界経済における中国の存在感や注目企業の台頭、そして新型コロナ対応など、グローバルな視点での分散投資の対象として中国株への関心が高まっています。

 ところで、中国株取引をしている投資家は実際にどのような銘柄を取引しているのでしょうか?

■表:楽天証券での中国株デビューの売買金額ランキング(2020年・香港市場)

順位 コード 銘柄名
1 02800 トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン
2 01810 小米集団(シャオミ)
3 09988 阿里巴巴集団(アリババ)
4 02801 iシェアーズ MSCI チャイナ・インデックス ETF
5 00700 騰訊控股(テンセント)
6 02833 ハンセン・インデックス・ETF
7 02836 iシェアーズS&P BSEセンセックス・ インディア・インデックスETF
8 03087 Xトラッカーズ・FTSE ベトナム・スワップ
9 00175 吉利汽車(ジーリー・オートモービル)
10 03690 美団点評(メイトゥアン)

 上の表は、はじめて中国株取引をした、香港市場での売買代金ランキングです(2020年、楽天証券)。上位10銘柄のうち、ちょうどETF(上場投資信託)と個別銘柄、それぞれ半分の5銘柄ずつとなっています。

中国株ETFは何が選ばれている?

 まずはETFから見ていきます。

トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン(02800)

 ランキング1位のトラッカー・ファンド・オブ・ホンコン(02800)は、香港の代表的な株価指数であるハンセン指数に連動するように運用されているETFです。

ハンセン指数とは?

 ハンセン指数とは、香港市場に上場している銘柄のうち、時価総額や流動性の高い上位銘柄で構成されています。

 日経平均の225銘柄のように、ハンセン指数の構成銘柄数は一定ではありませんが、おおむね三十数銘柄となっています。この三十数銘柄で香港市場の時価総額の7割近くを占めており、香港市場全体の動きに投資するのであれば、トラッカー・ファンド・オブ・ホンコンは基本のETF銘柄といえます。また、6位のハンセン・インデックス・ETF(02833)も同じタイプのETFです。

iシェアーズ MSCI チャイナ・インデックスETF(02801)

 続いて、4位のiシェアーズ MSCI チャイナ・インデックスETF(02801)は、「MSCIチャイナ・インデックス」という指数に連動するETFです。

MSCIチャイナ・インデックスとは?

「MSCIチャイナ・インデックス」は、香港市場だけでなく、上海市場や深セン市場、海外の株式市場などに上場している中国企業の銘柄も対象としています。つまり、米NASDAQ市場に上場している中国の検索サイト大手の百度(バイドゥ)なども、この指数の対象となっています。中国株全体に投資をしたいという際に候補に挙がるETF銘柄です。

iシェアーズS&P BSEセンセックス・インディア・インデックスETF(02836)

Xトラッカーズ・FTSE ベトナム・スワップ UCITS ETF(03087)

 また、残りの2銘柄である、iシェアーズS&P BSEセンセックス・インディア・インデックスETF(02836)とXトラッカーズ・FTSE ベトナム・スワップ UCITS ETF(03087)は、中国株投資というよりは、日本から直接取引することが難しいインド株やベトナム株への投資を、香港市場に上場しているETFを通じて間接的に投資できるという点で注目されていると思われます。

いま投資できる中国株ETFは相当数ある

 中国株に投資するETFとしては、ランクインしている銘柄以外にも、対象指数の値動きに対して倍以上の値動きをするように設計されたレバレッジ型ETFをはじめ、対象指数と逆の値動きをするインバース型ETFや、セクター(業種)別のETF、テーマ(高配当など)別のETFといった銘柄が、香港・日本・米国市場に多数上場しており、その選択肢は相当な数にのぼります。

 参考に、各市場ごとに楽天証券で取引できる主な中国株ETFを挙げます。

■表:楽天証券で取引できる主な中国株ETF(香港市場)

銘柄コード 銘柄名 対象株価指数
02800 トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン ハンセン指数
02801 iシェアーズ MSCI チャイナ・インデックスETF MSCI China Index
02823 iシェアーズ FTSE 中国A50 インデックスETF FTSE China A50
02827 W.I.S.E. CSI300 チャイナ・トラッカー CSI300
02828 ハンセン・エイチ・シェア・インデックス・ETF ハンセンH株
02833 ハンセン・インデックス・ETF ハンセン指数
02838 ハンセン・FTSE・チャイナ50・インデックスETF FTSE China50
02846 iシェアーズ CSI 300 中国A株インデックスETF CSI300
03007 db xトラッカーズ FTSE中国A株 UCITS ETF FTSE China50
03049 db xトラッカーズ・CSI300中国A株 UCITS ETF  CSI300
03040 ホライゾンズ MSCI 中国 ETF MSCI China Index
03110 ホライゾンズ・ハンセン高配当利回り ETF ハンセン高配当利回りインデックス
03127 ホライゾンズ CSI 300 ETF CSI300
02820 グローバルX チャイナバイオテック ETF ソラクティブ・チャイナ・
バイオテック指数
02826 グローバルX クラウドコンピューティング ETF ソラクティブ・チャイナ・
クラウドコンピューティング指数

■表:楽天証券で取引できる主な中国株ETF(日本市場)

銘柄コード 銘柄名 対象株価指数
1309 NEXT FUNDS 中国株式上証50 上証50
1322 上場インデックスファンド中国A株(パンダ) CSI300
1572 中国H株ブル2倍 ハンセンH株
1573 中国H株ベア ハンセンH株
1576 南方 FTSE 中国A株50 ETF FTSE中国A50
2530 MAXIS HuaAn 中国株式(上海180A株) 上証180
2553 One ETF 南方 中国A株 CSI500 CSI500

■表:楽天証券で取引できる主な中国株ETF(米国その他市場)

市場 ティッカーコード 銘柄名 対象株価指数
NYSE FXI iシェアーズ 中国大型株 ETF FTSE China25
NYSE CNXT ヴァンエック・ベクトル中国AMC中小企業・創業板ETF 中国中小企業・創業板100指数 (ChiNext100)
NYSE CHAD Direxion デイリー CSI 300 中国A株 ベア1倍 ETF CSI300
NYSE CHAU Direxion デイリー CSI 300 中国A株 ブル2倍 ETF CSI300
NYSE YINN Direxion デイリー FTSE中国株 ブル3倍 ETF FTSE China50
NYSE YANG Direxion デイリー FTSE中国株 ベア3倍 ETF FTSE China50
NYSE CWEB Direxion デイリー CSI 300 中国A株 ブル2倍 ETF CSI Overseas China Internet Index
NYSE GLCN ヴァンエック・ベクトル中国ETF CSI300
NASDAQ CXSE ウィズダムツリー中国株ニューエコノミーファンド WisdomTree China ex-State-Owned Enterprises Index
※主に国有企業を除く中国企業
シンガポール DMCN db x トラッカーズ MSCI中国 UCITS ETF MSCI China Index

成績優秀な中国株ETFはどれ?

 中国株ETFをこうして眺めてみると、どれを選べば良いのか迷ってしまいますが、実際に主な銘柄のパフォーマンスを比較してみると、かなりの違いがあります。

 下の図は、2019年末を100として、2020年の各ETFの値動きの推移を表したものです。

■図:主なETFの2020年の値動き比較

注:2019年末の指数を100として算出
出所:筆者作成

米S&P500を上回るパフォーマンスの中国株ETF

 米S&P500と比べてパフォーマンスが上回っているものから、そうでないものまで多種多様です。

 特に、2020年のパフォーマンスがよかったのは、「クラウドコンピューティング指数」に連動するグローバルX クラウドコンピューティング ETF(香港:02826)と、「チャイナバイオテック指数」に連動するグローバルX チャイナバイオテック ETF(香港:02820)のテーマ型ETFです。

 そして、これに続くのが、「国有企業を除く中国企業指数」に連動するウィズダムツリー中国株ニューエコノミーファンド(米国:CXSE)と、「ChiNext100」に連動するヴァンエック・ベクトル中国AMC中小企業・創業板ETF(米国:CNXT)です。

 どちらも株価指数連動型のETFですが、前者は言葉の通り、経営効率の悪さが問題視されている国有企業(オールドエコノミー銘柄)を除外した指数で最近注目を集めており、こちらのレポートでも取り上げられています。

ChiNext100とは?

 また、「ChiNext100」とは、深セン市場の中小企業ボード(SME)と、ChiNextボードに上場している銘柄の中から選ばれた100銘柄が指数の対象となっています。この両ETF銘柄は、「中国の有望企業の成長に分散投資したい」というニーズに向いているといえます。

 そして、先ほども紹介したMSCIチャイナ・インデックス型ETFのパフォーマンスも米S&P500を上回っています。

香港ハンセン指数型ETFはイマイチ?

 その一方で、香港ハンセン指数型ETFのパフォーマンスはイマイチに見えます。

 民主派が除外されつつある香港情勢への警戒といった政治的な理由も影響していますが、金融系企業のウエートが高いというハンセン指数の構成銘柄の一面が出ている可能性があります。

 とはいえ、昨年(2020年)は、ランキングにも顔を出している阿里巴巴集団(アリババ:09988) や、小米集団(シャオミ:01810) 美団点評(メイトゥアン:03690) などの銘柄が相次いで指数に採用されており、ハンセン指数の構成が変わってきています。

中国株個別銘柄は何が選ばれている?

 次に、個別銘柄についても見ていきます。

 冒頭のランキングでは、中国のスマホ大手の小米集団(シャオミ:01810)や、ソフトバンクGが出資していることで日本でも有名となった阿里巴巴集団(アリババ:09988)、SNSやゲーム大手の騰訊控股(テンセント:00700)、民間の自動車大手の吉利汽車(00175)、生活関連のスマホアプリを手掛ける美団点評(メイトゥアン:03690)がランクインしています。

 いずれも、中国国内の巨大な消費市場で活躍している企業が中心ですが、この視点が個別銘柄を選択する際の基本となります。

 その他にも、米国と競争している先端技術の分野などは国の支援を受けていることもあり、注目度は高いです。

中国のBAT(バット)企業とは?

 また、中国の消費市場は、ネットやスマホを通じて成長を続けていますが、いわゆる「BAT(バット)」と呼ばれる、百度(Baidu:バイドゥ)、阿里巴巴集団(Alibaba:アリババ)、騰訊控股(Tencent:テンセント)を中心に据えると整理しやすいといえます。

■図:BATのビジネス・サービスの拡大の例(スマホアプリ)

出所:筆者作成

 バイドゥが検索サイト、アリババがEコマース、テンセントがSNS(交流サイト)といった具合に、それぞれが持つ基盤のビジネスから、あらゆるビジネスやサービスへと守備範囲を広げ、多くの企業に出資を行っています。

 例えば、中国のオンライン小売市場は、淘宝(タオバオ)と天猫(Tモール)を傘下に持つアリババがトップシェアですが、それに続くJD.com(香港:09618米国:JD)はテンセントが出資するグループ企業ですし、2月5日に香港市場に上場した、動画アプリを手掛ける快手科技(01024)もバイドゥとテンセントが出資を行っています。

中国版テスラ、TikTokの投資先は?

 この他にも、「中国版テスラ」と呼ばれている、新興EV(電気自動車)企業の上海蔚来汽車(米国:NIO)もテンセントが出資していますし、まだ上場はしていませんが、「TikTok(ティックトック)」でおなじみの北京字節跳動科技(バイトダンス)もアリババ傘下の企業です。さらに、ランキングに入っている美団点評(メイトゥアン:03690)もテンセントの出資を受けています。

 ちなみに、テンセントの投資先は700社を超え、うち約70社が上場し、150以上のユニコーンを抱えるといわれており、注目の中国企業の多くがBATに関わっています。すでに中国消費市場で確固たる地位を築いているBATの支援や関係を持っている企業であれば、それだけで人気化しやすい傾向があります。

 もちろん、業績の推移などもチェックする必要がありますが、株主構成に注目してみるのも銘柄を選ぶ際のヒントになりそうです。

 参考に銘柄などをご紹介した楽天証券では、ログイン後の画面で、各銘柄の業績推移や財務状況だけでなく、ニュースや業界マップなどのお役立ち情報を見ることができますので、ぜひ、のぞいてみてください。

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