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金は米国10年国債の金利が上がると下がり、下がると上がる
2020年10月22日掲載の「金が本格的に上昇するとき」においては、長期の視点で年金資金が金に入ってくるかが鍵になる旨、お伝えしました。今回は、中・短期の視点で金が本格的に上昇するときについて見ていきたいと思います。
まずは、直近1年の金(NY金)、債券(米国10年国債)、株式(NYダウ平均株価)、商品(ダウ・ジョーンズ・コモディティ指数)の動きについて見ていきましょう。
NY金の推移
米国10年国債の推移
NYダウの推移
ダウ・ジョーンズ・コモディティ指数の推移
金価格は、おおむね米国10年国債の金利が上がる(債券は下落)と下がり、下がる(債券は上昇)と上がるという動きを続けています。
投資先を単純化して、金、債券、株式、商品(金を除く)の4つとみると、2020年8月以降は金、債券が売られ、株式、商品が買われています。原油・穀物といった商品が買われてインフレ懸念があり、金利はじわりと上昇(債券は下落)してきていて、金利の付かない金は売られています。
その一方で、足もとの企業業績はコロナ禍にもかかわらず予想以上に良い決算が続いていて、株式にお金が集まる構図となっています。
金上昇の転機は、企業業績が予想よりも悪化してきたとき
米国10年国債の金利が上がると金が売られるという構図がある中で、金が反転上昇するときはどのようなときになるのでしょうか?
企業業績が予想よりも好調なときには株式にお金が集まりやすく、金利も上昇する傾向にあるため、金が反転上昇する転機は、企業業績が予想よりも悪化してきたときと見ています。具体的にはアナリストの企業業績予想において下方修正が多くなってきたときと考えています。
企業業績が予想よりも悪化し、金が上昇していくケースとして、次の3つを考えています。
<ケース1>
債券:上昇(金利は低下)
株式:下落もしくは横ばい
商品:下落
金:上昇
2020年前半に起こったケースです。商品価格が下落するため、インフレ懸念も後退します。このため、中央銀行にとっては量的緩和を継続しやすい状態となります。金利が低下していくので、緩和マネーが金利の付かない金にも向かいやすくなります。
<ケース2>
債券:上昇(金利は低下)
株式:下落もしくは横ばい
商品:上昇
金:上昇
2007年秋から2008年前半、2010年後半から2011年前半にかけて起こったケースです。当時を振り返ると、2007年秋から2008年前半の米国10年国債の金利は4%前後、2010年後半から2011年前半も3%前後と高く、金や商品にお金が流れるとともに、債券にもお金が流れやすい環境にありました。
ただ、現在の米国10年国債の金利は1%程度と低く、商品価格の上昇によりインフレ懸念も継続するため、景気が大きく悪化しない場合には、債券にお金が流れない(金利が低下しない)可能性もあります。この状態で量的緩和を継続した場合には商品価格のさらなる上昇を招き、次の<ケース3>に至る可能性もあると考えています。
<ケース3>
債券:下落(金利は上昇)
株式:下落もしくは横ばい
商品:上昇
金:上昇
オイルショックの時に起こったケースです。このケースの極端な形がスタグフレーション(不況下のインフレ)です。債券と株式が売られ、その資金が商品と金に集中するため、急激なインフレを招く状態です。
今、日米欧の中央銀行にとって一番起こってほしくないことは、実はインフレだと見ています。2%程度のインフレを目標に金融緩和を行っていますが、2%程度のインフレが継続する状態になってしまうと金融緩和をしにくくなり、度を超えてインフレになると、今度は一転して金融引き締めを考えないといけなくなるため、実際にはなってほしくないものと考えています。
このため、物価が上昇してきたときにも「一時的だ」と言い続けることになりかねず、それが物価のさらなる上昇を招き、最終的に「一時的ではなかった」となり、景気を犠牲にしてでも物価を抑えるための金融引き締めにつながる可能性があります。現時点ではテールリスクではありますが、中央銀行の対応が後手後手となった結果、スタグフレーションに至ってしまう可能性も0ではないと見ています。
いずれにしても、株式の勢いが止まってきたときのために、ポートフォリオに金を加えておくことには意味があると私は考えていますが、みなさまのお考えは、いかがでしょうか?
投資はあくまでも自己責任で。
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