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米市場はバブル?バブルは弾けるのか

 1月最終週の株式市場は米市場における投機波乱が東京市場にも飛び火し、ここまで相場の先導役となっていた半導体関連株にも急な利食い売りが出ました。

 米ゲームソフト小売りチェーン、ゲームストップ株など個別銘柄へのカラ売りを手掛けていたヘッジ・ファンドが、SNS掲示板「レディット」の書き込みに呼応した個人投資家の買いに踏みあげられ、損失確定の買い戻しを強いられたのです。

 株価の大きな投機的変動を見て、米証券当局も注意を喚起し、「規制懸念」となって他市場、他投資主体にも影響を与えました。基本的に投資家は「規制」を嫌うものですので、波乱要因となった格好です。

 このような前代未聞の動きについて、

  • 米株式市場はバブル化しているのではないか?
  • 市場全体に及ぼした影響は一過性ではなく、物色転換の始まりかもしれない?

 という指摘もあります。仮に今の米市場の動きが「バブル」だとすると、それが弾けるきっかけはFRB(米連邦準備制度理事会)による金融政策の転換(テーパリング/金融緩和縮小)と想定する投資家は多いでしょう。

「テーパリング」については、2021年2月2日にトウシルで公開されている三井住友DSアセットマネジメントの記事「米国の金融政策で注目されている『テーパリング』とは?」で詳しく解説されているのでご一読ください。

 1月26~27日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、コロナ禍への対応として実施されているQE(無制限量的緩和)による米国債やMBS(住宅ローン担保証券)の購入ペースについての変更は示されませんでした。

 声明後の記者会見でパウエルFRB議長は、「依然として失業者数が多いことから、(QEの)出口戦略に関して議論することは時期尚早」と述べ、一部で取りざたされるテーパリング議論をまず一蹴しています。

 1月14日にもパウエル議長は、プリンストン大学でのセミナーにオンライン出席した際、「(2008年からの)世界金融危機からの教訓は出口戦略が早すぎないように注意すること。なぜなら市場参加者が注目しているからだ」と発言しています。

 2013 年 5 月末にバーナンキFRB議長(当時)がテーパリングを示唆したことを契機に、株価急落や新興国からの急な資本逃避が発生し、マーケットが混乱した「テーパー・タントラム(俗に「バーナンキ・ショック」とも言われる)」の再発を強く警戒しているのでしょう。ここからは早い段階でFRBの金融政策変更を懸念するのは早計と考えられます。

半導体関連株などの動向から『次の動き』を見る

 物色の変化については、これまで相場のけん引役となっていた「半導体関連株」を筆頭とする銘柄の推移をウオッチして判断することになりそうです。それらが反発し、再び高値を更新するような動きとなれば懸念は杞憂となり、逆に上値が重い状況となると、物色が変化したと捉えることになります。

 ウオッチする対象となりそうな銘柄も指摘しておきます(5銘柄)。

 ここでは一応、仮に物色が変化した場合にどのようなところに資金が流れ始めるのかを先読みしておきます。バブル(とは限っていない)が弾けるようなことにならなければ、投資資金は必ず次の投資先を探し、それらが動意づくとさらに多くの資金が集まるのが相場の常だからです。

 一つは先行して景気回復が見られている中国と密接な「中国関連株」。もう一つは出遅れ感がある「内需株」です。想定よりも好業績で推移している銘柄や高流動性が見られる銘柄がその対象となりそうです。

コード 銘柄名 株価(円)
中国関連株
6101 ツガミ 1,725
6506 安川電機 5,680
6268 ナブテスコ 4,860
6383 ダイフク 12,450
6479 ミネベアミツミ 2,373
内需株
3563 スシローグローバルホールディングス 3,860
3097 物語コーポレーション 11,940
8267 イオン 3,390
3681 ブイキューブ 3,095
9143 SGホールディングス 2,600
※株価データは2021年2月3日終値ベース

【中国関連株】

ツガミ(6101・東証1部)

 小型自動旋盤の首位企業。中国製造子会社が同社売上高の約半分を占めるほど中国とつながりが深い企業です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

安川電機(6506・東証1部)

 産業用ロボット累計台数で世界首位企業、中国家電大手の「美的集団」と提携関係にあります。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ナブテスコ(6268・東証1部)

 産業ロボット用精密減速機(世界シェア6割)、鉄道車両用ブレーキや油圧機器の大手企業です。中国需要増の恩恵を受ける企業です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ダイフク(6383・東証1部)

 保管・搬送システム世界首位級企業です。世界的な巣ごもり需要増加を受け、EC(通販)関連向けが大きく伸びを見せています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ミネベアミツミ(6479・東証1部)

 極小ベアリングで世界シェア6割を誇り、スマホ用バックライトにも強みがあります。中国の世界景気回復けん引が追い風になるバリュー銘柄です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

【内需株】

スシローグローバルホールディングス(3563・東証1部)

 回転ずし首位企業で全国に「あきんどスシロー」を展開しています。国内コロナ感染減少や、緊急事態宣言終了メドが追い風になるかもしれません。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

物語コーポレーション(3097・東証1部)

 直営・FCで展開する食べ放題『焼肉きんぐ』が主力です。この銘柄も国内コロナ感染減少や、緊急事態宣言終了メドが追い風になりそうな銘柄です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

イオン(8267・東証1部)

 国内流通2強の一角で、総合スーパー(GMS)を中心に展開しています。巣ごもり消費、国内消費回復の両面のメリットを受けると見られます。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ブイキューブ(3681・東証1部)

 Web会議などコミュニケーションサービスを提供しています。コロナ禍で伸びたWeb会議、セミナーなどのシステム需要はコロナ感染減少時も旺盛です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

SGホールディングス(9143・東証1部)

 佐川急便と中核とする宅配便2位企業です。日立物流と資本業務提携し企業物流も強化しています。物流業界の好調は継続しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

著者によるこの記事の解説音声はこちら(soundcloudサイト/9分57秒)