ビットコイン、イーサリアム急反落。穀物が上昇
先週は、穀物の上昇が目立ちました。本コンテンツで参照する、ジャンルを横断した主要25銘柄において、穀物銘柄が上昇率1位から3位を占めました。トウモロコシ+6.8%、小麦+5.8%、そして大豆+2.7%でした。
穀物銘柄の上昇は、先週、USDA(米農務省)が先週公表した需給見通しにおいて、2021年の生産高や在庫の見通しを引き下げたことが一因と考えられます。その他、週次ベースの米国の穀物輸出に関わる統計において、輸出の堅調さが示されたことも、一因とみられます。
※今週の週刊コモディティレポート「脱炭素は上昇気流!穀物3銘柄価格が上昇する7つの理由」で、穀物相場の動向に関する筆者の考えを述べています。
一方、下落が目立ったのは、上海総合指数、NYダウ、ナスダック、ドイツDAX、イギリスFTSE100といった欧米中の主要株価指数、そして、イーサリアム、ビットコインといった暗号資産でした。
欧米では、ワクチン接種が始まって2カ月が経過しようとしているものの、新型コロナウイルスの感染拡大が収まっておらず、かつ、変異種の確認が相次いでいます。このような点を、株式市場はマイナス材料と受け止めているとみられます。
また、暗号資産は、今月初旬までおよそ半年間続いた急上昇相場が一巡しつつあります。株式相場や景気動向に比較的敏感なコモディティ(商品)の価格が上昇しにくくなっていることなどを受け、全体的にリスクオフ(リスクを回避しようとするムード)が強まり、暗号資産も利益確定の売りが出やすくなっていると、考えられます。
先週は、上昇銘柄数が9、下落銘柄数が16、最大と最小を除く騰落率の平均は▲0.4%でした。全体的には、1月8日(金)から15日(金)の週は“比較的弱かった”と言えると思います。
1月8日(金)から1月15日(金)のジャンル横断騰落率ランキング※参照銘柄を以下の25銘柄に変更をいたしました。
先週の「ジャンル横断・騰落率」を受けた今週の見通し
先週は“比較的弱かった”と書きました。本コンテンツで参照する25銘柄のうち64%にあたる16銘柄が下落し、騰落率の平均(最大・最小を除く)が、▲0.4%となったためです。
先述のとおり、先週は、およそ半年間上昇し続けた暗号資産の上値が重く、欧米の主要株価指数、景気動向に連動する傾向があるコモディティ(商品)が下落しました。このような動きから、先週はリスクオフのムードが強まった週だったと言えます。リスクオフのムードの要因である不安要素は、以下のものが挙げられます。
新型コロナ起因では、新型コロナの感染が世界的に拡大傾向にあること、複数の変異種が発見されていること、ワクチン流通のスピードがまだ十分でないことが挙げられます。他には、トランプ氏の弾劾をめぐる裁判が行われること、脱炭素がうたわれる中、中国が電池を製造するために必要な※レアアースの管理を強化する姿勢を示したこと、北朝鮮の朝鮮労働党の総書記に金正恩氏が就いたこと、などが挙げられます。
※レアアース:レアメタルのうちスカンジウム、イットリウムの2元素に15
また、今週20日(水)、バイデン氏が米国の新大統領に就任します。これにより、アメリカ一国主義を貫き、さまざまな分野で物議を醸してきたトランプ政権が正式に終了しますが、バイデン新政権は、これまでトランプ政権が積み上げてきた多くの問題を解消しつつ、新型コロナ対策を着実に推し進めていかなければなりません。就任直後から、難しいかじ取りを求められるため、必ずしも順風満帆な船出にはならないかもしれません。この点もまた、不安要素と言えます。
とはいえ、実態ではなく“期待”を織り込む傾向がある株式市場などは、米国での正式な新政権の発足を、新しい風が吹く、物議を醸したトランプ政権は正式に終わったなどと、プラス要素と受け止める可能性があります。
就任式や、後日行われる、今後1年間の方針を示す「一般教書演説」などで、バイデン氏が“市場が期待する以上の”素晴らしいスピーチをすることができれば(市場に強い期待を植え付けることができれば)、それを追い風に、株式市場や景気動向に比較的連動する傾向があるコモディティ(商品)銘柄は、反発色を強める可能性があると、筆者は考えています。
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