2020年の日経平均:コロナ・ショックで急落、歴史的な高水準まで急上昇
2020年最後となる今回は、毎年恒例の1年間の振り返りと翌年の大まかな見通しになります。2021年相場の注目点については、こちらをご参照いただくこととして、まずはチャートで振り返ってみたいと思います。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年12月28日取引終了時点)
12月30日(水)の大納会までまだ日がありますが、28日(月)時点の日経平均終値は2万6,854円でした。
昨年末(2019年12月30日)の終値が2万3,656円でしたので、今のところ、この1年間で3,200円ほど上昇したことになるのですが、上の図1でこれまでの株価の値動きを見ると、かなりダイナミックで様々な紆余曲折がありました。
具体的には、昨年からの(1)「フォロースルー」の局面で始まった後、いわゆる(2)「コロナ・ショック」と呼ばれる急落局面を迎えました。そして、底打ち後の(3)「戻り基調」の局面から、長く続く(4)「ジリ高のもみ合い」局面を経て、(5)「急上昇」の局面へと推移していきました。
その中でも、(2)と(5)の局面では大きく株価が動きました。(2)では1万6,358円(3月19日安値)まで下落し、(5)では2万6,905円(12月21日高値)まで上昇しましたので、その値幅は1万円を超えており、歴史的にも大きな変動幅だったことが分かります。
また、ニュースなどでも「日経平均は29年ぶりの高値を更新」と報じられたように、最近の株価水準についても歴史的なところまで戻してきました。
■(図2)日経平均(月足)の動き(2020年12月28日取引終了時点)
実際に、上の図2の月足チャートで過去の日経平均を見てみると、最高値は1989年12月の3万8,957円、そして最安値は2008年10月の6,994円です。
この間の下げ幅に対して、12月に入ってからの日経平均は61.8%戻し(2万6,747円)を挟んだもみ合いが続いています。「日経平均3万円」の達成が2021年相場の焦点のひとつになっていますが、仮にここを上方向に抜けきることができれば、次は76.4%戻し(3万1,414円)が目標となり、その途中に3万円台が存在することになるため、その実現可能性は一応あると言えます。
2021年の想定レンジは2万4,000円~2万8,000円あたり
ただ、19年間の下げ幅を12年間かけて戻してきたわけですので、果たして2021年の1年間で達成できるのかという時間軸の問題が残ります。
そこで、見ていきたいのが下の図3です。
■(図3)日経平均(週足)の動きと線形回帰トレンド(2019年12月25日取引終了時点)
実は、この図3は昨年末のレポートに掲載した週足の線形回帰トレンドのチャートをそのまま掲載しています。
当時の予想では、紫色で塗りつぶされた部分を2020年の想定コアレンジとしていました。2020年末時点の線形回帰トレンドの+1σ(シグマ)は2万6,260円、+2σが2万7,630円、反対方向については、▲1σが2万3,500円、▲2σが2万2,130円でした。
結果として、下値の予想はコロナ・ショックで大きく外れてしまいましたが、上値についてはほぼ想定内だったことになります。2020年相場は歴史的な値動きだった割には、トレンドの動向を探るテクニカル指標から見ると、大きく想定を外れていなかったことになるため、今年もこの線形トレンドで2021年の想定レンジを探ってみたいと思います。
■(図4)日経平均(週足)の動きと線形回帰トレンド(2020年12月28日取引終了時点)
足元の株価は+2σに向かおうとしているところですが、チャートを過去にさかのぼると、「底打ちからの反発後、しばらくもみ合いが続いて上値トライの上昇」という値動きのパターンが2016年の時と似ています。
このパターンが今回も繰り返されるのであれば、+2σ辺りでいったん天井をつけて株価が調整し、再び+2σをトライしていくという値動きが想定され、紫色の部分、大体2万4,000円~2万8,000円あたりが2021年の想定レンジになります。
ちなみに、現時点での2021年末の+2σは2万8,384円と3万円に届いていない他、+1σは2万6,740円、中心線が2万5,096円、▲1σが2万3,453円、▲2σが2万1,809円です。
日経平均3万円達成には、金融緩和やコロナ以外にも強い買い材料が必要
もっとも、2020年相場が歴史的な動きだったことを踏まえると、この想定レンジを超える場面も考えられますので、月足チャートの線形トレンドもチェックします。
■(図5)日経平均(月足)の動きと線形回帰トレンド(2020年12月28日取引終了時点)
月足の線形トレンドは2008年10月の安値を起点に描いています。
足元の株価水準は+1σを少し超えた辺りに位置しており、このまま+2σまで上昇していく展開も想定されます。ただ、2021年末の+2σの株価は2万9,512円と、こちらも週足と同様に3万円台に届いていません。そのため、2021年中に日経平均が3万円に乗せるには、金融緩和ありきの前提やコロナの状況次第という前置きをクリアすること以外にも、強い買い材料が必要になると思われます。
なお、2021年は丑年で、相場格言上は「丑はつまずき」とされています。実際に過去の丑年の日経平均騰落率をさかのぼってみると、2009年(19%高)、1997年(21%安)、1985年(13%高)、1973年(17%安)と上げ下げが交互に訪れています。このパターンでいけば今回は下落する順番で、あくまで相場格言上の話ではありますが、あまり良い巡り合わせではないようです。そのため、相場は年間を通じて順調に上昇していくというよりも、相場格言の通り「つまずき」を幾度か経験しつつ、次の方向感を探っていくという展開になるのかもしれません。
最後になりますが、2020年も当連載レポートをお読みいただきありがとうございました。引続き2021年もよろしくお願いいたします。
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