ビットコイン、イーサリアムが大幅上昇、銀、原油も上昇
先週、暗号資産の大幅上昇が目立ちました。ビットコインは26.2%、イーサリアムは12.5%、上昇しました。株価指数、通貨、コモディティ(商品)、暗号資産といった複数のジャンルを横断した合計25の主要銘柄の中で、2つの暗号資産は突出した上昇を演じました。
米国をはじめとした複数の先進国で金融緩和が継続することが確認され、暗号資産が持つ、特定の国の信用状況に依存しない“無国籍資産”という側面に注目が集まったこと、そして投機筋が資金を出し入れしたことなどが、その要因とみられます。
暗号資産に次いで、大きく上昇したのは銀と原油でした。銀(8.1%上昇)は、金(ゴールド)に連動し、かつ金よりも変動率が高い傾向があります。
先週、金が上昇したのは、米国の金融緩和が継続することが確認され、ドルが弱含んだことをきっかけに、代替通貨(この場合はドルの代わり)の側面から買われたためと、考えられます。
原油(5.4%上昇)は、7週続伸となりました。11月3日(火)の米大統領選挙の投票日があった週以降、上昇し続けています。NY原油先物(期近)は一時49ドル台に達し、今年3月初旬に発生した“新型コロナ・ショック”の直前の水準まで回復しました。
クリーンエネルギー策を推進することを標榜するバイデン氏の米大統領選挙の勝利を経てもなお、上昇が続いているのは、さまざまな下落要因を相殺して余りある原油固有の上昇要因が存在するためと、考えられます。※原油の今後の動向については、今週の週刊コモディティレポート『2021年原油相場の5大予測 “脱炭素”に過剰反応してはならない』で述べています。
先週は、上昇銘柄数が21(7)、下落銘柄数が4(18)、最大と最小を除く変動率の平均は+2.5%(▲0.6%)でした。全体的には、12月11日(金)と18日(金)の週は“おおむね強かった”と言えると思います(カッコ内は先々週)。
12月11日(金)と12月18日(金)のジャンル横断騰落率ランキング
先週の「ジャンル横断・騰落率」を受けた今週の見通し
先週は“おおむね強かった”と書きました。本コンテンツで参照している25銘柄のうち、先々週大きく反発し、利益確定の売りが出て反落しやすい状況にあった小麦と、金融緩和の継続が確認されたことで下落したドルを除く、ほぼすべての銘柄が上昇しました。
“ドル安”だった点は、“無国籍資産”の側面を持つ暗号資産と金(ゴールド)が上昇したことと符合します。そして(ドル安の要因とみられる)金融緩和の継続が示されたことで、景気回復期待が膨らみ、主要な株価指数が一様に上昇した点とも符合します。
今後、先進国の中で、特に米国の金融緩和の継続・強化が進めば進むほど、先週のように、“ドル安”、そして“暗号資産高”、“金(連動して銀も)高”、“主要株価指数高”という動きがみられる可能性があります。
そもそも現在の金融緩和は、新型コロナの感染拡大や感染拡大防止策を強化したことで生じている、経済的なダメージを回復させるために行われています。先週、FRB(米連邦準備制度理事会)、日本銀行、イングランド銀行など、主要国の金融当局が相次いで現在の金融緩和を維持する旨の声明を出したことは、彼らが、コロナで負ったダメージはまだ癒えておらず、引き続き、金融緩和による対処が必要である、という認識を持っていることを意味します。
先週の声明で、FRBは、金融緩和を維持する期間について「完全雇用に近づくまで」としました。数日や数週間ではなく、少なくとも数カ月間、状況によっては数年間、金融緩和が継続することも視野に入ったと、筆者は感じています。金融緩和策の一環である“異例の低金利”については、すでに、数年間、継続することが明言されています。
金融緩和の長期化は、暗号資産・金(連動して銀も)・主要株価指数の長期的な上昇要因になり得ます。今週以降も、先進国の金融当局の発言や会合後の声明、会合の議事録発表などに注目です。
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