日経平均は上げ下げを繰り返す横ばいの展開

 先週末12月18日(金)の日経平均株価終値は2万6,763円でした。前週末終値(2万6,652円)比では111円の上昇となり、週足ベースでも6週ぶりに下落に転じた前週から反発しています。

 今週は、海外勢のクリスマス休暇前の薄商いが想定される中で利益確定売りが出てくることが予想されるため、「下値でしっかりと買いが入るか」が焦点になりますが、国内のIPO(新規公開株)が12銘柄と多い他、ニトリHDや出前館、高島屋など内需関連を中心とした決算もいくつか予定されており、個別物色の動向も注目されそうです。

 早速、いつものように足元の状況から振り返ってみます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年12月18日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて先週の日経平均を振り返ると、上げ下げを繰り返す展開となりました。ローソク足の形を見ても、いわゆる「コマ足」と呼ばれる短い線が並んだ他、横ばいの5日移動平均に沿った値動きとなっています。また、前回のレポートでも紹介した、12月7日の「包み足」の高値(2万6,894円)を超えることができませんでした。

 こうした値動きは、新型コロナウイルスのワクチン接種開始による「将来のコロナ克服」への期待が高まる一方で、感染者の拡大傾向による「目先のコロナ不安」とのあいだで綱引きをしている相場地合いが反映されているような格好です。

足元の状況は「天井圏の形成」というより、「中段もちあい」

 ここで気になるのは、この横ばいの展開が「上値が抑えられつつ天井圏を形成している」のか、それとも「上昇基調の中での中段もちあい」なのかです。

 そこで、MACDでトレンドの強さもチェックしてみます。

■(図2)日経平均(日足)の動きとMACD(2020年12月18日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 足元のMACDは、上の図2を見ても分かるように、MACDとシグナルの2本の線とも下向きとなっていますが、MACDがシグナルを下抜けるクロスとなったのは、ちょうど12月7日の包み足の出現時です。

 そこからの値動きを踏まえれば、少なくとも11月の上昇基調はいったん止まったと言えます。ただし、このまま株価が下落へと向かうというわけではありません。チャートをさかのぼった6月の時のように、MACDが0円ラインまでの下降基調を描きつつ、株価自体はもみ合いが続く展開になる可能性があるわけです。その場合、今後の日経平均は25日移動平均線を強く意識する動きが想定されます。

 そして、チャート全体で俯瞰すると、6月までの上昇から長いもみ合い期間を経て、11月の上昇となっているため、足元の状況は「天井圏の形成」というよりは、やや「中段もちあい」に近いと考えられます。

 したがって、上方向のもちあいブレイクのポイントは、引き続き12月7日高値や2万7,000円台の節目となり、下方向については、2万6,000円台と11月24日の窓埋め水準(2万5,555円)が目安になります。

 仮に、下方向に動いた場合、まだ25日移動平均線と75日移動平均線とのあいだにギャップがあるため、株価が深押ししてしまう展開には注意が必要ですが、それでも目先は逆に意外高となるかもしれません。

 というのも、前回のレポートでは、「クリスマスが近づくにつれて薄商いが予想される中、IPOラッシュのためマザーズに注目」としていましたが、実際のところ、東証1部の売買代金はあまり減少することはなく、マザーズ指数の反発も限定的なものとなり、想定とは異なる展開でした。

 株価が横ばいを示しつつ、売買水準が維持されているということは、さまざまなポジションが「いい感じ」で整理されていると考えることができるため、今後、売買が減少したタイミングで、コロナ状況の改善や為替の円高一服、米国の追加経済政策の前進、米株市場のさらなる上昇などが重なれば、株価がピョンと上昇し、日経平均2万7,000円台乗せの場面があるなど、ちょっとしたクリスマスプレゼントがあるかもしれません。

TOPIXは年初来高値、トレンドの勢いも堅調

 さらに、先週はTOPIX(東証株価指数)が年初来高値を更新し、2018年10月以来の1,800p台乗せの場面があったこともプラス材料です(下の図3)。

■(図3)TOPIX(日足)の動き(2020年12月18日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 このTOPIXについては、前回も紹介したギャンアングルでトレンドの勢いを見ても、堅調さが維持されています(下の図4)。

■(図4)TOPIX(日足)の動きとギャンアングル(2020年12月18日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 TOPIXは相変わらず、「コロナ克服」ラインとされる、昨年8月26日を起点とする青いギャンアングルの8×1ラインを上抜けしきれない状況が続いてはいますが、ジリジリと株価水準を切り上げていることが分かります。

 また、この8×1ラインは、コロナショック時の安値である3月17日を起点とした、赤いギャンアングルの3×1ラインとの交差をそろそろ迎えますので、大きく動き出す可能性がありそうです。