NSC(吉本総合芸能学院)出身という異色の経歴を持つむらやんさんと、総利益40億円を誇る有名投資家、テスタさんの対談、後編をお届けします。今年前半で大きなマイナスを背負ったテスタさんがいかに巻き返したか、さらにはお2人の銘柄選びの基準などについても聞きました。
聞き手『トウシル』編集長・武田成央
米国市場を参考にして株価の動きを見抜いた
武田 今年は、いったんは6、7億円の損失を出しながら、最終的には5億円の利益を出せそうなんですよね。要するに後半だけで10億円以上稼いだわけですが、いったいどんなマジックを使ったんですか。
むらやん それは俺も聞きたいなあ。
テスタ いや、マジックなんかじゃないですよ。現実を素直に受け止めただけ。前に言ったように、大きな暴落の後は、しばらくダメ相場が続くのが常識だったでしょ? でも、今回は暴落が止まった瞬間、リバウンドし、そのまま上がり続けた。そのとき、むらやんはどう思った?
むらやん どうせそのうち下がるだろうと。過去の経験があるし。
テスタ だよね。俺もそう。でも、ある時点で、過去にとらわれるのはやめようと思った。今回は特別で、このまま上がり続けても不思議ではないなって。俺が何とかリカバーできたのは、その判断がほかの人よりちょっとだけ早かったからだと思う。
武田 とはいえ、コロナの勢いは増すばかりでしたよね。すんなり収束するとはとても思えなかった。それでも株価は上がると思えたのがすごい。
テスタ そこは米国市場の動きを参考にしました。米国の新型コロナウイルスの被害は日本の比じゃなくて、ニュースを聞くのが恐ろしいくらいだった。それでもNYダウ平均株価は下がる気配がなかったんです。だとしたら日本も、感染が広がっても、しばらくは株価が上がり続けるんかな…と。
むらやん それで先物の空売りをやめて、個別株に全力を注いだんやね。
テスタ うん。思い切ってポジションを積み増したら、それがうまくいった。あのまま先物の空売りを続けていたら、今頃は野垂れ死にしていたかもしれない(笑)。
むらやん なるほどなあ。俺は、このまま上がり続けるとは、その時は信じ切れんかったもんなあ。いや~、勉強になるわ(笑)。
武田 それにしてもマイナスを取り戻すどころか、プラスにもっていくっていうのはスゴイとしかいいようがないです。
むらやん 俺がいうのも何ですけど、テッちゃんは投資に取り組む姿勢が半端じゃないんですよ。これは憶測ですが、1日24時間ずーっと投資のことを考えている。投資以外には興味がない。超ストイックなんです。たぶん寝てへんのちゃうかな…。
テスタ いやいや、俺、寝るの大好きだから。毎日たっぷり寝てるし(笑)。
むらやん えっ、そうなん? まあでも、ひたむきに投資に向き合う姿にはほんと頭が下がるわ(笑)。
コロナ銘柄に狙いを定めて大逆転を果たした
武田 テスタさんは先物の空売りをやめ、個別株に全力を注いだとのことですが、どんな銘柄をターゲットにしたんですか。
テスタ これははっきりしていて、ズバリ、コロナ銘柄です。今年はあらゆることがコロナと結びつけて語られていたわけで、それを無視することはできません。だから、まずはコロナの流行が追い風になる企業、逆風になる企業、それからほとんど影響を受けない企業の3つに分類してみました。
武田 その中からコロナが追い風となる銘柄を狙ったんですね?
テスタ はい。もちろん逆風になる銘柄をカラ売りしたりもしましたが。
むらやん やっぱり新興銘柄?
テスタ コロナによって値が動く銘柄は何かと考えると、オールドエコノミーよりも中堅企業やベンチャー企業ってことになるからね。まあ、俺の場合、普段も新興銘柄に投資することが多いんだけど。
むらやん 個人投資家の多くはそうなんじゃない?
テスタ そうね。ただ、俺はオールドエコノミーも持ってるよ。配当狙いで。
武田 ブログにも書かれていましたが、配当もとんでもない金額ですよね。毎日十数万円入ってくる計算になるとか。ちなみに今は、高配当銘柄とともに株主優待銘柄も人気ですが、さすがに株主優待銘柄は保有されてないでしょうね。
テスタ いや、持ってますよ。吉野家。牛丼大好物なんで(笑)。ずいぶん前から持っていて、食事券を相当もらってます。万が一、吉野家さんが倒産しても、元は取っているかもしれません(笑)。そういえば、むらやんはアンチ優待じゃなかった?
むらやん きちんと投資効率などを考えて保有するんだったらいいんよ。でも、みんながやってるからとか、流行っているからとか、そういう動機だったらやめたほうがいい。いくら優待をもらっても株価が下がったら意味ないわけだし。
テスタ 俺は別にそれでもいいと思うけどね。特に初心者は、優待や配当があると買いやすいでしょうし。ただ、配当を狙う場合、初心者が気をつけたほうがいいのは、単に高配当だからという理由で購入すると、ソンをする可能性があるということ。今は高配当でも来期以降はどうなるか分からないし、業績によっては減配になるどころか、無配になることもあります。減配になって株価も下落したら、目も当てられないので、配当利回りだけでなく、業績などもきちんとチェックすべきだと思います。
コロナで始まり、コロナで終わりそうな年
武田 今年1年を振り返るつもりでしたが、どうしてもコロナの話になってしまいますね。
むらやん それはしょうがないと思いますよ。2020年はコロナで始まり、コロナで終わりそうですから。
武田 投資家にとって大きな出来事というと、ほかに米国大統領選なんかがありました。
むらやん いろいろ興味深くはあったけど、それによって何か影響を受けたかというと、あんましないかなあ。
テスタ 米国大統領選って期間が長いし、ある程度は想定の範囲内で事が進むし。ある瞬間、状況が180度変わるなんてことはあまりないから、突発的な出来事が起こったときに比べると、マーケットに与える影響は少ないと思いますよ。どちらの候補が有利かなどによって値動きはあるけど、その動きもけっこうマイルドだったりするからね。
むらやん 10月だっけ? 東証のシステムダウンなんてのもあった。でも、アレも、証券会社さんなんかは大変だったかもしれないけど、俺らにとってはあんま関係ないし。
テスタ 土日に加えて、1日休みが増えただけ(笑)。
武田 普通の年だったら首相の辞任も大統領選も無視できないところですが、それらがかすんでしまうくらい、コロナというのは大きな出来事だったということなんでしょうね。では、最後に、繰り返しになるかもしれませんが、1年を総括してもらえますか。
むらやん 例年通り、デイトレードを頑張ったけど負けが込み、「こりゃあ、何とかせんと!」と焦って中長期トレードを始めたけど、そんなんですぐに勝てるわけもなく、結局、最後まで浮上できなかったと、そういう1年でした(爆笑)。
テスタ 1つくらい、いいことなかったの?
むらやん それがないんよ。大負けもないんだけど、大勝ちもない。地味~に負け続けた(笑)。
武田 今は中長期トレードの勉強中なんですよね。だとしたら来年、成果が出るんじゃないですか。
むらやん いいこと言ってくれますねえ。たぶん、いや、絶対、そうでしょう。ぜひ期待ください(笑)。
武田 テスタさんはどうですか。
テスタ 今年前半の出来からすると、プラマイゼロまでもっていければ御の字だと思っていたので、まあ、悪くはなかったんじゃないですかね。
むらやん こういう年でもしっかり勝って、実力を証明できたんちゃう?
テスタ いやいや、前半は実力不足を痛感させられたからねえ。
むらやん まあ、でも、結果がすべてだから。そういえば、テッちゃんは投資のことしか頭にないみたいに言いましたけど、実は慈善活動にも熱心に取り組んでいるんですね。全国の児童養護施設にサッカーボールやバレーボールを届けたり。しかも、1回、2回じゃなく、ずーっと続けている。
テスタ むらやんに植林活動を誘われたのがキッカケだったんですね。そっちはいろいろあって参加できなかったんですが、何らかの形で社会に貢献したいという思いが強くなり、その活動を始めました。
武田 素晴らしいですね。
テスタ トレーダーって、日本ではあまりいいイメージがないですよね。ラクして稼いでいるみたいに見られがちですし。俺としては、そういうイメージを変えたいという思いもあったんです。
むらやん テッちゃんの努力なんかもあって、少しずつ変わってきてると思いますよ。
武田 私もそう思います。来年2021年はどんな年になるかはわかりませんが、たぶんテスタさんは今年以上の稼ぎを上げるでしょうし、むらやんさんは大復活されるでしょうから(笑)、1年後、またぜひお会いして、結果報告を聞かせてください!
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