※このインタビューは2019/02/12に公開した記事となります。 

地元・名古屋の企業をメインに割安成長株を発掘して中長期間保有するというスタイルで着実に資産を築き上げてきたアイルさん。後編では現在、保有している銘柄について、さらには自ら主催する投資勉強会について話を聞きました。

 

主力5銘柄に資産の7割を集中投資

──現在はどれくらい銘柄を保有しているんですか。

すべて合わせると200銘柄くらいです。

──かなり多いですね。

 売るタイミングを逸して持ち続けている銘柄とかもけっこうあります。何せ損切りできない体質なので(笑)。あと、株主優待株もかなりあります。ただし、それらは大量に持っているわけではなく、どれも少額です。
 

──ある程度まとまって持っている銘柄もあるんですよね。主力銘柄というか。

 はい。通常は4つか5つくらい。金額でいうとそれらで全体の7割くらいを占めます。
 

──そのときどきで、主力銘柄は変わるのですか?

 はい。会社を辞めた頃は前に話したゲオなどを主力としていました。今は当時とはガラリと変わっています。ただ、そんなに頻繁には入れ替えません。3年とか5年とか保有することが多いので。

──買ってすぐ高騰したら早い時期に手放すかもしれませんが、なかなか上がらなかったら、おのずと保有期間は長くなるでしょうからね。

 そうですね。すぐに高騰してくれたらラッキーですが(笑)もともと長期保有を前提で投資していますし、企業価値の向上には時間も必要だと考えています。
 

──現在の主力銘柄を教えてください。

 中部地区を中心に自動車ディーラーを展開するVTホールディングス、名古屋に本社をもつ葬儀会社のティア、イオングループの靴販売会社であるジーフット、家賃債務保証事業を手掛けるCasa、一般の不動産会社が扱わない「底地」をメインに手掛けるサンセイランディックといったところです。

──どれも最近、購入したのですか。

 いえ、VTホールディングスは2007年から買い始めました。翌年にはリーマン・ショックで株価が4分の1まで下がり青くなりましたが、その後はじわじわと株価が上昇し、8年後、名証から東証1部へ指定替えとなり、一時買値の10倍になりました。まだ持ち続けていますが(笑)。
 あと、ティアやジーフットもけっこう前ですね。4年ほど前からサンセイランディックを買い始めて、Casaはわりと最近です。

──では、最近買われたCasaについて教えてください。どこに期待して購入されたのですか?

 2017年に東証に上場した会社なのですが、その年の暮れ、たまたまツイッターで知って、PERを調べたら10倍でした。同業他社を調べてみたら20倍から30倍なので、ずいぶん割安だなと。普段、僕は上場して間もない会社の株は、株価にプレミアムも乗っていますし、決算などの情報も少ないので買わないことにしているんです。でも、ここはあまりにも割安なので、少しだけ購入しました。


──その後、買い増しされましたか?

 じつは買った後、業績予想が下方修正されたんです。ファンドが筆頭株主なので、上場ゴールかも?と不安になって株主総会に行ってみました。そうしたらすごく印象がよかったんですよ。上場してから最初の株主総会なんて、シャンシャン総会で終わらせたいはずなのに、総会後には説明会も開催し、社長が自分の生い立ちから今後の方向性まで真摯に語ってくれました。もちろん、業績が足踏みしている理由も納得のいくかたちで説明してくれました。それで、この会社は伸びると思って買い増ししたところ、案の定、株価が上がっていったんです。

──やっぱり株主総会は、ヒントの宝庫なんですね。
 

投資を広めて、投資に恩返しがしたい

──もう一つ、最近買われたサンセイランディックはどんな経緯で購入されたのですか?

 大阪で開催されたIRフェアにブースを出していたんです。話を聞いてみたらビジネスモデルがとてもユニークだし、割安でもあったので購入しました。

東京・名古屋・大阪など、日本全国を投資行脚。取材の時期も、セミナーのために上京するタイミングでお会いできた。自分の足を使い、労力を惜しまず生情報を収集するからこそ、企業を見る目が磨かれていくのだろう。

──家賃債務保証と底地ビジネス。投資初心者だとなかなか目がいかない分野だと思うのですが。

  自分が理解できない分野の銘柄は買わないと言いましたが、これらは話を聞いたら理解できたし、納得もできましたから。

──自分には馴染みがない分野だからと除外してしまうのも、それはそれでもったいないかもしれませんね。

 はい、その通りだと思います。

──サンセイランディックはIRフェアで知ったとのことですが、そうしたイベントにはよく行かれるのですか。

 よく行きます。個人投資家向けの会社説明会とか。株主総会同様、社長や役員の話を直接聞くことができるので、貴重な場なんです。

──アイルさんご自身も勉強会を主催されているとか。

 最初はゲーム会だったんです。投資のイロハを学べる「キャッシュフローゲーム」というボードゲームの会で、毎月、名古屋で実施していました。投資歴の長いベテランからビギナーまでいろんな方が来てくれて、かなり盛り上がりました。そのうち、まずはみんなでゲームをやり、その後、投資に関する勉強会を行うというかたちに変わりました。ただし、最近はゲームの時間がなくなり、勉強会主体になっています。

──始めた動機は何だったのでしょう?

 投資をやっている人たちに仲間を作る場を提供したいと思ったんです。投資って基本1人で行うものですが、誰かに相談したい、投資について語り合いたいと思うこともあるんですよ。それで、投資家同士が出会えるような場を作りたいなと。

 僕は、会社員時代、どこかでずっと「会社員に向いていないなぁ。自分で考えて、自分で決めてやるほうが向いてるなぁ」と漠然と思っていたんです。投資と出会って手痛い経験もしましたが、投資を続けた結果、人生の自由度や選択肢が増えたと思うので、多くの人に投資の楽しさを知ってもらって、悩みを解決する方法になればいいなと。

──それで熱心に勉強会を開いているんですね。

 おおよそ100人弱くらいの規模で、月一頻度で開催しています。資産バリュー投資家座談会なども開催しているのですが、著名投資家の座談会はとても人気で、募集開始してすぐに満席になることが多いですね。

──主催するのは大変な負荷ではないですか?

 確かに(笑)。運営負荷の低減が今年の課題です。 2007年から自分の投資経験を伝えるセミナーを不定期で始めたのですが、長年続けていく中で投資仲間も増えて、勉強会の趣旨に賛同して協力してくれる投資仲間も増えてきました。そのおかげで投資家の座談会のような勉強会も開催できるようになりました。
 私は株式投資に出会って本当に幸せだと思っていますし、今の生活が充実しているのは投資のおかげだと感謝しています。勉強会を開催しているのも、投資について学べる場を提供していきたいという想いで続けています。投資の神様がいるとしたら、投資の神様への恩返しみたいな感じです。投資仲間の皆さんにも本当に感謝しています。

自分が見つけた銘柄がブレークしたときが一番うれしい

――専業投資家の方にもいろんなタイプがいると思うのですが、アイルさんは幅広く活動されていますよね。ブログを拝見したら「世界一周クルーズ旅日記」というページがありました(笑)。

会社を辞めた後は再就職する予定だったので、「今ならいける、今しか行けない!」と決行。「3カ月以上休むなんてサラリーマンなら無理ですよね。なかなかi行けない南極とかも行けました。4人部屋もあるお値打ちなクルーズですが、楽しかったですよ!」

 最近はあまり行けていないんですが、楽しい趣味の一つです(笑)。

──船の旅はいいですか。

 会社を辞めたときはいずれ再就職するつもりだったので、何カ月も旅に出られる時間はもう二度と取れないだろうと思って、世界一周クルーズに行ってきました。豪華客船ではなく、格安のピースボートですが(笑)。そこで、すっかりハマってしまい、その後もアラスカクルーズやエーゲ海クルーズなど何度か行きました。

──旅行中、株価の動きが気になったりしませんか。

 そりゃあ、多少は気になりますよ。だから、どこかに寄港したら真っ先に新聞を見たりします。日本のツアーだと何日か遅れの日本の新聞を用意しておいてくれることが多いので。でも、中長期だからこそできることかもしれませんね。デイトレは海上ではできませんから(笑)。

──では、最後にこれから投資を始めるという人にメッセージをいただけますか。

 僕はあまり知られていない銘柄を探し出して投資するというスタイルを続けてきましたが、自分が見つけた銘柄がブレークするとめちゃくちゃうれしいんですね。投資家冥利に尽きるというか。人にすすめられて買ったときよりも何倍もうれしい。ですから、その喜びを早く知ってもらいたいですね。もちろん、自分で成長株を探し出すのは簡単ではありませんが、ぜひチャレンジしてほしいと思います。

──アイルさんはそういう経験をしょっちゅうされているんですか?

 いやいや、しょっちゅうは無理です(笑)。何年かに1度。だからこそ、これだという銘柄が当たったとき、大きな喜びを得られるんです。

──今日はどうもありがとうございました。

 

アイルさんが開催する勉強会の情報はこちらから!

直近の予定:東京 2月24日(日)

内容:市岡繁男さん講演会と、メディカル・データ・ビジョンの決算説明会を予定

お申し込みはこちらから>>

※個人主催の勉強会のため、メールへの返信は迅速に、急なキャンセルはできる限り避けていただけますようお願いします。

※マナーを守ってご参加ください。

 

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中編:主総会はヒントの宝庫!割安成長株の見つけ方 を読む

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