※このインタビューは2019/01/11に公開した記事となります。

 結婚を機に信用取引をフルに活用した強気一辺倒の投資スタイルから安定性重視の超分散投資へと切り替えたDAIBOUCHOUさん。今回はご自身がなぜ成功できたのかを振り返ってもらうとともに、現在の暮らしぶりなどについても聞きました。

会社勤めの人には「テーマ集中投資」がオススメ

──これまで投資家としてどんな道を歩んできたかをおうかがいしましたが、なぜDAIBOUCHOUさんは成功できたのか、自己分析していただけますか。

 10億円を5億円に減らしておいて成功だなんておこがましいですが。

──いえいえ、とんでもないです。一番の要因はやはり信用取引を上手に使ったということでしょうか。

 その前に、一貫して割安成長株に投資してきたということを挙げたいですね。この会社は面白そうだなと思ったら、まずPERやPBRを調べて、割安かどうかをチェックする。それで割安と判断したら、その企業のビジネスモデルを調べたり、IR情報を分析したりして成長性を検証する。どんなときもこの作業を疎かにしなかったことが好結果を生んだと思います。

──そこはブレなかった?

 そうですね。あと、もう1つ、テーマ集中投資を徹底したことですかね。今はいろいろな銘柄を持っていますが、前に話したようにかつては不動産関連銘柄に集中投資していました。また、リーマン・ショック後は株主優待株をメインにしていましたし、ほんの一時期ですが、ドラッグストア株に集中投資したこともあります。

不動産は「残戸数」「竣工時期」「販売価格」など、情報公開されているため、サラリーマンをしながらでも情報収集しやすいテーマ、とDAIBOUCHOUさん。「今調子がよくても、その後、竣工予定がまったくないデベロッパーはその時期に売り上げ計上が減ることが分かるためそのタイミングをはずす、などの予測も容易です」

──特定のテーマに集中投資するメリットは?

 僕が不動産関連銘柄でなぜ勝てたかというと、不動産業界について必死に勉強したからです。とくにマンションや一戸建て住宅を開発するデベロッパーについては、どのデータのどの部分を見れば本来の業績がわかるのか、どうなったら警戒しなければならないかなど、だいたい理解できるようになりました。だからこそ、テンバガーと呼ばれるような優良銘柄をいくつも見つけることができました。つまり、特定のテーマに絞ればその分野に詳しくなるので、当然、勝てる確率も高くなるわけです。

──たしかにあっちもこっちも手を出すとどれも中途半端になりそうですね。

 当時、僕はまだ会社に勤めていましたからね。投資の情報を集めて勉強するといっても時間的に限界があるわけで、不動産銘柄に集中したからこそ、好成績を残せたと思います。

──会社勤めの人にはテーマ集中投資がオススメ?

 はい。

──ただ、どのテーマにするかは難しいところですよね。自分が得意とする土俵で勝負したほうが有利でしょうけど、そのセクターに有望銘柄がまったくなかったら話にならないでしょうし。

 どんなセクターでも探せば有望銘柄はいくらでもあると思いますよ。昨年は投資家には厳しい1年でしたが、それでも買いたい銘柄がたくさんありましたし。まずはじっくり検討してみてほしいですね。

勝ち癖がついたら信用取引にトライしてほしい

──次はやはり信用取引ということになりますか。

 そうですね、大きな勝因の1つであるのは間違いありません。前にも話したように信用取引を活用すれば手持ち資金の約3倍の取引きを行うことができます。取引きの金額が大きくなればなるほど得られる利益も大きくなりますから絶対的に有利なんです。

──とはいえ、信用取引は、お金を借りて取引きするわけですから、万が一、株価が大きく下がって自己資金を超える損失が発生したら、元本を失うばかりか、負債が残ってしまうわけですよね。それを考えて、躊躇する人も多いと思うのですが、DAIBOUCHOUさんはすんなり踏み切れたのですか。

 もちろんリスクは考えました。ただ、僕は不動産業界についてかなり勉強しましたし、投資対象企業についても徹底的に研究しましたからね。マンションデベロッパーであれば、今現在何棟建設しているのか、販売後の売れ行きはどうか、売れ残りはないかなど、いろいろ調べてエクセルで集計したりしてました。だから、少しでも不安材料を発見したら撤退することができた。そこまでやっていたので、信用取引に手を出しても大丈夫だろうという思いがありました。

──きちんと裏付けがあったと?

 まあ、そうですね。それにあのときは現物投資していたアーネストワンが絶好調だったわけです。で、ふと周りを見渡したら、同じように業績を伸ばしている同業の企業がいくつもあった。しかも、どこもどういうわけか、さほど株価が上がっていなかった。僕はそんな企業を狙って信用取引を始めたわけで、ある程度、勝算があったわけです。

──勝算があるときにこそ使うべきであると。

 僕は勝っている人がさらに勝ちを増やすために信用取引を行うのはアリだと思うんです。というか、コンスタントに稼ぎを出している人が信用取引をしないのはもったいない。けれど、株式投資を始めたばかりの人とか、長くやっているけどマイナスが続いている人とかは避けたほうが無難でしょう。

──それはそうですね。

 それと、負けがこんできたので信用取引で一発逆転を狙おうというのも絶対にやめるべきです。いくらなんでも危険すぎます。

──追い証は怖いですか(笑)。

 そりゃあ、やっぱりビビります(笑)。

──でも、レバレッジを抑えるという手はありますよね。

 おっしゃる通りです。僕が昔やっていたような「現物1:信用2」といった強気なかけ方をしていたら、当然、追証の可能性は高くなります。でも、抑えめにしておけば、追い証は防げます。僕自身、今はそうしていますし。そういう意味では、最初はレバレッジを抑えめにして、信用取引のコツがわかってきたら、徐々に高めていくのがいいかもしれません。

投資仲間と会うとさまざまな刺激を受ける

生活はいたって地味、というDAIBOUCHOUさん。めだった贅沢もせず、実は車も所有していない。車移動が必要な場合はタクシーを呼ぶ、というぐらいが豊かさを感じさせる生活。「ただし、妻と海外旅行には行くようになりましたね。今年はフランスに長期滞在して楽しみました。その間も一日一回くらいは株価を見てはいましたが」

──最後に少しプライベートについて聞かせてください。専業投資家の方って普段、どんな暮らしを送っているのか興味がある人も多いと思うのですが、1日の過ごし方は?

 自宅が仕事場なので出勤はしませんが、べつに普通だと思いますよ(笑)。朝起きて、株式市場が開く9時頃になったらパソコンを立ち上げ、保有する銘柄の株価を確認したり、買おうと思っている銘柄について調べたりします。売ったり買ったりの取引も行います。15時に市場が閉まってからはいろいろですね。家でだらだらしていることもあれば、ジムに行ったり友人に会ったりすることもあります。もちろん、そのまま夜中までパソコンに向かっていることもあります。

──デイトレーダーのように1日に何十回、何百回と売り買いするわけではないですよね。それでも市場が開いている時間はパソコンを立ち上げている?

 僕は200種類の銘柄を保有していますから、1つ1つの株価の動きをチェックするだけでもけっこう時間がかかるんです。それに保有銘柄の買い足しまで含めると、1日に10回以上売り買いすることもあります。ただし、おっしゃる通り、デイトレーダーの方とは違い、市場が開いている間は必ずパソコンの前にいなければならないというわけではありません。だから、何か用事があれば昼間でも外出しますし、妻と旅行に行くこともあります。

──やっぱり保有銘柄が多いと大変ですか。

 そこは何とも言えないですね。たくさん持っていると見たり調べたりすることは多いですが、例えば1つ2つ株価が下落しても致命傷にはなりませんよね。200分の1か2に過ぎないわけですから。でも、3つ4つしか持っていなかったら、1つ暴落するだけでダメージが大きい。それはそれで神経を使うんです。

──前回、オフ会などで投資仲間から注目銘柄を教えてもらうこともあるとおっしゃいましたが、投資家の方々って横のつながりがけっこうあるんですか。

 それも人によるでしょうね。僕の場合、投資を始めてすぐネットの掲示板で仲間と出会い、情報交換したりしていたのですが、2008年に株をやめたので、そのつながりが途切れてしまったんです。でも、5年ほど前、あるセミナーに招かれたのを機に再び株仲間ができ、今はよくオフ会も行っています。

──投資仲間と会うと刺激を受けますか。

それはそうですね。彼らから「××株で一儲けした」「○○万円稼いだ」といった話を聞くと「自分も負けてはいられない」と思いますから。僕にとって投資仲間というのは非常に大きな存在です。

──今、資産はどのくらいまで戻ったのですか。

 すべてひっくるめると6億円くらいかな。

──2018年の投資を振り返っての感想は?

 2018年は、アベノミクスの上昇相場で極端に日本の中小型株が顕著に株価上昇したので、その波に乗る努力を最大限しました。
 2018年10月以降は、業績成長より資産バリュー株やリーマン・ショックでも業績悪化しなかった業績や配当が安定的な株に徐々にシフトしました。結果的に貰える配当金額は増えました。
 クリスマス前後に大暴落しましたが、

  • 信用取引で勝負したり、全部現金にしたりなど、極端な投資はしない。
  • さらに大暴落しても致命傷を負わないようにシミュレーションする。
  • 反発した時のことも考える。余りに保守的な投資にすると、反発時に儲け損ねて、機会損失となる。

 という基本を守っていて、投資方針には、あまり影響はありませんでした。

今はガンガン稼ぐよりは緩い投資を心がけて、信用取引は止め、現金を10%くらい確保しています。10%の現金は株に再投入するよりは、株以外の安定的なインカム収入が狙える金融商品を増やそうと思っていて、その候補を検討中です。
大暴落で安くなった株を買って株数を増やして、その後の株価上昇で株数を増やした株が上昇して、日経平均株価などインデックスの数字が戻った時、大暴落前の時点より資産が増えることを目標に頑張ります。

──今日はどうもありがとうございました。

 

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