積立投資+スポット投資で資産形成の効率が高まる

 既につみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)で投資信託の積み立てを行っていて、さらに運用に回せるお金に少し余裕が出てきたという方なら、一つのファンドを10万円や百万円というまとまった資金で一括買い付けするスポット投資も併用することで、資産形成の効率を高めることができます。

スポット投資はトッピングメニュー方式で

 まずは、ポートフォリオの土台となるファンドを1本または2本程度選び、そこに自身のリスク許容度や目指すリターンのイメージを合わせて、トッピングメニューのようにファンドを追加していくとよいでしょう。

 今回は「土台」として使い勝手がよい株式ファンドに加えて、1本保有するだけでも資産分散投資が実現できるバランスファンド、さらには、「トッピング」としてのグローバル株式ファンドをご紹介します。

 少し資産運用に慣れてきた投資中上級者の方はもちろんのこと、投資初心者の方でも、組み合わせ方次第で収益源に厚みを持たせることができると同時に、リスク量も調整できます。まずは10本の投資信託を見ていきましょう。

10万円のスポット投資にふさわしい投資信託10選

オススメ 投資対象 ファンド名
1 国内株式 スパークス・新・国際優良日本株ファンド
2 国内株式 DIAM成長株オープン
3 国内株式 ミュータント
4 日本を含むグローバル株式 グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)
5 日本を含むグローバル株式 野村未来トレンド発見ファンド Bコース(為替ヘッジなし)
6 米国株式 アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)
7 国内外の株式と債券 ラッセル・インベストメント・グローバル・バランス 安定成長型
8 国内外の株式、債券、リートなど 投資のソムリエ
9 日本を含むグローバル株式 iTrustエコイノベーション
10 日本を含むグローバル株式 iFreeActive ゲーム&eスポーツ

1:スパークス・新・国際優良日本株ファンド

投資対象:国内株式    

 高い技術力やブランド力があり、世界的な活躍が期待できる日本企業を厳選し、投資を行います。組み入れ銘柄を20銘柄程度まで厳選し、長期保有するのが特徴です。日本のような経済成長率が長らく低迷する国では、銘柄を厳選し、優良企業に長期で投資するのが重要といえます。

2:DIAM成長株オープン

投資対象:国内株式

 国内株式の中でも中小型株を中心に投資しつつ、市場環境に応じて成長性の高い大型株も組み入れる点が特徴です。20年以上の運用実績を誇る「超・長寿ファンド」で、コロナ・ショック後の不安定な相場環境でも安定したリターンを獲得できました。

3:ミュータント

投資対象:国内株式

 将来、爆発的な変貌を遂げる可能性のある企業=「ミュータント・カンパニー」を厳選し、投資します。海外により有望な企業があると判断された場合は、純資産総額の30%を上限として海外株式にも投資を行う点が特徴です。

4:グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)

投資対象:日本を含むグローバル株式    

 ファンドの名称通り、新興国を含む世界のハイクオリティ企業(競争優位性、成長性ともに高いとみられる企業)に投資を行います。米国はもちろんのこと、デンマーク、インド、中国などの企業にも投資する点が特徴です。

5:野村未来トレンド発見ファンドBコース(為替ヘッジなし)

投資対象:日本を含むグローバル株式    

 グローバルな視点で投資魅⼒のある中⻑期の成⻑テーマを複数選定した上で銘柄を厳選します。足元では、AI(人工知能)・クラウドサービス、高齢化社会、消費の多様化などのテーマに基づいて銘柄が選定されています。自分で投資テーマを考えなくてもよいので、投資初心者にもおすすめです。

6:アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)

投資対象:米国株式

 米国株式を投資対象としたアクティブファンドの中でも、市場環境に大きく振り回されることなく、安定して市場平均を上回る成績を残しています。「持続的な利益成長が期待される企業は、景気や市場環境の影響を受けにくい」という投資哲学がパフォーマンスにも表れています。

7:ラッセル・インベストメント・グローバル・バランス 安定成長型

投資対象:国内外の株式と債券    

 マルチ・アセット(資産クラスの分散)、マルチ・スタイル(運用スタイルの分散)、マルチ・マネージャー(運用会社の分散)という3段階のリスク分散を行い、安定した運用成果を目指すバランス型ファンドです。1本保有するだけでポートフォリオが完結する「オールインワン型」のタイプです。

8:投資のソムリエ

投資対象:国内外の株式、債券、リートなど

「トウシル」でこれまで何度も取り上げている定番の低リスクバランス型ファンドです。日次と月次の双方で入念にリスクコントロールを行うことにより、コロナ・ショック前後の不安定な相場環境も乗り切ることができました。大きく増やすというよりも、「減らさない」運用に向いています。

9:iTrustエコイノベーション

投資対象:日本を含むグローバル株式

 環境問題というテーマを広くとらえ、EV(電気自動車)、ロボット、再生可能エネルギーなどのサブテーマに基づいて投資先企業を選定・投資する点が特徴です。投資対象地域には、米国と欧州の他、日本や新興国も含まれます。

10:iFreeActive ゲーム&eスポーツ

投資対象:日本を含むグローバル株式

 日本を含む世界のゲームとeスポーツ関連株式の中から、10~20銘柄程度を厳選し、投資を行います。米国だけでなく、eスポーツの分野で目覚ましい成長を遂げている中国の新興企業も組み入れている点が特徴です。

トッピングメニュー方式で10万円スポット投資をするポートフォリオ

 それでは、先ほどお伝えした土台+トッピング方式で、10万円のスポット投資をする場合のポートフォリオ例を、投資の姿勢別でご紹介します。

超積極型ポートフォリオ

■土台のファンド1:スパークス・新・国際優良日本株ファンド

 投資割合は40%程度がおすすめ(約4万円)

■土台のファンド2:野村未来トレンド発見ファンドBコース(為替ヘッジなし)

 投資割合は40%程度がおすすめ(約4万円)

■トッピングのファンド:iFreeActive ゲーム&eスポーツ

 投資割合は20%程度がおすすめ(約2万円)

■ポイントは?

「土台」は国内株式と先進国株式で作り、「トッピング」として中国株の組入れがある「iFreeActive ゲーム&eスポーツ」を追加。しっかり増やすことを目指した超積極ポートフォリオ。

「攻め」と「守り」型ポートフォリオ

■土台のファンド1:ラッセル・インベストメント・グローバル・バランス 安定成長型

 投資割合は50%程度がおすすめ(約5万円)

■土台のファンド2:グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)

 投資割合は50%程度がおすすめ(約5万円)

■ポイントは?

 バランス型を取り入れることで、2本だけで「攻め」と「守り」の双方を実現。さらに保守的な安定ポートフォリオにしたい場合は、「ラッセル」を「投資のソムリエ」にしてもOK。

まとまった資金は「7対3方式」でスポット投資がオススメ

 なお、今回は「10万円」という金額を一つの目安としましたが、数百万円などの単位でまとまったご資金がある方にとってもスポット投資は有効です。

 まとまった資金の運用でオススメしたいのは、「投資可能資金の6~7割をスポット購入に充てて、残りの3~4割を、もっと下がったときに追加購入できるよう取っておく」という方法です。数回に分けてスポット購入することで、時間分散効果に期待しながらも、機会損失が大きくなりすぎないようにします。

 心理的に、購入のタイミングを自分で判断することにどうしても不安を覚えるという場合は、積立投資を取り入れてもよいでしょう。ただし、その場合は、積立額を少額にしすぎないように注意してください。毎月の積立額よりも圧倒的に多い金額が、投資機会を奪われた状態になるからです。運用に充てられる時間を長く取れた方が、収益を獲得できる可能性は高くなります。ぜひ心がけてみてください。