★筆者が選ぶ銘柄一覧は4ページに掲載しています。
投資家は「金融政策がマーケットを支える」と認識
今年最大の政治ビッグイベント「米大統領選」が終了したタイミングで、改めて認識しておくべきことがあります。「コロナ急落の後、株価は何によって回復軌道を取り戻したか?」ということです。
これは間違いなくFRB(米連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)、日本銀行をはじめとする世界の中央銀行が実施している緩和的な金融政策です。
それにより生み出された流動性によって世界の株価は回復したのです。コロナ禍で金融危機に陥ることもありませんでした。この流れは米国の大統領が誰になろうと変わることなどありません。
新型コロナウイルスに対しては、かねてより「ワクチン」の開発が待たれています。欧米の製薬大手が開発したワクチンが今後数カ月以内に承認されるという情報はあるものの、確信があるわけではありません。
ただ、仮にワクチンの開発が遅れ、今よりも感染が拡大し、主要国の都市ロックダウンが行われる事態になったとしても「さらなる金融緩和によってマーケットは支えられる」と多くの投資家は考えているとみられます。時々のニュースに一喜一憂することがあったとしても、根底ではそのような捉え方でしょう。
中国経済の回復がもっとも早い公算大
10月19日に中国国家統計局が2020年7~9月のGDP(国内総生産)を発表しました。物価変動の影響を除いた実質で前年同期比4.9%増です。投資や輸出がけん引役となり、伸び率は4~6月(3.2%)より拡大しています。
新型コロナウイルスが直撃した2020年1~3月に、1992年に公表を始めた四半期ベースでは初のマイナス成長に沈んだものの、その後コロナ感染を抑えこんで生産が回復し、4~6月はプラス成長を取り戻し、7~9月の段階では先駆けて経済正常化、成長軌道を取り戻したことになります。
個別企業に関するニュースでもいち早くそれを示唆する動きが出ていました。8月20日に大手経済紙で、「鉄鋼大手の東京製鉄が10年ぶりに中国に鋼材の輸出を再開」と報じられています。同社が中国へ鋼材を出すのは2010年5月以来のことです。
このようなデータや事実は中国経済の回復を示すものですが、半面で、中国発や中国絡みの情報は検証をしておく必要もあります。依然としてその信頼性が問われるものだということも現実なのです。
ここでは、中国からの受注によって株価が動意することが多い日本の大手企業の株価を指針として用いてみます。
・村田製作所(6981・東証1部)の1年日足チャート
PC、スマートフォン向け部品の製造
・ファナック(6954・東証1部)の1年日足チャート
工場自動化ロボットの製造
・SMC(6273・東証1部)の1年日足チャート
医療機器メーカー向け設備の製造
・オムロン(6645・東証1部)の1年日足チャート
半導体製造向け制御装置の製造
・コマツ(6301・東証1部)の1年日足チャート
大型建設機械の製造
これら銘柄のほとんどがコロナ・ショック前よりも高い水準に位置していることは驚きです。金融緩和政策によって主力銘柄の株価が支えられ、さらに中国経済の回復によって持ち上げられているという理解も可能な状況です。欧米でのコロナ感染が拡大する中で、中国関連株がさらに投資家の注目を集める可能性も感じられます。
これからの東京市場の主役になるかもしれない「中国関連株」
ここまでの東京株式市場では、グロース株が物色の柱となり出直ってきた一方、バリュー株の多くはそれほどでもありません。物色の矛先が偏ることがすでに分かっています。
ここから先は、もしかすると「中国関連株」が主役の座につくかもしれないことをすでに株価が示している可能性もあります。製造業だけでなく中国に展開している小売業も含め、参考となる個別銘柄を取り上げておきます。
コード | 銘柄名 | 株価(円) |
---|---|---|
5332 | TOTO | 5,140 |
6268 | ナブテスコ | 3,915 |
7718 | スター精密 | 1,420 |
7453 | 良品計画 | 2,169 |
3046 | JINSホールディングス | 7,920 |
※株価データは2020年11月4日終値ベース |
・TOTO(5332・東証1部)の1年日足チャート
衛生陶器の中国展開が進む
・ナブテスコ(6268・東証1部)の1年日足チャート
中国向け油圧機器、鉄道車両用ブレーキが好調
・スター精密(7718・東証1部)の1年日足チャート
中国向け自動旋盤等の工作機械が持ち直し
・良品計画(7453・東証1部)の1年日足チャート
「無印良品」の中国出店を強化
・JINSホールディングス(3046・東証1部)の1年日足チャート
眼鏡販売「JINS」ブランドの中国での知名度が上昇
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