天然ガス、ビットコイン、ドルが上昇

 先週も、ビットコインが上昇しました。米決済大手ペイパルが自社のサービスにビットコインを組み入れると発表したことが、引き続き材料視されたとみられます。また、天然ガスも先週に続き、上昇しました。冬場の需要期を前にして、在庫が減少しやすいことなどが要因とみられます。

 一方、日米中の主要株価指数、貴金属、非鉄、原油、穀物などのコモディティ(商品)は、総じて下落しました。複数の欧州主要国での“再ロックダウン”実施決定が、実体経済、市場心理の両面を悪化させる懸念を生じさせたことが一因と考えられます。

 先週は、上昇銘柄数が4(15)、下落銘柄数が21(10)、最大と最小を除く変動率の平均は▲2.9%(+1.3%)でした。全体的には、10月23日(金)から30日(金)の週は“弱かった”と言えると思います。(カッコ内は前週)

 金(ゴールド)、原油の今後の動向については、今週の週刊コモディティレポート『金も原油も!多銘柄が売られるショック級の下落、背景をプロが分析』で述べています。

10月23日(金)と30日(金)のジャンル横断騰落率ランキング

※楽天証券のマーケットスピードⅡのデータより楽天証券作成
※銀・パラジウムはミンカブ・ジ・インフォノイドのデータを参照。
※ビットコインとイーサリアムは楽天ウォレットのビットコイン価格を参照。日本時間の前々週土曜日午前6時と前週土曜日午前6時を比較
※騰落率は前々週金曜日の終値と前週金曜日の終値より算出。(前週金曜日終値-前々週金曜日終値)/前々週金曜日の終値

先週の「ジャンル横断・騰落率」を受けた今週の見通し

 先週は、全体的に“弱かった”と書きました。上昇した銘柄は、個別の目立った上昇要因があった天然ガスとビットコイン、そして、資金の逃避先、あるいは欧州のコロナ感染拡大を受けたユーロの下落によって相対的に買われたドルでした。

 個別の目立った上昇要因によって上昇した2銘柄を除いて考えれば、ドルのみが上昇し、それ以外がほぼ全面安となった“新型コロナ・ショック”に近い状況だったと、言えると思います。

“米大統領選挙”について、結果によっては暴動が起きるのではないか? 投票日に結果が出ず、法廷闘争に発展するのではないか? 4年前と同様、ロシアのサイバー攻撃が行われるのではないか? など、不穏な報道が絶えません。

 欧州の新型コロナの感染再拡大も、大きな不安材料です。先月、ベルギー、フランス、スペインの人口100万人あたりの感染者数は、世界最多の感染者を有する米国を上回りました。再ロックダウンを実施することとなった国や地域もあります。

 今後、これらの不安はどうなるのでしょうか? 少なくとも、欧州の新型コロナは、すぐには鎮静化することは難しいとみられます。

 このような時こそ、材料を点で見ずに、俯瞰することが必要です。投資実施時のリスク管理は、投資対象を分散したり、資金配分を調節したりすることで行われることがありますが、“材料の俯瞰”もまた、リスク管理の一環であると、筆者は考えています。

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