楽天証券では、10月24日(土)ライブ配信にて「株式投資アカデミー」を開催しました。
米国大統領選挙を間近に控えた今回は、「米国大統領選挙特集」として多くのアナリストが出演し、さまざまな投資アイデアをお届けしました。中でも当日好評だった土居雅紹(楽天証券常務執行役員・株式・デリバティブ事業本部長)の「4年に一度の大イベント!米大統領選を投資機会にする」を、トウシル版・前後編でお届けします。本編はその後編です。
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過去の値動きから今回の米大統領選前後の値動きを予測する
さて、2つめの投資アイデアをご紹介する前に、米大統領選前後の値動きを把握しておきましょう。米大統領選前後の値動きは過去の指数の値動きを見ることで、ある程度予測をすることができます。まずは、S&P500の値動きです。
S&P500の値動き
2011年はギリシャ、ポルトガル、イタリアなどの欧州を中心とした債務危機問題が起きていたころです。その後も人民元ショック、Brexit(英国の欧州連合離脱)、米大統領選、VIX(恐怖指数)ショックやコロナ・ショックなどいろんな問題がありましたが、それでもまだ上がり続けるというのが米国です。この国の成長力、潜在成長力が強いことの表れです。
一方で、日本の日経平均株価は、2012年中頃からアベノミクスで上昇してきたものの、2016年の米大統領選後は、アベノミクスの手が尽きてきたことと、途中2回増税したことが要因で、少し株価が上がりにくくなっています。全体的に、いろんなショックに対する振幅が大きく、特に日経平均採用銘柄が為替相場に影響されやすいことが言えるでしょう。
各株価指数の値動きは?
米大統領選前後のS&P500の動きを見ると、それぞれの選挙に対して株価がどういう動きをしたかが分かります。これは、選挙当日の価格を100として直近20営業日前から選挙後28営業日目までの値動きを見たものです。タテの赤線が選挙当日です。
2008年(青)はちょうどリーマン・ショックの真っ只中だったため米大統領選に関係なく値動きが大きかったのです。2012年(オレンジ)、2016年(グレー)は大統領選後、上がってきているのが分かります。
そして、2020年(黄色)はコロナ騒動もありましたが、もうそこまで大きな値動きがなく、2012年2016年と同じような値動きになりそうです。
S&P500の日中の変動率を見ても選挙直後の値動きが最も大きかったことが分かります。
注目したいのは2012年と2016年を見ると、選挙直後の値動きがやはり荒いという点です。
続いて日経平均株価をチェックします。日本は時差の関係もあり、世界で一番最初に動くマーケットです。誰も見通せない状況の中、結果だけが突きつけられる日本市場は大混乱になることはよくあります。ただ、今回は2008年のような、とんでもないマーケットではないことは分かります。
VIXという指数もチェックします。これは、どれくらい相場が動くと予想しているかを、オプション価格から逆算して計算している指数です。
2008年はリーマン・ショックで異常事態が起きている状態だったのでVIXは非常に高い状態ですが、実は2012年と2016年もVIXは低い状態です。VIXというのはあくまで予想です。実際の値動きは関係なく、これからどれだけ相場が動くかということに対し、どう予想しているかなのです。そう考えると、今回はみんな「相場が動くだろうな」と予想していることが分かります。2008年ほどではないにせよ、「これは何かあるな」とみんなが思っているのです。
投資アイデア2:短期的に動く可能性が高いことを投資機会にする
さて、米大統領選後の値動きが大きくなる、このことを利用して短期的に儲(もう)けたい、投資機会にしたいという方も考えられます。この場合、VIXか日経VIに投資するという方法があります。
米国のVIXに投資することができるのがVIX短期先物指数ETF(1552)です。ただ、直前に買ってすぐに売るというのが大事です。
日経VIに投資するのであれば、日経平均VI先物指数ETN(2035)がよいでしょう。日経平均の上場オプションはコールとプットを両方買うと100万円くらいかかってしまうので資金にかなり余裕がないと難しく、どれだけ儲かるか分からないという不安の方が大きくなります。それよりは、ETF(上場投資信託)やETNを利用したほうがメリットが大きいでしょう。
ただし、こちらも商品設計上、持ち続けると下がってくるため、米大統領選の数日前に買っておいて、翌日の11月4日には勝っても負けても必ず手じまうことが大事です。
後編で紹介した銘柄
銘柄コード | 銘柄名 | ファンド情報 |
---|---|---|
1552 | VIX短期先物指数 | 円換算したS&P 500 VIX短期先物指数の変動率に一致させることを目指す |
2035 | 日経平均VI先物指数ETN | 日経平均ボラティリティ―・インデックス先物指数との連動を目指す |
出所:楽天証券 |
投資アイデア3:相場が荒れることを利用する
米大統領選前後に相場が荒れることが分かっているのであれば、荒れる前提で何かできないか考えたのが3つめの投資アイデアです。2016年の選挙のときの相場イメージは、上にも下にも大きくぶれる、つまり値動きが荒くなるということ。2020年も同様に、上にも下にも大きく値が動くことを踏まえて仕込むのがいいでしょう。
たとえば、素朴ながら、ダメ元で指値を置いてみるというアイデアです。値動きが大きいということは、高い値段も安い値段も値がつきやすいということです。
相場が荒れる日は板が薄くなるため、買うときには普段値がつかないような安い値段で、売るときにも普段値がつかないような高い値段で指値を入れてみるというのもいいでしょう。ただし、なんとなく指値を入れるのではなく、元々買おうと思っていた銘柄にダメ元で指値を入れてみるという点が大事です。これなら、「相場が荒れる(値動きが大きくなる)」ということに対するメリットが生かせるのではないでしょうか。
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