日経平均は2万3,500円台乗せ、外部要因は不確実性を強める

 先週末10月23日(金)の日経平均終値は2万3,516円でした。前週末終値(2万3,410円)からは106円高となり、2万3,500円台に乗せて取引を終え、週足ベースでも再び上昇に転じています。

 ただし、週を通じての値動きは上昇と下落が繰り返された他、東証1部の売買代金も2兆円割れが続くなど、様子見姿勢が強い展開でもありました。実際に、市場解説の記事等を見ると、米国の追加経済政策の成立期待が高まった、もしくは後退した、といった動向に日々振り回された格好です。

 今週からは、いよいよ国内企業の決算発表が本格化します。個別物色の動きが強まることが予想されますが、欧米地域での新型コロナウイルスの感染再拡大や、先ほどの米国追加経済政策成立絡みの思惑、米大統領選に向けた動向、為替のドル安(円高)など、外部要因は不確実性を強めています。「個別物色vs外部環境」という構図の中で、日経平均は2万4,000円台を試すことができるのでしょうか?

 まずはいつもの通り、日足チャートで足元の状況から確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)の動き (2020年10月23日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて先週の日経平均の値動きを振り返ると、週初の19日(月)に大きく上昇し、一時2万3,707円まで値を伸ばす場面がありましたが、結局これが週間の高値で、週末にかけて次第に失速していきました。

 ただし、前回のレポートで指摘していた、「25日移動平均線と2万3,500円台の攻防」については、無事にクリアして終えていますので、この点については明るい材料です。

 また、チャートの形状をフォーメーションで捉えると、以前も紹介した、上値ラインを同一とする「上昇ウェッジ」の3つめが形成されつつあるようにも見えます。株価が25日移動平均線をサポートに、次の展開に向けて市場のエネルギーが収束しつつあるような格好です。きっかけとなるのが、企業決算動向なのか、米大統領選挙なのかは分かりませんが、そろそろどちらかの方向に大きく動き出してもおかしくはない状況です。

TOPIXは下方向への意識が強い

 その一方で、TOPIX(東証株価指数)とマザーズの形状があまり良くありません。

■(図2)TOPIX(日足)とMACD(2020年10月23日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 25日移動平均線がサポートとなっている日経平均に対して、TOPIXは反対に上値の抵抗となっています。

 下段のMACDも下降基調が続いていて、週末の23日(金)時点で0pラインを下抜けしそうになっています。MACDは短期と中期の移動平均線(EMA)の価格差の推移を示している線ですので、0pラインを下抜けるということは、短期が中期よりも安くなる、つまり、移動平均線の「デッド・クロス」と同じ意味になります。

 そのため、TOPIXは日経平均よりも下方向への意識が強いと言えます。

マザーズ指数もさえない動き。買い向かう力は残る

 同様に、先週のマザーズもさえない動きとなりました。

■(図3)マザーズ指数(日足)とMACD(2020年10月23日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 マザーズ指数の動きについて、前回のレポートでは「25日移動平均線からまだ距離があり、相場が崩れた印象はない」と指摘しましたが、週末にかけて大きく下落したことによって、25日移動平均線を下抜けてしまいました。

 もちろん、一足早く9月に下落した米NASDAQが75日移動平均線まで調整していたことを踏まえれば、まだ調整局面にあると言えますし、23日(金)のローソク足が下ヒゲの長い「トンボ」という形になっていますので、買い向かう力がまだ残っていると見ることができます。

TOPIXとマザーズが個別物色でどこまで盛り返せるか

 したがって、TOPIXとマザーズが企業決算による個別物色でどこまで盛り返せるかが、今週の焦点です。

 ちなみに、今週の企業決算ですが、以下のような発表スケジュールです。

26日(月):31銘柄……日本電産、キヤノン、オービック、日東電工 など
27日(火):53銘柄……信越化学、HOYA、富士通、シマノ、MonotaRO など
28日(水):84銘柄……ソニー、花王、日立、コマツ、野村HD、LINE など
29日(木):154銘柄……ドコモ、OLC、武田、東京エレクトロン、ファナック、デンソー など
30日(金):407銘柄……村田製作所、エムスリー、JT、ZHD、三井物産、TDK など

 週末にかけて次第に決算を発表する企業の数が増えていくことになりますが、マザーズ銘柄については、指数寄与度の大きいアンジェスや弁護士ドットコムが26日(月)、マクアケが27日(火)に決算を発表する予定です。その内容が好感できるものとなり、週初の早い段階で反発の動きを見せることができれば、市場のムードは明るくなりそうです。

 日本企業全体については、「4-6 月期が業績の底で、7-9月期以降にどこまで回復できるか?」が注目ポイントになりますが、主力企業を中心に業績回復が見込まれる内容となり、さらに、外部環境が悪化しないという条件が重なれば、日経平均2万4,000円台トライの可能性は十分にあると思われます。

 しかし、新型コロナウイルスの感染再拡大の傾向は強みを増し、23日(金)の米国では1日あたりの新規感染者(8万4,218人)が過去最多を更新しています。ワクチン開発との絡みを考慮する必要はありますが、こうした状況が続けば中長期的な経済回復シナリオへの期待が後退することも考えられます。

 また、米大統領選挙戦についても、民主党のバイデン候補優勢という見方が強まる一方で、11月3日の投開票で決着がつかないかもしれないという不安も残るなど、外部環境の好転を確信するシナリオを描きづらく、株価の下振れ警戒がくすぶっているのも事実です。

 逆を言えば、業績面など中身のある銘柄に資金が向かいやすい相場地合いであると言えますので、市場全体がフラフラする中、銘柄の選別が進んでいく週になりそうです。