全面高の様相。特にエネルギー銘柄の上昇が目立った 

 先週は、幅広い銘柄で上昇が目立ちました。中でも上昇率が高かったのは、エネルギー銘柄でした。

 上昇率1位の天然ガスは、今年の冬、例年よりも気温が低下し、暖房用の需要が増加する見方が強まったこと、2位の原油は、ハリケーン“デルタ”が、テキサス州沿岸の油田地帯に襲来する見通しとなり、一時的に同地区の供給が停止したことなどが、それぞれ要因となったとみられます。

 また、パラジウム、銀、金、プラチナといった貴金属が、いずれも上昇しました。金については、ドルが下落したことで、代替通貨としての保有妙味が増したことが、一因とみられます。

 金以外の工業用の用途の割合が比較的高い貴金属については、同カテゴリの最主要銘柄である金が上昇をけん引したこと、米国の主要株価指数が上昇し、消費の増加期待が膨らんだことが、主な要因とみられます。

 先週は、上昇銘柄数が23(前週は18)、下落銘柄数が2(6)、最大と最小を除く変動率の平均は+3.2%(+1.8%)でした。全体的には、10月2日(金)から9日(金)の週は“強かった”と言えると思います。

・プラチナと大豆の今後の動向については、今週の週刊コモディティレポート『プラチナと大豆は優等生!コモディティの「バリュー銘柄」の探し方』で述べています。

10月2日(金)と9日(金)のジャンル横断騰落率ランキング

※楽天証券のマーケットスピードⅡのデータより楽天証券作成
※パラジウムはミンカブ・ジ・インフォノイドのデータを参照。
※ビットコインとイーサリアムは楽天ウォレットのビットコイン価格を参照。日本時間の前々週土曜日午前6時と前週土曜日午前6時を比較
※騰落率は前々週金曜日の終値と前週金曜日の終値より算出。(前週金曜日終値-前々週金曜日終値)/前々週金曜日の終値

先週の「ジャンル横断・騰落率」を受けた今週の見通し

 先週は、全体的には“強かった”と書きました。全体的に強かったのは、新型コロナに感染した米トランプ氏の退院を機に、感染告白のツイートがあった10月2日(金)に広がった強い不安感が、後退したことが要因とみられます。

 とはいえ、実際のところ、選挙戦をめぐる不安感はぬぐえていません。例えば、15日(木)に予定していた第2回目のテレビ討論会が行われないなど、残り2回の討論会の延期や中止がささやかれています。

 また、トランプ政権は、再交渉をしないことを明言していた追加の経済対策について、対策に用いる金額を増額して再交渉をする姿勢を示しました。財政難とされるニューヨーク州やカリフォルニア州などは民衆党の地盤とされ、交渉は引き続き、難航するとみられます。

 足元、米国の世論調査などを手掛けるReal Clear Politicsによれば、バイデン氏がトランプ氏を9.7ポイント程度、リードしていますが、残りおよそ3週間、情勢はまだまだ変動しそうです。

 こうした中、今週公表される主な経済指標は、13日(火)に中国の9月の貿易収支、ドイツとユーロ圏の10月のZEW景況感調査、14日(水)に日本の8月鉱工業生産(確報値)、ユーロ圏の8月の鉱工業生産、16日(金)にユーロ圏の8月の貿易収支、米国の9月の小売売上高などがあります。

 また、14日(水)に、ラガルドECB(欧州中央銀行)総裁の発言が予定されています。新型コロナなど、主要国の経済の現状や、今後の見通しを、要人がどのように認識しているかについて情報が得られる機会であるため、注目です。

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