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日経平均しっかり、米国・欧州下落でも売られない4つの理由

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先週の日経平均振り返り:欧州株下落も日経平均は堅調

 先週の日経平均は、1週間(9月23・24・25日の3営業日)で155円下がり、2万3,204円となりました。欧州で、新型コロナ感染が再拡大、欧州株が軒並み大きく下げた割には、日経平均は堅調でした。

 為替が円安方向に戻ったこと、9月に入ってから下落が続いてきた米国のハイテク株が反発したことが、日経平均を支えました。

日経平均日足:2020年5月1日~9月25日

 欧州各国では5月ころ、ロックダウン(都市封鎖)効果で、新型コロナの新規感染者が減少、一時、感染抑制に成功しつつあると思われていました。ところが、経済再開を進めるうちに、感染が再び増加、このまま冬を迎えると、感染二次爆発が起こる懸念も出ています。

 特に、スペインとフランスの感染拡大が目立ちます。9月に入ってから、1日1万人を超える新規感染が確認されるようになっています。イギリス・ドイツでも感染の再拡大が見られます。米国でも、同様に、感染の再拡大が不安視されつつあります。

 予防用ワクチンの大量供給が実現するまで、感染の二次爆発を起こさずに済ませられるかが正念場です。こうした危機が広がる中、スペイン・フランス・イギリスなど欧州主要国で、移動制限や、外食店の営業制限を再導入する動きが出つつあり、コロナショックから立ち直りつつある欧州経済に、暗い影を広げています。

9月は「欧米売り、日本買い」の流れに

 9月まで、米国に世界の投資マネーが集中していました。ところが、9月に入ってから、米国および欧州株を売って、アジア株、なかでも日本株を買い戻す動きが出ていると考えられます。

 9月に入り、まず、米国ナスダック総合指数が、急落しました。9月までの上昇ピッチが速すぎたことから、利益確定売りが集中しました。続いて、先週は、ドイツのDAX指数など、欧州株が売られました。欧州での感染再拡大が嫌気されました。ところが、9月の日経平均は、売られそうになっても、買い戻され、堅調に推移しています。

日経平均・独DAX指数・NYダウ・米ナスダック総合指数の動き比較:2020年9月1日~9月25日

注:9月1日の値を100として指数化

欧米株が売られても日本株が堅調な4つの理由

 これまで、米国株ロング(買い)・日本株ショート(売り)のポジションを積み上げてきた投機筋(主に外国人投資家)が、欧米株を売る中で、日本株を買い戻していると考えられます。
 以下4点が、日本株買い戻しに寄与していると考えています。

【1】    欧米の感染再拡大が深刻になる中、日本は感染を相対的に低く抑えていること
【2】    菅内閣による構造改革(規制緩和)、スガノミクス推進への期待
【3】    米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が日本の商社株への投資を発表。日本株見直しのきっかけに。
【4】    米FRBが低金利長期化を示唆したにもかかわらず、円高があまり進んでいないこと。

 9月16日に米国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)結果が発表され、ゼロ金利を長期継続する方針が示されたことを受け、ドル安(円高)が進み、一時1ドル104.00円をつけました。ただし、その後、円安に戻り、9月26日には1ドル105円台の半ばで推移しています。

ドル円為替レート推移:2020年1月2日~9月25日

 ドルは、為替市場で安全資産とみなされるようになっており、世界の政治経済に不安が残る中、ドルへの需要は根強く続いています。

 スガノミクスへの期待が、日本株が売られない理由ともなっています。スガノミクスは、アベノミクス継承を旗印としていますが、明らかに力点は異なります。デジタル庁創設構想に見られる通り、デジタライゼーション推進のための構造改革に全力をあげる姿勢がはっきりしてきています。

 スガノミクスの元で、遅れていた日本のDX(デジタライゼーション)が進む期待が高まり、東証マザーズ市場で、関連株を物色する流れが強まっています。

東証マザーズ・日経平均・独DAX指数・NYダウ・米ナスダック総合指数の動き比較:2020年9月1日~9月25日

注:9月1日の値を100として指数化

今週の日本株は、「押し目買い」方針。円高や米国株安を嫌気して下げる局面を待つ

 日本株は割安で、長期的に買い場との判断を継続します。これまでも、これからも短期的に急落・急騰を繰り返しながら、長期的に上昇していくと考えています。

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