連休中のNYダウ、株価水準を切り下げ
先週末9月18日(金)の日経平均終値は2万3,360円でした。週足ベースでは3週ぶりの下落に転じたものの、前週末終値(2万3,406円)からは46円安と小幅にとどまっており、堅調さは一応維持された格好です。
連休明けとなる今週の国内株市場はわずか3営業日になりますが、連休中の米国株市場では株価が大きく下落する場面があり、軟調なスタートが想定されます。そこで、今回は連休中の米国株市場の状況から確認していきます。
■(図1)米NYダウ(日足)とMACD(2020年9月22日取引終了時点)
NYダウ平均株価は25日移動平均線を上抜けできず、75日移動平均線の攻防ラインまで株価水準を切り下げています。株価がこの75日移動平均線のところに位置するのは5月中旬以来です。当時は上値の抵抗となり、上抜けたことで一段高となりましたが、今回はサポートとして意識されています。
また、下段のMACDでトレンドの向きについても見ていくと、9月あたまにMACDがシグナルを下抜け、足元では短期的な下落トレンド中であることが分かります。この連休中ではさらに0ドルラインも下回る場面も見せており、さらなる下落も警戒されます。ただ、5月以降のNYダウは0ドルライン付近で下げ止まることが多く、まだ踏みとどまっているようにも感じられます。
そのため、NYダウについては、株価が75日移動平均線水準から反発できるかが目先の焦点になります。MACDの線が上向くことや、直近高値を結んだラインも上抜けられるかも反発の目安として意識されそうです。
そこから先については、引き続き、上値が2月21~24日に空けた窓、下値が6月あたまの「アイランド・リバーサル」による窓空けの部分がそれぞれ抵抗帯として存在しており、抜けきった方向へ勢いが出そうな状況に変わりはなさそうです。
NASDAQの動きと注意点
また、NASDAQもNYダウと同様に、75日移動平均線の攻防となっています。
■(図2)米NASDAQ(日足)とMACD(2020年9月22日取引終了時点)
米国株下落の引き金を引いたのは、欧州各地で新型コロナウイルスの感染者が再び増加傾向となり、都市封鎖といった経済活動制限の可能性が高まってきたことをはじめ、複数の大手金融機関が巨額のマネーロンダリングに利用されていた疑いが報じられたことや、米追加経済対策の成立が遅れることを警戒する動き、そして米中対立の先行き不透明感などが重なった格好です。
冷静に見れば、マネーロンダリング疑惑報道以外の材料は特に目新しいものはありません。もちろん、マネーロンダリング疑惑については一大スキャンダルとなる展開は否定できないものの、2016年に公開された、いわゆる「パナマ文書」の時のように、相場の下げ材料としての賞味期限が短くなることも考えられ、今のところは株価を動かす材料になっても、中長期的に株価を決める材料になっているとは言えない状況です。
そのため、連休中の米国株安が比較的早期に落ち着いてくる可能性は高いと思われますが、前回のレポートでも懸念していた、NASDAQ(週足)のMACDがシグナルを下抜けしそうな状況は続いているため、注意が必要です。
■(図3)米NASDAQの平均足(週足)とMACD(2020年9月22日取引終了時点)
今週の日経平均はどうなる?
続いて、本題の日経平均について見ていきます。
■(図4)日経平均(日足)とMACD(2020年9月18日取引終了時点)
先週の日経平均は週初の14日(月)に一段高でスタートしました。この日は自民党総裁選が行われ、菅新首相の誕生を確認できたことで、いわば「ご祝儀相場」のようなムードの中、9月3日の直近高値を超える動きとなりました。
その後は値を伸ばせず、むしろ、ジリジリと上値が重たくなる展開のまま週末を迎えることとなり、結局、「上昇しては失速」という最近の値動きのパターンが繰り返された格好です。その一方で、25日移動平均線上をキープできたことや、ローソク足についても、先週の5営業日のうち、4営業日が陽線となっており、底堅さも見せています。
底堅さといえば、前回も紹介した、2回目の「上昇ウェッジ」の下値の線がサポートとして機能しているようにも見えます。とはいえ、ウェッジの形がさらに煮詰まりつつある中、先ほどの米株市場の動きを踏まえると、今週は残念ながら下抜けとなってしまいそうです。
ただし、米国株と同様、日経平均も75日移動平均線水準で踏みとどまることができれば、押し目買いが意識されやすい状況にあると考えられます。つまり、上値ラインを同じとする3回目の上昇ウェッジが新たに形成されるイメージです。22日(火)のシカゴ日経平均先物は2万2,885円で取引を終えていますが、9月の配当金権利の関係で先物取引よりも現物取引の価格の方が高くなっており、実際のところは、2万3,000円台乗せで今週の取引がスタートしそうです。
なお、75日移動平均線から少し間隔を空けて200日移動平均線が控えています。過去2回の上昇ウェッジのスタート地点はともに200日移動平均割れのところにありますが、仮に足元の株価がここまで調整した場合は再び上昇ウェッジを形成することができるかというと、そこは微妙かもしれません。
押し目買いの好機と言えるが、大きな利益を狙うのは難しい?
■(図5)日経平均(日足)とギャン・アングル(2020年9月18日取引終了時点)
3月19日を起点とするギャン・アングルと重ね合わせてみると、足元で200日移動平均線を割り込んでしまった場合、3×1ラインよりも下に位置することになります。トレンドの傾きが緩やかになるため、上昇ウェッジの上値ラインまで株価を戻すには、強力な買い材料と相場の強さが求められます。
となると、足元の株価下落は押し目買いの好機と考えることができますが、思っているよりも株価が下がらない可能性がある他、図3下段のMACDの線の向きが右肩下がりとなっていること、そして、「上昇しては失速」という値動きのパターンが繰り返される中では、結果的に株価水準が切り上がっても、トレンドに乗って大きな利益を狙うのは意外と難しいのかもしれません。
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