先週の日経平均は、菅氏優勢で上昇も、米ナスダック急落を受けて反落

 先週の日経平均株価は、1週間で322円上昇し、2万3,205円となりました。9月3日には一時2万3,580円まで上昇し、コロナ・ショック後の戻り高値を更新。自民党総裁選で、アベノミクス継承を前面に打ち出している菅義偉官房長官が優勢となり、異次元金融緩和など、アベノミクスで打ち出してきた基本政策が継承される見通しとなったことが好感されました。また、9月2日まで、米国株の高値更新が続いていたことが安心材料となっていました。

日経平均日足:2020年2月3日~9月4日

 ところが、週末にかけて波乱が待っていました。9月3日に、急騰が続いてきた米ナスダック総合指数が前日比▲4.96%の急落、NYダウも同▲2.77%の下落となりました。とりたてて悪材料が出たわけではありませんが、ナスダック上場のアップル・テスラなどのハイテク株が急落しました。最近の株価上昇ピッチが速すぎたことに対する警戒感から利益確定売りが集中しました。

 これを受けて、9月4日の日経平均は、前日比▲260円の2万3,205円と反落しました。米国株が崩れた割には、下げが小さく済みました。9月4日のナスダック・NYダウとも小幅の下げにとどまり、3日の急落ショックはいったん収まったかのように見えます。何か落とし穴はないでしょうか?

ナスダック総合指数・NYダウ・上海総合指数・日経平均の動き比較:2019年末~2020年9月4日

注:2019年末の値を100として指数化

上昇ピッチが速すぎたナスダック・ハイテク株。目先はスピード調整か

 GAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル・マイクロソフト)と言われるナスダック上場の大型ハイテク株に、世界中の投資資金が集中していました。時価総額2兆ドル(約212兆円)を超えたアップル株が、あたかも小型株のように軽く急騰していたのは、ややスピードが速過ぎたと考えられます。

米アップル株価:2019年12月31日~2020年9月4日

注:アップルは2020年8月31日に1対4の株式分割を実施。これで、見かけ上の株価はそれまでの4分の1に低下。上記の株価チャートでは、分割を考慮して過去の株価を修正済

 これで、スピード調整は済んだとは、とても考えられません。ナスダック上場の主力ハイテク株はしばらく、スピード調整が続くと考えられます。

「菅義偉・総裁」を織り込む株式市場

 安倍首相の後任を決める自民党総裁選では、自民党の主力派閥がそろって支持を表明した菅義偉幹事長が、圧倒的優位に立っています。総裁選の投票が実施されるのは、9月14日(月)ですが、株式市場では、早くも「菅内閣」成立を見込んだ動きが出ています。

 先週の日本株市場では、菅氏の発言が影響を及ぼし始めています。

【1】ケータイ電話各社が売られる
菅氏が総裁選への出馬会見で、携帯電話の料金引き下げに意欲を示したため、先週は改めてケータイ3社(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク)が売られました。

【2】規模の小さい地方銀行株が急騰
 菅氏が2日の出馬会見で「地方の銀行について、将来的には数が多すぎるのではないか」と語ったことで、3日の株式市場で、業界再編の思惑が広がり、栃木銀行(8550)福島銀行(8562)筑波銀行(8338)など規模の小さい地方銀行株が軒並み急騰しました。菅氏は3日の会見では、「再編も1つの選択肢になる」と踏み込んだことから、3日に続き4日も、地方銀行株が急騰しました。

日本株の投資戦略

 米ナスダックの調整が続く可能性があることから、目先、警戒スタンスが必要と思います。ナスダックに連動して上昇が加速してきた東証マザーズ成長株には、しばらく利益確定売りが出やすくなると考えられます。

 米ナスダックに変調の兆しがありますので、目先は警戒スタンスを強めた方が良いと思います。もし、日本株をたくさんお持ちでしたら、少し利益確定してみるのも選択肢と思います。
ただし、日本株は割安で、長期的に買い場との判断は維持します。これまでも、これからも短期的に急落・急騰を繰り返しながら、長期的に上昇していくと考えています。

 日本株の保有が少ない方は、売りは控えて、下がったところで押し目買いを狙う方が良いと思います。来年には、新型コロナ・ワクチンの大量供給が実現し、経済が正常化するとのメインシナリオは変わりませんので、株の保有をあまり少なくするべきではないと思います。

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