お金を増やすのに「投資をした方がいい」とわかっていても、失敗して損することだけは避けたい。切実な女性たちの悩みと願いを、節約のカリスマ たんぽぽの白鳥久美子さんが実践により解決してくれるという本企画。 4回目となる今回は、いよいよiDeCoの商品選びへと突入です。前回に引き続き、楽天証券経済研究所の篠田先生から選びかたのコツを教えてもらい、白鳥さんがインスピレーションで選んでいきます。白鳥さんの野生のカンに、篠田さんもびっくり! 果たして白鳥さんが選んだ商品は?! ぜひ参考にしてみてください!
※この取材は、テレビ会議を使ったソーシャルディスタンス取材で実施されました。
【復習】投資信託選びはレストラン選びに例えると分かりやすい
篠田:前回は、「個人型確定拠出年金ガイド IMAKARA」の解説だけではちょっと分からないなぁ、という白鳥さんに、商品の違いや用語の説明などをしていきました。
白鳥:レストランに例えてもらったのですごい分かりやすかったです!
「株」「債券」「不動産」が野菜や肉といった素材で、それをうまく調理して提供してくれるシェフのような存在がファンドマネージャーという投資のプロ、ということでしたよね。
篠田:さすが、よく覚えていますね。
白鳥:高級レストランは付加価値が高いように、独自の運用をしている商品は管理費用がやや高くて、チェーン店のような「インデックスファンド」では管理費用が比較的低い、ということも分かりました。
篠田:「バランス型」や「ターゲットイヤー」についてはどうでしたか?
白鳥:どちらもシェフのおまかせコースのようなもので、これ1本でも完結できるようにバランス良く資産を運用してくれ、なおかつターゲットイヤーでは、ゴールとなる年にきちんと利益が得られるように運用を頑張ってくれる商品、ということですよね。
篠田:そのとおりです!
じゃあもうあとは選べますね!
白鳥:いやちょっと待ってください。組み合わせ方も教えてもらいたいですぅ~。
篠田:では、どのような商品を組み合わせるのが効率的かということを解説していきますね。
白鳥:はい!オナシャス!
【1時限目】30代ならあと20年以上あることを考えて!
篠田:前回のマネ活投資塾での解説前に、白鳥さんが考えたiDeCoでの投資プランを教えてもらっていいですか?
白鳥:株などの投資ってワクワク感があるし、夢があるから憧れちゃうんですけど、失敗したときのことを考えると怖い。だから、最初は、絶対に目減りしない「元本確保型」一本でいこうかなぁと思っていたんですよね。
でも、聞いてみたら、元本確保型は銀行の定期預金と同じでほとんど増えないばかりか、物価が上がれば相対的に目減りしてしまうこともありえるし、元本変動型と組み合わせられるって言うじゃないですか。定期預金もいいけど、ちょっと頑張って投資してお金を動かすようにしたほうがいいのかなーって考えるようになりました。
篠田:意識が変わってきたんですね。
白鳥:ただ、今回、コロナ騒動で随分株価が下がったりして、友人なんかも「今、投資して大丈夫!?」と心配するんですよね。
篠田:そうですねぇ。確かに、リーマン・ショックや東日本大震災、今回のコロナ・ショックなど、何かあると価格がガクッと下がってしまうのが投資の怖いところではあります。でも、このグラフを見ていただけますか。
一時的にガタガタと上がり下がりはありますが、全体的に見てどうでしょう。
白鳥:あれ、緩やかに上昇傾向にありますね。
篠田:そうなんです。短期的には「上がった!」「下がった!」と一喜一憂してしまいがちですが、長い目で見ればきちんとなだらかに上昇していることがお分かりいただけると思います。投資信託で長期投資が重要なのは、こうした理由からなんです。特に、白鳥さんの場合、iDeCoで貯めた資金を受け取るまでまだ30年前後も時間がありますよね。そう考えると、なだらかに上がっていくだろうと期待できる商品を探してみてはどうでしょうか?
白鳥:なるほど~。焦ることなくどっしりと構えて、商品を持ち続けていくことが大切なんですね。
篠田:人生が山あり谷ありなのと同じですね。
白鳥:ずっと上がり調子、ということはないですものね~。そっか、株も人生も一緒か~。感慨深いなぁ。
【2時限目】リスクを取りつつ堅実さも考える? バランスよく組み合わせてみよう
白鳥:細かく見ていくと、国内や海外のほかに、先進国や新興国なんていうのもありますね。
篠田:新興国というのは、中国やインドなどこれから経済的に成長していく可能性のある国の株式です。先進国というのは、日本、アメリカ、ヨーロッパの各国など、すでに経済が成熟している国のことですね。1つ1つの国に投資するタイプもあれば、「新興国」「先進国」のように地域ごとまるっと投資できるタイプの投資信託もあります。
例えば、米国株の組入率が高い、先進国株式の投資信託を購入すれば、おなじみのAppleやAmazon、Googleといった世界的な大企業への投資を間接的に行うこともできます。
白鳥:えっ! GAFA(米国のグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの4社の頭文字を取った、ITインフラを提供する米国の巨大事業者の通称)に投資できちゃうってことですか。なんか嬉しいじゃないですか、「あたし、GAFA回しちゃってます」みたいな(笑)。回したいですねぇ~。そうか~。「先進国株式」か~。
篠田:ただし、海外株式を取り扱っている商品を選ぶときは、その企業の業績以外に、為替変動というリスクを考慮することが重要です。1ドル=××円、とか、外国為替相場がいくら、などというニュースが流れていますよね? 今は1米ドルに対して106円や107円で推移していますが、これが100円や90円、といった具合に円高に振れてしまうと、GAFAの株そのものが上がっても、結果的に損をしてしまう可能があります。これを為替差損といいます。
逆に、円安に振れれば、為替差益といって、利益を得られる可能性もあります。
白鳥:うわぁ、そこまで考えるのって大変ですよね。
篠田:国内外の株式や債券を複数組み入れている運用するバランス型の中には、為替変動のリスクも含めてコントロールしてくれるものがありますよ。
白鳥:それは安心ですね。「ほかがあんまりよくなくても、バランス型を1つ買ってあるから一応安心だ」みたいな。
篠田:そうですそうです。株式だけに投資をするタイプは、年間で3割4割など大きく上がることもありますが、同じだけ下がってしまう可能性もあります。バランス型の中には、例えば年間4%程度のリスク/リターンを目指して安定的に運用するような商品もあります。童話「ウサギとカメ」で例えるなら、前者は「ウサギ」で、後者は「カメ」タイプといったところでしょうか。「カメ」の方の商品は、歩みは遅くても着実に増やしていきたいという方におすすめです。
白鳥:リスクを取りつつ、堅実さも押さえておく、ということですね。精神安定剤的にも、それは組み込みたいところですね~。
成長株というキーワード、なんだかすごく魅力なんですけど!
国内株式のページを見ていて、「MHAM日本成長株ファンド<DC年金>」の「成長株」という単語が気になりました。
篠田:この商品は、ある程度成熟していて誰もが知っているような大企業というよりは、まだ新しい若い企業も含め、今後の成長余地がある有望な企業を調査して組み入れる点が特徴です。
白鳥:期待の若手の後輩にご飯をおごってあげる、みたいな感じでしょうか。
篠田:良い例えですね!白鳥さんご自身は、先輩方から助けてもらった経験がおありですか?
白鳥:先輩方にほぼ生活を頼っていました(笑)。だから、今度は私が若手を助けたいと思っているんですよ。
そっか~。「MHAM日本成長株ファンド<DC年金>」のような投資信託を選んだら、若手企業を助けていることになるのかぁ。
篠田:会社というのは、成長していくにつれ、従業員を増やしたり、設備投資をしたりと、お金が必要になります。それをどこから調達するかというと、銀行からの借り入れもありますが、株式市場で調達するという方法もあるんです。白鳥さんのような人が、iDeCoを通じてこうした企業の株式を組み入れた投資信託を保有すれば、投資したお金の一部がその企業を助けることになります。
白鳥:ということは、一種の社会貢献ですよね。芸人は、社会貢献というものから遠い職業だと感じているので、私の選ぶ商品によって社会貢献できるかもしれない、というのは、社会人になった感じがして嬉しいですねぇ。
ちなみに、投資先の若手企業って、若い企業を適当に選んでいるわけじゃないですよね? 若手にも頑張ってるヤツとそうじゃないヤツがいるんで、そこは心配だな(笑)。
篠田:もちろんです。まさに、前回お話したような「シェフ」が、素材をしっかりと見極めています。
篠田:ファンドの管理費用率が高いもの、低いものがありますが、これは、ファンドマネージャーが、業績や業務内容を分析したり、実際に企業を訪問したりして、成長しそうかどうか、日々研究を重ねてチェックしているからなんですよ。
白鳥:ということは、優良な若手に力を貸せる、ということですね。自分では調べきれないので、プロがきっちり調べて選んでくれる、というのはかなり安心ですね。こういう仕事をしている人たちは、パソコンの前に座って、カチカチとしているだけなのかと思っていましたが、ちゃんと足を運んでくれているんですねー。
篠田:そう。ファンドマネージャーって、意外と泥臭い仕事なんですよ(笑)。
白鳥:その、管理費用ですが、1~2%などだいぶ高いものもありますが、これは気にしたほうがいいんでしょうか。
篠田:鋭いですねぇ。たしかにコストは重要ですが、ファンドマネージャーの労力に対して支払いたいと納得できるか、というところがポイントとなってきます。
白鳥:なるほど、高いと思うか、低いと思うかは私次第ということですね。
篠田:後は組み合わせですね。チェーン店のようなインデックスファンド型であれば管理費用を抑えられますから、全体で納得がいくように組み合わせてみてはいいのではないでしょうか。
白鳥:1つ1つではなく、全体を見たときに自分が納得できるか、ということですね。
篠田:そして成果を出せているかどうか。「これだ」と思うものに掛金を割り振る前に、商品の値動きを、サイト内のチャートなどでしっかり確認していただくのがいいと思います。
白鳥:依頼料をケチってうまくいかないより、ちゃんとした人に運用をお願いして結果を出せたほうがいいですものね。分かりました。やってみます!
【3時限目】白鳥さん、ついにiDeCo商品を選ぶ!
白鳥:ああは言ったけど、どうしようかなぁ。先生が教えてくれたのは、
●元本確保型商品の定期預金は銀行に預けるのと同じイメージで堅実だけどリターンは見込めない
●元本確保型と元本変動型の投資信託は自由に組み合わせられる
●海外の先進国株式なら、憧れの「GAFA」に間接的に投資できる
●海外投資をする場合は為替変動のリスクを考える必要がある
●バランス型の商品の中には「カメ」タイプで堅実に増やしていけて為替変動のリスクも調整してくれるものがある
●タイプの異なる商品を組み合わせるとリスク分散できる
●商品はいつでも変更できる
●成長株への投資は、プロがしっかり見極めてくれている
っていうことだったかな。
うーん、この画面で止まっていたんだよなぁ。
どんな商品を選んだらいいのかは教えてもらったので、「自分で一から商品を選びたい方はこちら」をクリックしよう。
お? 商品一覧が出てきた。
……分かる、分かるぞ~! やさしく教えてもらったおかげで、読めるようになってる!
私は米どころの出身だから、「たわら」って商品名に入っているのが気になるんだよなぁ。米俵のことかなぁ。先生は、「商品名のインスピレーションで選ぶのもあり」みたいなこと言っていたよなぁ。やっぱり「たわら」は外せないなぁ。
先進国の株式でGAFAを回せるのは「たわらノーロード先進国株式」かぁ。リスクを取れば、リターンも見込めるっていうことだったので、これに40%くらい配分しようかなぁ。あ、でもその前にどのくらい価格変動があるのか、運用成績を確認してみよう。
コロナ・ショックで一時的に下がったみたいだけど、開始当初から比べれば約33%も上がっているのか。うん、問題なさそう。
リスクを取ったから、次は堅実なものだなぁ。「バランス型」「バランス型」っと……。「投資のソムリエ」っていうのが気になっていたんだよね。先生が「レストラン」とか「シェフ」とか例えるから、レストラン的な感じで。
堅実だという話だったけど、コロナ・ショックがあっても5年間で約15%増かぁ。折れ線グラフも全体的になだらかに上がっていっているし、本当に安定しているんだなぁ。
よし、じゃあこれも入れておこう。あと60%残っているんだけど、配分をどうしようか。「たわら」の残りをぜんぶ「ソムリエ」にしちゃう? いやいや、精神安定剤的な役割を果たしてくれるからリスクと同じ分の40%にしておこう。
さて、最後は若手を助けるぞぉ~!
さっき先生と一緒に見た「MHAM日本成長株ファンド」がやっぱり気になるなぁ。「POINT」のところの「株式を独自の62業種に分類&調査」ってあるし。「入念な」っていう言葉から、シェフが素材をしっかり吟味してくれている様子が思い浮かぶしなぁ。とはいえ、運用成績を見てみよう。
落ち込むこともあるけど、今は元気ですっていう感じだなぁ。むしろ、若手の浮き沈みを傍から応援しているみたいで、やっぱりワクワクする。
よし、残りをこれに突っ込もう。
これで100%になったのか! あとは「設定画面へ」をクリックして……。
あれ、何か出てきた。そうか、iDeCoが受理されてから今日までだいぶ時間があったから、その間にiDeCoの口座に積み立てていたお金も、何に投資するのか選んでくれ、っていうことなんだな。これも、さっき選んだのと同じ割合で購入しておこう。
ポチポチっとね。いやぁ、こんなに簡単にできるのかぁ。「未指図資金」とかいう単語が難解だけど、要は「これだけの資金が貯まっているのに、どれを買うか指図されていませんよ」ってことだもんな。ちょっと教えてもらっただけで、教えてもらったこと以外にもいろいろ想像がつくようになってきたぞ!
……と、これであとは自動的に自分が毎月積み立てている2万円を設定した割合で商品購入に割り当てられるのかぁ。感慨深いなぁ。あとで先生に報告しなくっちゃ。
まさかの全部同じ運用会社!
白鳥:先生! 商品選べましたよ!
篠田:結局、どれにしたんですか?
白鳥:「MHAM日本成長株ファンド」「たわらノーロード先進国株式」「投資のソムリエ」です!
篠田:気になるっておっしゃっていた商品でしたねー。白鳥さん、お気づきですか? 実は、白鳥さんが選んだ3つとも、みんな同じ運用会社が組成して運用している商品なんですよ。
白鳥:えっ? あ、本当だ! ほぼ、名前だけでジャケ買いしたようなものなのに、何かピピッときたんですかね。こういう選び方、だめですか?
篠田:いいえ、そんなことありません。このネーミングに惹かれた、ということは白鳥さんの感性に合っている、ということだと思うんです。大切なお金を預けるわけですから、フィーリングがマッチしていて信用できるところのほうがいいですよね。
白鳥:あぁ、安心しました。
篠田:あとは、「長い目で見るのが大切」とお伝えしたように、あまりひんぱんに値動きをチェックしないこと。基準価額を確かめるのは1年に1度くらいと決めて、一喜一憂しないようにしましょうね。
白鳥:分かりました! 毎年の誕生日に見る! とか決めておきたいと思います。ありがとうございました!
【ホームルーム】マネ活投資塾 本日の振り返り
白鳥:ずっと初心者マークが表示されている画面で止まっていたのが、用語や選び方、画面の見方、チェックポイントを教えてもらっただけで、スルスルと次へ次へと進めるようになりました。
老後までの間にお金が増えるかもしれない、という楽しみも、社会貢献しているという満足感も得られて、iDeCoやって本当に良かったです! それにしても、選ぶと決めたら早かったなぁ。
篠田:お伝えしたことをしっかり噛み砕いてご自身のものとされる白鳥さんの理解力には脱帽です。選ばれた商品は、リスクを取りつつ、しっかり堅実なものもおさえ、あとはご自分の気になったものも組み込めていましたね。何より、ご自分でしっかりと吟味しつつ、納得されていたというのが大きかったと思います。これからが楽しみですね。
篠田 尚子さん
楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
慶應義塾大学法学部卒業、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。国内銀行で資産運用関連業務に従事後、ロイター傘下の投信評価機関リッパーで市場分析担当、ファンドアナリストとして活躍。2013年より現職。
たんぽぽ・白鳥さんのiDeCoデビューを最初から読む!
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