優待銘柄の探し方

「優待銘柄を買おう」と思っても、約1,500銘柄の国内優待市場の中からどのように優待銘柄を探せばよいのでしょうか。

 まずは、とりあえず気になっている企業や使いやすい優待品の銘柄をいくつかピックアップするところからはじめます。

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チャートを見てみよう

 次に、株価の動きを確認します。株価の動きを見るチャートは、この先の株の動きがある程度予想できます。人気の優待銘柄が権利落ちでドッと下落していたり、ポジティブなニュースが出た翌日は一気に上がったり。今は「コロナ禍」ですので、3月の底からの株価の動きをチェック。2つのチャートの形に注目です。

日経平均株価とほぼ同じような形(3月の底から上昇に転じ、以前の株価水準に戻っている)】
 この形の銘柄は、コロナ禍がなかったかのような強さの会社。afterコロナでも継続的に業績が安定しそうな会社が多いのではないでしょうか。例えば、ドラッグストアや主に食料品を扱うスーパーなど、生活必需品を扱っている小売り銘柄。優待はないですが、ゲームなどの巣ごもり銘柄も上昇しています。

【3月の底からなかなか浮上しない形】
 この形の銘柄は、新型コロナによるダメージが大きく業績に影響を与えていると考えられる会社。例えば、居酒屋主体の外食銘柄や交通、レジャー関連などです。

 大きく下がっているので、とても魅力的に感じますが、いつ業績が回復するかも不透明、また、株価が低空飛行を続けていると減配や無配、優待改悪の心配もあります。

 難しい判断ですが、この際長く保有する気持ちで憧れの銘柄を購入しても良いかもしれません。

 旅行や映画銘柄など、今はダメでもこの状況が永遠に続くとは考えられませんから、先行投資と思って買ってみるのも手かもしれません。

優待内容を見てみよう

 そのあとは、優待内容を確認しましょう。でも、おトクな優待で決めるのは、要注意。株主優待投資での一番のリスクは優待廃止です。優待廃止にならないような銘柄を探すコツをお伝えします。

 業績が落ち込み、株価も低迷している多くの外食銘柄ですが、自社運営店舗に少しでも足を運んでもらいたい、優待を使っても自社の味を楽しんでほしいと思っている企業は多いはず。

 店舗の業態も今までお酒メインの夜営業のみのお店が、ランチを開始したり、デリバリーやテイクアウトを始めたりと、コロナ禍でより使いやすくなっていると思います。少しでも来客を増やしたい外食銘柄は優待廃止のリスクは少ないのではと見ています。

 また、優待内容が自社製品の詰め合わせなども廃止リスクが少ないと思います。そもそも自社製品を優待にしている会社は、それ自体が「販売促進活動」でもあり、売れ筋や新製品が入っていることで、実際の店舗で購入してくれる可能性は高まります。そもそもファン株主であるなら、持ち株の会社を応援するためにライバル会社の商品は買いませんよね。

注意すべき優待内容

 今年4~8月までに優待の改悪、中止、廃止を発表した会社を見ると、やはりクオカードやお米券などの金券類や、プレミアム優待倶楽部などの自社で行っていないサービスの廃止や改悪が目立ちました。

 プレミアム優待倶楽部は企業にとって、実際の優待費用と共に、運営している会社にも手数料を支払わなくてはならず、コストもかかります。金券類は廃止をすればその分コストカットになり、財務強化の一助となります。優待廃止の企業を予測するのは難しいですが、財務を見るのも大切な指針となります。

長期優待はどうする

 優待投資での悩ましい問題の一つに「長期保有」があります。長期保有とは、半年、1年と保有し続けないと優待をもらえない、2年、3年以上長期保有すると優待内容がランクアップするなどです。

 保有の縛りを付けることは、会社としても安定的に株を保有してほしいための施策で、クロス取引や1泊株主(優待を手に入れてすぐ株を売る投資家)への対抗手段だと思います。

 コロナ禍での株価下落で、この縛りに振り回された方も多いのでは。損切したいけど売れない、利益が出たので違う株を買いたいけど売れないなど。その株を持ち続けるかどうかの判断は、人それぞれですが、その優待が好きならば継続保有し、インカムゲインをもらい続け、いつかは「恩株」に育てる。

 基本優待投資は長期保有が原則ですが、企業の縛りに左右され、身動きが取れなくなってしまうことになりかねません。この優待は十分楽しんだ、使い勝手が悪くなった、何か理由があるならば、長期保有に縛られることなく、新たな出会いを求めてその銘柄を卒業しても良いですね。

優待の使い方

 届いた優待、皆さんはどのように使っていますか? 非常事態宣言も出され、営業自粛や外出自粛、非常事態宣言が解除されても、毎日報道される感染者数を見ると、外に出て外食を楽しんだり、映画を楽しんだりする気分にならない方も多いと思います。また、お仕事もリモートワークになり、そもそも外出する機会がなくなってしまった方もいるのではないでしょうか。

 私が今回のコロナ禍で一番辛かったのは、株価下落でも優待改悪でもなく、優待が使えなかったこと。株主優待を使うことが目的で株投資をしているのに、それが使えないもどかしさ。ほとんどの企業は有効期限を延長して対応してくださいましたが、延長なしの企業もありました。もらった優待をどのように使うのか、使いこなせるのか、出口戦略はとても大切で、今回は特にそう感じました。

 外食銘柄は業態を一時的に変更し、ランチやテイクアウトで使えるようになったり、今まで都心部の店舗を利用していましたが、自宅近くのお店に行ったりと、優待の消費行動も少し変わってきました。残念だったのは、映画やカラオケなどのレジャー優待。優待の使い道がそれだけなので、代わりが利かず、「密」な空間なので、行くのもちゅうちょしてしまいましたね。「お友達を誘って」もできなくなり、優待の使い方を考える良い機会にもなりました。

優待IRの確認方法

 優待変更や企業のIR情報の確認方法を最後にお伝えします。いちばん早く正確なのはJPXの「適時開示情報閲覧サービス」です。多くの会社が取引終了後の15時以降に情報開示をするので、夕方や寝る前に見るようにすると良いと思います。決算期などは開示情報が数千件になる場合もありますが、開示情報検索ページで「優待」や「配当」など検索したいワードを入れると欲しい情報だけ上がってきますのでとても便利。

 決算短信など、初めは「どこを見れば良いの?」と分かりませんが、何度も見ているうちにだんだんと慣れてきます。少しずつでもこんなサイトを使いながら、金融リテラシーの知識を蓄えておくと、投資にも役立ちます。

 コロナ禍で優待銘柄の選び方、使い方も大きく変わりました。世の中がガラリと変わってしまったならば、優待投資もそれに合わせて変化を楽しみ、より充実した優待ライフが送れるようにしていきたいですね。

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