外国人は今年、一貫して日本株を売り越し
日経平均は、コロナ・ショックの暴落、その後の急反発を経て、6月以降は強弱材料がきっこうし、膠着(こうちゃく)しつつあります。
日経平均日足:2020年1月4日~8月12日
コロナ・ショックの急落局面も、その後の急反発局面も、6月以降の膠着局面も、外国人は一貫して日本株を売り越しています。外国人の売りを吸収しているのは、日本銀行によるETF(上場投資信託)買いです。
外国人投資家の日本株売り越し額と、日本銀行による日本株ETF買い付け額:2020年1月~7月
外国人投資家は、1~7月に日本株を4兆6,035億円も売り越しています。それを、日本銀行による日本株ETFの買い付け5兆854億円によって吸収している形です。
外国人は、株式現物だけでなく、日経平均先物も売り越し
外国人投資家が売ったのは、株式現物だけではありません。1~5月は日経平均先物も売り越しでした。ただし、6月以降、日経平均先物は、買い越しになっています。
外国人投資家による日本株現物・日経平均先物の売買動向(売買差額):2020年1月~7月
外国人投資家は、1~7月に日経平均先物を1兆308億円売り越しています。株式現物と日経平均先物の売り越しを合計すると、1~7月に5兆9,630億円売り越したことになります。
外国人投資家は、いつ買い越しに転じるか?
外国人投資家から見て、日本株は「世界景気敏感株」です。製造業・輸出産業の比率が高いからです。中国および米国の景気が回復し、世界景気が回復に向かう見通しが出れば、外国人は日本株の保有も増やした方が良いと思うでしょう。今後の、中国・米国の景気指標次第ということになります。
2020年4-6月まで、世界景気は戦後最悪の落ち込みでした。ところが、7月以降は、少しずつ回復に向かっています。4-6月が、景気の「最悪期」だった可能性もあります。外国人投資家が、日経平均先物を6月以降、買い越しているのは、世界景気が最悪期を過ぎつつあるとの見方があることに、反応しているものと考えられます。
今後、鈍いながらも、世界景気の回復が続くか、あるいはコロナ感染の二次拡大で、世界経済がもう一度落ち込むか、注目されます。世界景気次第で、外国人が日本株を買い越しに転じるか否かが決まると思います。
私は、来年にはコロナ克服が見えてくることから、世界景気は回復に向かうと予想しています。ただし、その前に、まだ感染拡大の不安で、株価が乱高下する可能性は残っています。リスクを適切に管理しつつ、少しずつ時間分散しながら、日本株を買い増ししていくことが、中長期の資産形成に寄与すると考えています。
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