定期支出として、当たり前のように払っている保険料。しかし保険料を節約できる裏ワザがあります。少しの節約も塵も積もれば大きな支出。少しの面倒くさいを超えて、保険料も節約していきましょう!

◆お話を伺った人
ファイナンシャルプランナー:小沢 雅人(おかねの相談室 嶋田商事株式会社)

Money Hack 1 クレカ払に変更しよう

保険料でもポイントを手に入れよう 難易度★☆☆

 毎月の生命保険料を払い込む方法は主に4つ。銀行口座から自動的に保険料を振替える「口座振替扱い」、保険会社から送られてくる払込用紙を使って、金融機関の窓口やコンビニなどで払い込む「振込扱い」、クレジットカードで払い込む「クレジットカード扱い」、それに、勤務先の会社経由で加入した団体保険に適用される「団体扱い(給与引去)」があります。
※団体扱いについては後編のMoney Hack3を確認>>

 おすすめの払い込み方法は、クレジットカードによる払い込み。クレジットカード会社のポイントがつくからです。例えば100円で1ポイントがたまる還元率1%のクレジットカードを使って毎月1万円の保険料を支払うと、月100ポイント、1年では1,200ポイントもたまります。

 ただし、全ての保険会社がクレジットカード払いに対応しているわけではありません。初回のみクレジットカード払いに対応というところもあります。

 さらに、クレジットカードで支払える保険料には上限が定められていることがあります。1回分の保険料が月払は5万円以下、年払い、半年払いは10万円以下である場合など保険会社ごとに規定が違うので、保険会社のウェブサイトで確認してください。

Money Hack 2 年払への変更

まとめ払いで割引があるか確認 難易度★★☆

 生命保険料は月払よりも、半年払、年払という「まとめ払い」を選ぶとお得(割引)になります。どのくらいお得になるのかは保険会社や保険商品によって異なりますが、年払は月払にくらべて1~3%前後(現状は1%前後。古い保険は割引率が高くなる)安くなります。具体的な数字は、契約している保険会社に確認しましょう。

※この他の支払い方法として、「全期前納払」「前納払(数年分だけ払う)」などがありますが、現状はほとんど金利がつかない為、ほとんど割引がないので効果は期待できません。

さらにお得にするワンポイントアドバイス

 年払の保険料をクレジットカードで支払うと、保険料の割引+クレジットカードポイント付与のWでお得になります。※クレカの使用については保険会社によって異なります。

Money Hack 3 必要のない特約を外そう

よくわからず加入している特約を確認 難易度★★☆

 生命保険は「主契約」「特約」で成り立っています。主契約は生命保険のベースとなる契約、特約は保障を上乗せするオプション部分。特約をたくさんつければ、その分保険料が高くなります。

 保険料を節約する目的で保障を見直すとき、主契約を外すことはできませんが、特約は外すことができます。もし、保険営業の方に言われるがままに契約した人は改めて見直してみて、不要な保障があれば特約部分を解約することで保険料を節約できます。

 例えば特定損傷保険という特約。骨折・関節脱臼・腱の断裂の治療を受けたときに一時金が受け取れます。一時金の額を5万円とすると、保険料は月500円程度の上乗せになります。年間では6,000円、10年で6万円。“元を取る”には10年間で2回骨折しなければなりません。骨折の危険のあるスポーツに挑戦したりする人には有効かもしれませんが、一般の人が10年間で2回骨折することは少ないはずです。

 この他、心臓にペースメーカー、慢性腎不全、肝硬変などを対象とする「重度慢性疾患保障保険」、不慮の事故による死亡および高度障害状態になったときに通常の保険金に加えて支払われる「災害割増」など本当に必要な保障なのか? 保険なのであれば守られますが、自分のリスクの捉え方に合わせて検討しましょう。

Money Hack 4 医療保険の減額を検討しよう

自己負担できれば保険を解約するのも手 難易度★☆☆

 重い病気にかかったら高額な治療費を請求されるかも……そんな不安に備える医療保険(医療特約)。その保障内容は基本的には入院に対して給付される「入院給付金」と、所定の手術を受けたときに給付される「手術給付金」があります。

 また入院給付金日額が1万円という契約なら、実際にかかった費用にかかわらず1日あたり1万円が支払われます。

 入院費用はどれくらいかかるかというと、入院時の自己負担費用の平均は20万8,000円※でした。

※生命保険文化センターの「2019年度生活保障に関する調査」より。医療費の自己負担額が高額になったときに自己負担限度額を超えた分が払い戻される高額療養費制度を利用した人、利用しなかった人(適用外を含む)の両方が含まれる

 20万8,000円なら貯金でまかなえそうと思う人は、入院給付金日額を減額する(1万円の契約なら7,000円や5,000円に下げる)ことで保険料を節約することができます。保険会社や保険商品にもよりますが、入院給付金日額を1万円から5,000円に減額すると保険料はおよそ半額になります。

 例えば30歳の人が終身医療保険(入院日額1万円終身払い)に加入すると、月払い約3,000円で50年間支払った保険料の総額は約180万円。

 元をとるには1日当たり1万円ですので180日間入院しないと……将来のことは分かりませんが、医療保険の必要性を検討してみる価値はありそうです。

Money Hack 5 どうしても支払が厳しい時

解約する前に払い込み停止を! 難易度★★☆

 収入が減って保険料の支払いが苦しくなったとき、どうすればいいのでしょう。保険金額を減額すると保険料も下がりますが、支払いが続くことに変わりありません。

 そこで終身保険や養老保険のような貯蓄性のある保険であれば、「払済」か「延長定期」に変えることで、保険料の支払いをなくした上に保障を続けることができます。ただし、保険金額が少なくなったり、保険期間が短くなったりという条件がつくことは覚えておいてください。

 払済とは、その時点の解約返戻金(保険を途中で解約したときに戻ってくるお金。解約払戻金とも呼ぶ)を一時払保険料に充てて、保険金は減額されるが保障を継続する方法です。特約を付けている場合はなくなりますので注意が必要です。養老保険の場合保障と満期保険金が減額されます。

 延長定期は、その時点の解約返戻金を一時払保険料に充てて、死亡保障のみの掛け捨ての定期保険に変更する方法です。保険金額は変わりませんが、保険期間が短くなります。満期保険金や解約返戻金は最終的に保険期間の満了で0円となります。

 将来の保険金よりも今、現金が必要というのなら解約して、解約返戻金を受け取る方法もあります。ただし、終身保険、養老保険、学資保険といった保険期間が長い保険や貯蓄性のある保険には解約返戻金がありますが、定期保険や医療保険には解約返戻金がないか、あっても少額です。また、低解約返戻金型の保険は、保険料払込期間中の解約返戻金は通常より低くなっているので注意が必要です。

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ファイナンシャルプランナー:小沢 雅人
おかねの相談室|宇都宮 FPによる保険・投資信託・住宅ローン相談